日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

宮部みゆき「名もなき毒」

2009-06-03 | 読書
「毒」は桐野夏生の独壇場(しゃれでなく)と思っていたが
まったり・ふんわりの宮部みゆきにも「毒」が登場した。
宮部みゆき「名もなき毒」



身ぎれいにして、誠心誠意、流れに逆らうことなく
生きていたとしても「毒」に遭遇する。
プラットホームから線路に引き落とされたり
家路の途中にナイフで刺されたり
節度を保って生きている人こそ、思わぬ「毒」に当たられる。

大企業の娘婿、系列会社で社内報を仕事にしている「逆玉の輿氏」
経営に口を挟むつもりはサラサラなく
妻に逆らうつもりもなく
会社の中でも頼られ信頼される存在の主人公。
バイトに雇った娘がとんでもない人物
誇大妄想、虚言、人事不省の悪口造言
円満退社に片づいたと思っていても
「毒娘」の攻撃はやまない。
「幸せそうにしている人がいや!」とんでもない人物。

ホンワカウロウロしながらも近くで起こった青酸カリ殺人を解決に導き
娘の実力行使に体当たり、家族を救ったが
「毒娘」の取り調べで浮かび上がる不幸
「自分のことをこんなに聞いてくれた人は始めて」
悪い親でなし、キチンとした躾けをしようとして娘の心を掴み切れなかった。
ある面、とても気の毒な「毒娘」
ホンワカ主人公も恨み切れない面があったようだ。

数年前の「誰か」に続く逆玉氏の物語
この先さらに続くらしい。
今書店に並んでいるお勧めの1冊です。
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