イーダちゃんの「晴れときどき瞑想」♪

美味しい人生、というのが目標。毎日を豊かにする音楽、温泉、本なぞについて、徒然なるままに語っていきたいですねえ(^^;>

徒然その138☆バッハがバッハ☆

2013-04-07 11:05:59 | ☆イーダちゃん音楽工房☆
                           


 クラッシックの大御所バッハの音楽は、むろんのこと好きだったのですが、贔屓筋のモーツァルトなんかに比べると、うーむ、さほど大好きというのとはちがっていたようなんです、僕の場合。
 たしかに素晴らしいし、深いけど、なんとなく「切れ」が不足してる、みたいな傲慢印象がいつもあったんですよ。
 うん、バッハの音楽ってね、歌舞伎みたいに見栄を切らないんですわ、これが。
 音楽の見せ場の危ういところをタ・タ・タ・タ・ターッと軽業みたいに駆けきって、思わず息をのんだ聴衆に「どうだ!」と見栄を切ってみせる---といったハッタリズムというか、その種のショーマンシップがあんまりなさすぎなんじゃないの?
 それが、僕的には、いまいち喰いたりない要素としてずっと感じられていたんです。
 ええ、その通り、バッハはめったに駆けません。
 モーツァルトみたいに無邪気にはしゃぎまわったりもしないし、シューマンみたいにド派手な熱狂も見せてくんない。
 いかなる場合にも、その歩速は、落ちついていて一定なんです。
 いわゆる「大人」なんですね、彼は。
 イーダちゃんというのは、64になっても餓鬼でいようというヘンな志をもったニンゲンですので、そのへんの諸事情も斟酌して、彼の音楽の深層をいまいち汲みにくくしていた、といえるかもしれません。
 ところが最近、どういうわけか以前のギター熱が復活しましてね、10年以上まったく練習してなかったギターに触れる機会が、ここのところなんとなく増えてきたんです。
 で、古い楽譜なんか引っぱりだしてきて、まあバッハなんかも弾いてみるわけですよ。
 すると、これが、面白いんだ、とても。 

----バッハは小川(バッハの姓は、ドイツ語で小川の意味)でなく、メール(海)である。

 といったのはかのベートーベンですけど---ちなみに僕は彼の理窟っぽい音楽は苦手---まったくもってその通り、対位法の低音部の歩みようのあまりの渋さに、弾いている自分が陶然となって、いつしか同じ小節部を何度もくりかえしたていたり…。
 バッハって、ほかの音楽家とくらべるとどこか醒めてますよね。
 シューマンみたいに、自分の見る夢に酔っぱらったりすることは、まず、ない。
 でも、だからといって、現実の損得勘定しか見えてない、さもしい男ってわけじゃ全然ない。
 覚めてはいるけど、その覚め具合は諦めと同義じゃなくて、かといって現実を斜めに眺めてシニカルさを仮装するといったような、よくある小心者御用達の小技を絡めてきたりもしません。
 バッハってその点の立ち方でいえば、極めて素直で、愚直で、まっすぐなひとでした。
 だから、バッハを聴いていると、世知辛い世間でいつも常用されている、あらゆる現実値切りのテクニック---シニズム、分析癖、斜め立ち、思想武装、等々---ああいうシステムから解放される悦び、みたいなものが僕的にはあるんだなあ。
 月並みですけど、魂を洗われる、とでもいうんでせうか?
 いずれにしても、彼の音楽を聴いたあと、あるいは弾いたあとで心身に刻まれる「清涼さ」には、一種格別の味わいがあるのはたしかです。
 彼の曲を聴いて僕がいつも感じるのは、思索しながら朝方の森を散歩しているような気配なんです。
 ちなみに、この思索には、瞑想的要素もいくぶん混じってます。
 思索。いくらかの瞑想。朝靄。そして、木々のかもしだすオゾンの香りと歩くにしたがって自然と深くなる呼吸…。
 木々の少ない都会の片隅で暮らしながら、こうした音楽を聴いたり弾いたりできるのは、ある意味、凄い贅沢なのかもしれませんね。
 てなわけで、最近のイーダちゃんのバッハの愛聴盤を、ここで2枚ばかり紹介したいと思うんですが、どうでせう?


                    
 
 1枚目は、20世紀の天才グレン・グールドのバッハ---
 グールドのバッハは、説明がいらないくらいみんな凄いんですけど、最近僕がよく聴くのは重厚に構築された「イギリス組曲」よりも、むしろ華奢で小粒なこっちの「フランス組曲」のほうですね。
 音楽に流れている空気自体が既にもう「天才」---ほんの2、3小節聴いただけで、ほかの凡庸音楽家とまったくこのひとの立ち位置がちがっていることが、それこそ誰にでも容易に実感できることと思います。
 2枚目は、あの大ギタリスト、ナルシソ・イエペスが、ギターの前身であるリュートで弾いたバッハ。
 純粋な古楽的見地からいうと、リュートを爪で弾くっていうイエペスの現代的やりかたは、歴史的に見て間違いであるらしい---リュートは指の腹で弾くのがどうも当時の奏法だったようです---のですけど、音楽的に見るなら、あの超天才ヴァイオリニスト、ジョルジュ・エネスコから薫陶を受けたイエペスの音楽性自体は、傑出してます。
 これ、「水」のように浸透してくるバッハです。
 イエペスのタッチはどちらかというと固くて鋭いんですけど、それによって溢れてくる音楽は、うん、まさに「水」してる。
 いいなあ。ジョン・ウイリアムスやイアン・セルシュルより、僕はやっぱりイエペス派ですねえ。

 で、最期に、これは、イーダちゃん自身の弾いたバッハです。
 ミスタッチもあるし、音楽の歩みにも崩しのクセがあり、とても推薦印とはいきませんが、まあ一種の座興めいたお耳汚しとして---m(_ _)m

        http://soundcloud.com/iidasama/bach-bourree-2

 ちなみに、こちらの soundcloud という海外サイトは、google で検索したほうが入りやすいんじゃないのかな…。

 お。この soundclaud ちょっと分かりにくいってご指摘をいただいたんで、最近 youtube にアップしてみました。

  youtube イーダちゃん  Bach「Bourree」by イーダちゃん

 というクリックでたぶん辿りつけるかと思います。
 ご興味がおありの方はぜひどうぞ! 
 さて、今日は爆弾性低気圧の到来ということである程度覚悟していたんですが、朝になってみると、なんだ、思いのほか晴天じゃないの! ということで、そろそろ外に走りにでようかと思いますので、それでは bye!
 皆さんもよい日曜を---サラマンダ~!(^.-y☆彡
 

  


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