イーダちゃんの「晴れときどき瞑想」♪

美味しい人生、というのが目標。毎日を豊かにする音楽、温泉、本なぞについて、徒然なるままに語っていきたいですねえ(^^;>

徒然その108☆旧友来たりて雨が降る☆

2012-06-13 11:17:07 | 身辺雑記
                        


 ヘロー、エブリバディー、今回のは、超・個人的なお話です---。
 本当ならこんな公共性のない話は公にすべきじゃないのかもしれないけど、あくまでこの媒体はブログであり、本じゃないですからね、そのあたりの事情を利して、あえて強引に乗っけちゃうことにします。
 えーとねー、学生時代、イーダちゃんには、Мという仲のいい友人がいたんですよ。
 大学の試験会場でたまたま席が前後してたっていうのが機縁で友人となったわけなんですが、まあなんというか彼とはなんだかんだで気があいましてね、一緒に同人誌やったり、飲みにいったり旅したりといろいろやったもんです。 
 ただ、このМの根城はね、石川県の金沢なんですよ。
 だから、卒業後もすぐに地元にもどって、福祉関係の会社にしっかり就職しちゃった。
 僕は、受験の高3のときこそ金沢に住んでいたけど、住んでいたのはその1年きりで、あとはずっとこっちの横浜住まいですから、卒業後は当然別れ別れになるわけで、そうなると「時の流れは忘却のことはじめなり」との格言の通り、だんだんと疎遠コースをたどっていく勘定ですわ。
 卒業後、たしか3、4回は会っていた記憶がありますが、ま、そんなもん。
 Мはその後結婚して3児の父となり、イーダちゃんは学生時代同様、あっちにフラフラこっちにフラフラという風来坊のような根なし生活をつづけ、気がつけば25年の歳月が互いの上を通過していた、というのが我々の関係のいちばん分かりやすい総括なんじゃないかと思います。 
 なんかの折りに、僕がМにハム(だったと思う)を贈ってみたり、年賀状のやりとりとかはフツーにしてましたけど、基本の座標はやっぱり過去の友人なんですよ。
 現在的に、片方が片方に影響を与えるようなことは、この25年間、まったくなかったといってもいい。
 ところが、先日、珍しくもこのМからG-mailが入りまして、仕事の出張で近々東京に行くから逢えないか、というんです。
 ええっ! と思いましたよ---まったく予期してなかったから。
 しかし、逢いたくないわけがない、逢えるもんなら、そりゃあ逢いたいですって。
 Мにいわせると、僕のこのブログをこれまでよく見てくれていて、それで、最近僕が福祉関係の仕事に就いたことを知り、おお、マジ? あのIが同業者かよー、みたいな乗りで急に逢いたくなった---とのことなんですけど。
 しかし、根なしの無責任生活25年のイーダちゃんと、卒業後25年をずーっと地道に福祉の世界で生きつづけてきたМとじゃあ、正直、人生上の努力の基盤がまるきりちがいます。
 事実、今回のМの上京も、全国の福祉関係者の理事の集まりのためだっていうんですから。
 仕事でも家庭でも確実に一歩一歩このように積みあげてきたМと、なーんも積みあげずに年ばっかり喰って、基本的に学生時代とまったくスタンスの変わっていない、身軽でふーらふらのイーダちゃんと…。
 正直、気圧されそうになる部分もないじゃなかった。
 でも、おんなじ釜の飯を喰った超・仲間ですからね---それは、やっぱ、逢いたかった---で、5月の17日に山下公園近郊のホテルのロビーで待ちあわせることにしたんです…。


                      


 Mが指定してきたのは、横浜のニューグランドホテル---山下公園の氷川丸からすぐのところにある、横浜の超・老舗のホテルでした。
 正直、横浜近郊じゃいちばん豪華なホテルだったんじゃないのかな?
 夜勤明けのために早めに待ち合わせ場所にいけたイーダちゃんは、このホテルの各所を見物しながら、ふへー、とかなりの感嘆モード、本館のお店街のとこでアコーディオンで見事なワルツを弾いていたオーストリア人の男性とお話ししたりして、まあ時間を潰していたと思いなせえ。
 で、いよいよ時間間際になって、大きな花を飾ってあるロビーのベンチのとこにいったら、もういたんですよ、背広姿でベンチに浅く座っていたMが…。
 おっ、と思ってね、僕あ、ゆっくり声を絞りだす感じで、 

----よぉー…。

----おお、ひさしぶりやね…。

 なんででせうねえ、出逢いっていうのは、いっつも思ってるよりぶきっちょに格好わるくなっちゃう---。
 やってしまってから、ああ、もっとスマートにやりたかった、と常に後悔するんですけど、その反省データを生かしてスマートになんかやれたためしがない。
 どっちとも、まず相手の風貌に刻まれた歳月の質を観察して、それから、ちょっとした表情のなかにむかしの面影を急ぎ足で探して、さらに、そんな詮索を無意識にしている自分にふっと気づいて、なぜかは分からないけど、なんとなしにお互いにいくらか照れて…。
 でもね、最初の計りあいみたいな、この不器用な空気ってね、わるくなかったんですよ、なんか…。

