7月6日「日曜討論から」・戦争への心配を切って捨てた石破発言(その1)

2014-07-08 13:31:22 | 日記

   7月6日「日曜討論から」・戦争への心配を切って捨てた石破発言(その1)

7月6日の日曜討論(NHK)を再生した。限られた時間での討論であり、わかりにくい面があったが、同時に明確になった部分もある。

その一つが「戦争に巻き込まれる恐れがないか」という危惧に対する、石破自民党幹事長の発言である。幹事長は「戦争は違法」と国連憲章は明確に規定している。しかし、例外があるとして、武力行使は認めているとも述べ、それが個別的であるか、集団的であるかの違いはない。これは国連憲章の「いろは」であるとして、戦争行為の危惧を述べる発言を切って捨てた。

そこで、国連憲章をひも解いてみた。石破発言の根拠は確かにある。「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土又は政治的独立に対するものも、又、国際連合の目的と両立しない、いかなる方法によるものも慎まなければならない」。

同時に、例外として、自衛権の行使(憲章第51条)及び軍事制裁(憲章第42条)は認めている。だが、例外であっても国連の安全保障会議の管理下に基づかなければならないと記している。

武力の行使(戦争行為)は禁止しているが、条件付きではあれば自衛権の行使、制裁としての武力行使は認める。そこにアフガン・イラク戦争が起きた。しかも、武力行使を強行した米国は「自衛権の発動・軍事制裁」を根拠とした。加えて英国をはじめとした同盟国が、「集団的自衛権の行使」を命題に参戦した。日本においても「イラク派遣特措法」をもって自衛隊をサマワに派遣している。「自衛隊を派遣するところ戦闘地にあらず」の小泉首相の詭弁も記憶に残っている。

幸いにして、派遣された自衛隊員の血を流すことはなかった。当時、「日本は戦争をしない憲法を持っている国」という、現地住民の友好的な認識があったためとの現地報道があった。

とは言え、平穏無事であったわけではない。自衛隊の車両に仕掛け爆弾が仕組まれたり、宿営地に砲弾が着弾したりもした。死者が出なかっただけである。また帰国後の派遣隊員の中から自殺者が出た。この問題が国会で論じられたことも事実である。そのことをよもや忘れたわけではないだろう。

そして、政府が根拠にしている1972年政府見解がある。「・・・急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」この文言を素直に読めば「自衛権の行使」(専守防衛)の第9条解釈の見解であることは明白である。

にもかかわらず、石破幹事長はここでも声を高くする。「そうだとすれば」の以下を読んでほしい。そこが重要だと。「わが憲法の下で武カ行使を行うことが許される」と書いてあるではないかと。巧妙であると言いたいが、それは日本語ではない。

そして「集団的自衛権閣議決定」がある。幾度も読んだ。そこには「武力行使・武力攻撃」なる文言は幾度も登場するが、「集団的自衛権」の文言は一度しか出てこない。ごまかされてはならない。

 


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