新・悪夢の社団戦2019（第２日目の３）

第３図以下の指し手。▲５三桂成△同金▲５四歩△同銀▲４二歩△同角▲４八飛△４四歩▲５五銀△同銀▲同角△５一角▲２一歩成△８四角▲２二と（第４図）

第３図では▲５四歩がイヤだった。△同銀の一手だが、▲３三桂成とできる。以下△４九飛成▲４八飛△同竜▲同銀となるが、これは先手も戦えるだろう。
将Give氏は▲５三桂成と捨てたが、これは自爆で、私が労せずして優勢になった。
私は△５一角から△８四角と、大山康晴十五世名人のような角使いである。

第４図以下の指し手。△４五桂▲４六銀打△５七桂成▲同銀△４五桂▲６六角△５七桂成▲同金△６六角▲同歩△３九角▲５八飛△５六歩▲６七金△４七銀▲１八飛△５七歩成（第５図）
以下、一公の勝ち。

△４五桂以下は気持ちよく攻めた。第５図の△５七歩成となって、後手勝勢。以下も駒得をしながら泥臭く迫り、最後は先手玉を即詰みに討ち取った。

気になるのは他者の戦績だが、私は構わず階下に行く。こちらは１部から４部までの戦いで、５部以下とは場の空気が違う。よりピリピリしている。
アカシヤ書店はもちろん出展していて、星野氏は社団戦参戦よりこちら専念である。どうも将棋ペンクラブは、いろいろ雑務があっていけない。
私も棋書を見たいが、大山名人の快勝シリーズがあったりすると心乱れるので、あまり近づけない。
LPSAのブースでは黒のノースリーブの女性が向こう側を向いている。渡部愛女流三段っぽいが、いかにもモデル体型で、本当に本人かと思う。
大野八一雄七段がいたが、私は２ヶ月で会社を辞めて、合わせる顔がない。
「また教室に来てよ」
ありがたいお誘いだが、いまは将棋を指す精神的余裕がない。
渡部女流三段らしき女性には声をかけづらく、私は階上に戻った。チーム注目の勝敗だが、将棋ペンクラブは４勝３敗で勝っていた。これは最高の勝利である。ただ、木村晋介会長は、まだ片目が出ず。以前は三将で結果が出ず、今回ラクな位置に格下げになったが、それでもダメだ。

さて、いよいよ最終４回戦である。相手は「税理士会１」。我が出場メンバーは前局と同じ。幹事のＡ氏が来るか、山野氏が来るか、という話もあったが、Ａ氏は不出場、山野氏は間に合わなかった。あとは出場選手の順番を入れ替えるかどうかだが、替える根拠もなく、前回と同じ席順となった。
振ってもらって奇数先手。私は三間飛車に振った。税理士会氏は角道を開けない左美濃で、今風である。
私は▲６七金とし仕掛けを警戒する。その後▲９七香～▲９八飛としたが、この端攻めはブラフで、相手の仕掛けを誘発して戦うつもりだった。

第１図以下の指し手。△５五歩▲同銀△４五歩▲５九角△６五歩▲３七角△４六歩▲同角△６六歩▲同銀△６四歩▲５五銀（第２図）

右の藤宮氏は、またも横歩取り。そしてまたも青野流を受け、２回戦とまったく同じ将棋になっていた。これは藤宮氏が有利である。
第１図では△４五歩がイヤだった。対して▲同銀は△３三桂があるので、▲３七銀引。そこで△５五歩▲同歩△同飛は、後手十分だろう。
税理士会氏は△５五歩。こちらが先だと▲同歩△４五歩▲同銀△５五飛に▲５六銀と引けるが、私はもっと欲張って▲５五同銀と取った。これには△４五歩で、後に△５四歩の銀殺しが残るが、その１歩はなかなか入らないと見た。
私は角を転回し、△６六歩▲同銀。これで銀の生還となった。
△６四歩には再び▲５五銀と出て揺さぶる。

第２図以下の指し手。△５五同角▲同角△３三桂▲６一角△５四金▲９九角△６五桂▲６六角△４五金▲５八飛△５七銀▲同金△同桂成▲同飛（第３図）

△５五同角が短兵急で、これは勝利に近づいたと思った。第２図では△５三金と辛抱されたら先手も指し方が難しく、まだこれからの将棋だったと思う。
△３三桂には▲６一角が好打で、△８二飛なら▲４三角成△同銀▲３三角成。よって税理士会氏は△５四金だが、私の▲９九角は遠くまで引きすぎた。ふつうに▲７七角でよかったと思う。
ここで△８二飛なら▲７七角△５二銀で後手は角を取り返せる。本譜△６五桂は次に△８二飛とされると▲８八飛で角が使いものにならなくなるで▲６六角だが、これで▲９九角に疑問手の烙印が捺されてしまった。
とはいえ後手はここでも△８二飛▲８八飛△５二銀があった。税理士会氏は考えが異なり、△４五金の活用。でもこれなら余せると思った。

第３図以下の指し手。△５六金▲５二角成△５七金▲４一馬△同玉▲８一飛△５一歩▲５七角△５五角▲４六角△同角▲同歩△９八飛▲８四角△５二金▲４四桂△６四角▲５二桂成△同銀▲５一飛成（投了図）
まで、一公の勝ち。

税理士会氏は△５六金と出たが、逸機。ここは当然△５六飛と出るべきだった。私は根本の飛車を取り、先手勝勢になった。
以下も何とか、後手玉を寄せることができた。以上、個人では３勝１敗で最低の仕事はしたが、２回戦の負けが痛く、とうてい満足はできない。

まだ他者の対局は残っている。藤宮氏は勝ったみたいで、これで２勝。残り５人で２勝はしそうに思うが、どうか。
戦況を見守っていると、勝ち名乗りがない。全局が終わり整理すると、２勝５敗だった。これでチームは「○●●○」「●●○●」の３勝５敗。みんな頑張ったが、ここまでだった。
さて、打ち上げである。しかしメンバーは散って、いない。階下に行くと、LPSAブースには、例の黒ノースリーブの女性の後ろ姿が見えた。彼女は本当に、誰なんだろう？
（つづく）