 で、まず中華街で飲茶しつつ飲みまして、それから、伊勢佐木町にハシゴしました。
 最初は、まだなんとなくお互いを警戒するような空気もあったんですが、杯を重ね、共通の知人のその後の動向を話したりしているうちに、どことなく野生動物じみたそんな警戒色はふっ飛び、そのうちすっかり無礼講ですわ。
 お互い、垣根がとれてきて、距離感もなんか学生時代の無遠慮風フランキーになってきて…。
 なぜだか、プロレスのバックドロップ談義が熱くはじまったりもしてね。
 冒頭のフォトは、そのころ撮ったもの。
 いま、こうして改めて見てみますと、Mは、やっぱ、仕事で磨かれた「顔」をしてますよねえ。
 目尻のあたりにも3人の子の親父として、家庭を切りまわしてきた歴史の跡がよーく刻まれています。
 学生のころは、これほど責任感のある顔はしていなかったんですよ、Mは。
 してみると、やっぱり、これは、歳月の刻んだ、先カンブリア期の褥瘡ってやつなんでせうなあ。
 Mと同い年なのにいまいち顔にカタギ臭が感じられず、真面目なのか不真面目なのかもよく分からない、グラサンの、お気楽イーダちゃんとはえらいちがいではないですか。
 ま、しかし、僕的には、どっちの生き方も面白くて、それなりによしなんじゃないか、と思っているんですが…。
 
 この夜のMは、レバーブローみたいに「効く」話を、いくつか披露してくれました。
 その1---僕がこのブログのスケッチブックというコーナーで取りあげたマイ・ポエム「ペコちゃん」のモデルの女性が、なんと、その後、彼女の旦那ともども宗教にハマってしまったという話---。
 これは、「あちゃあ!」って感じでしたね。
 現実ってえてしてそうしたビターなものなんですが、このエピソードは、ちょい効きました。
 うむ、流石、現実クンはシビアですよ---追憶を、なかなかキレイなままではいさせてくんないのね、ふう(トため息まじりに)…。
 その2---これは、Мが介護の仕事で体験した、超・いい話---残念ながら個人情報に抵触するので、ここで内容を書くことはできないのですが、とにかく感動的な話でして---これ聴いて、ええ、僕は、滂沱と泣いたもんですよ…。
 ま、こうなると、もうただの醉っぱらいの与太話になっちゃうんですけど、でも、僕あ、楽しかったなあ…。
 うん、イーダちゃんはまったく酒好きじゃないんですが、こんなしみじみとあったまる酒ならいつでも大歓迎ですね。
 もっとも、最近はまわりのひとになにかと恵まれて、美味しいお酒をいただく機会は結構多いんですけど、この夜のお酒と旧友との談笑には、一種格別の味わいがありました。
 ええ、染みたんですよ、ちょっとここのところ乾き気味だった心に、この夜のお酒はとりわけね。
 しかしながら、あんまりこの種の「友情」について正面から語りつづけるのもやや恥ずいんで、横斜め70度あたりから、有名な中国の詩をあげて、それにちょっと僕の気持ちを代弁してもらうことにしませうか---。

        黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る

     故人西のかた黄鶴楼を辞し
     桜花三月 揚州に下る
     孤帆の遠影 碧空に尽き
     唯だ見る長江の天際に流るるを

 この詩、かの李太白の作品なんです---仲のいい友人を見送るときの別れの歌なんですけど、友人の乗った舟が長江の彼方に見えなくなるまでじーっと長江のほとりに立って(それは、そーとーに長い時間だと思われます)、友人の去るのを無言で見送っている詩人の後ろ姿が、読者のまぶた裏に徐々に透かし見えてくるような、李白ならではの骨太情緒がよく伝わってくる、極めてスケールの大きな逸品です。
 これをね、Mに捧げたいと思います。
 なっ、受けとってくれるよな、М---?(^.^;>

 ちなみに、冒頭の写真をブログにあげることに関しては、ちょっと悩んだんですね、僕は。
 だってねえ、いくらなんでも素顔っていうのはアレだし。
 で、このMにメールで聴いてみた。
 すると---

        I様---     
    この前は楽しかったなあ。今度は金沢で会おうではないか。
    さて、私には守るべきプライバシーなどないと思っている。
    好きにやってもらって良いです。
    ではまた。

    中華街土産のTシャツ、娘たちに受けました。今までの土産
    の中で一番かも。
     M

 うーむ、なんとも豪気じゃないですか。
 そんなMの心意気を組んで、このようなページが幸いにも出来上がったというカラクリなのでありますよ。
 ちなみに、この夜は僕等ふたりは、2時すぎまで馬車道で飲んでいたんですけど、夜中の2時ごろ、横浜の街は、ふいに猛烈なゲリラ豪雨に見舞われましてね、それはもう凄かったの---。
 僕等、手近なコンビニまで全力疾走して、慌ててそこのビニール傘買い求めてね---ナイアガラ瀑布みたいに降りしきる豪雨のなか、ホテルにむかうタクシーに乗りこむMを見送って、僕は、ひとつ深い息を吐いて、それから、夜中の人気のない馬車道をゆーっくり歩きだしたんです…。


                            

 足先までびしょ濡れになったけど、うん、あれはいい夜でした。とても。
 
 ありがとうな、M!---今度は俺が連休とって、秋あたりにそっちに行くんで、そのときはまたヨロシク---(^o^)/

 


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