読み始めるのに覚悟がいりそうな1册
原田マハ著「暗幕のゲルニカ」新潮文庫刊
2週間程机上に置いたままようやく読み始めた。
1937年から45年までのピカソと、愛人でカメラマンのドラ
スペイン内戦を描いた「ゲルニカ」の制作過程から発表までと
第二次大戦終結までの話
2001年から2003年までの
アメリカ同時多発テロの傷が癒えない時代
ピカソ特別展に関わるMoMaの日本人キューレータの物語
時代を行ったりきたりしながら
愛人のドラが語るピカソ
ピカソの研究に邁進するキューレーター
交わる筈も無い2人を繋ぐ、
元キューレータの経歴を持つ作家原田マハ
スペイン内戦から怒濤のように流れ込む第二次大戦
この時代の不安と、ドラが抱えるピカソの心模様とスペインの貴公子、
実在と思わせるような具体的な描写だったが
半世紀前から2000年代までなんでも出来過ぎに書かれている。
こんな人がいたらなあ〜〜と思わせる人物像
貴公子がいなかったら、物語の進捗は無かっただろうし
事実はいかばかりだったのか?と想像させる。
原田マハの物語の作り手として、並々ならぬ力量を感じさせる本ではある。
ところで、同時多発テロの後のブッシュによる
イラク攻撃の発表の際の「ゲルニカ」(タペストリー)を隠す暗幕は
本当だろうか?
今思うと物語なのだろうなあ〜〜
スペインの貴公子がフィクションだとすると
貴公子が作ったタペストリーだってフィクション・・だよね
物語好きな方は是非一読ください。