人の不幸は蜜の味

タレントではなく普通の人をドッキリする番組を見た。バラエティ番組中に、外国の番組を紹介するスタイルだった。
50人ほどの視聴者をスタジオに集め、二者択一して多数決を取り多くの票を集めた方を、ドッキリ相手に与えてその人を生中継する番組の行方を見た。
スタジオに生中継映像が流れるから、視聴者たちはそれを見て笑う。

例えば、
「①昇格する」　「②リストラ一覧に名が上がっている」　を候補にすると、ほとんどの人が不幸な②を選んだ。
リストラされると聞かされた人はガッカリうなだれてしまう。この選択は、ストーリー仕立てになって進んでいく。

次の場面は、コンビニで買物するときに「泥棒に間違われる」が選ばれた。
付き添った仕掛人が、トイレに行くので買物カゴに入れた物を買っておいてとカバンと、一緒に手渡す。
レジで精算すると、店員がこれで全部ですねと念を押す。そうですと答えると、あなたがカバンに品物を入れるのを見たと、カバンを開けるとお店の商品が出てくる手の込みよう。

警察が来て逮捕され、護送車で輸送される。もちろん、店員も警察も仕掛人。

次の選択ては、「①誤解がとけて解放される」「②謎の男たちに誘拐される」を選ばされるが、次々に不幸な方を選ぶ。ここでは、もちろん②が選ばれる。

いきなり、路地で理由も分からずに解放される。
そこに、覆面の男たちが現れて銃を突きつけて連れ出そうとしたから、驚いた男は振り切って逃走する。
道路に出た途端に、走ってきた車が男をはねてしまう。中継場面は、テストバターン画面になって途切れる・・・・・・。

想定外の事故にスタジオは騒然となる。あるいは、こんな悪い方を選ばなかったら、こんな事故に遭わずに済んだと後悔に沈むスタジオ。
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実は、この番組でドッキリを仕掛けられたのは、視聴者自身。
人は、匿名の選択なら面白半分に、「人の不幸は蜜の味」とばかりに不幸な選択をするという心理学実験を試されていた。
その結果が、最悪の結果を招くこともあるという自覚が求められていると、問題提起されて番組は終わる。

最初にドッキリさせられる役割を荷った者は、想定内のストーリーに従って演じており、ラストの交通事故は事前に撮っていて、道路に出た瞬間に映像を差し替えていた。われわれの「スパイト（いじわる）」行動について考えさせられた番組だった。
ブログ、掲示板、SNSやライン等の匿名で遣り取りしてトラブルになる事件が増えているので、気をつけたい。