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大和文華館「白描の美」特別展へ

2017-01-19 16:38:16 | 大和文華館
「白描の美」なんのことなんでしょう。興味が湧きます。
また大和文華館で、この時期に特別展はないことなんで、
古川攝一学芸員からもお話が伺える講座に参加しました。
  
咲き始めた梅の香りが微かに漂うエントランスから館内へ
まずは説明を講堂にて、
白描画は描線を主体にしており、水墨画は墨の濃淡を使う
違いがある話から、白描画の歴史について
中国では白画(唐から北宋)から白描画(元以降)へと発展し
現代も水墨画と明瞭に区分けされておりますが、
日本では、白画、墨絵、素画(彩色しない)と中国から伝わり
時代が下るにつれ、彩色や墨絵の技法も使われています。また
未完成(紛体・下絵・素描)と完成(本画)に分けられるそうで、
仏様や僧を描かれる時は抑揚のある線で、一方
皇族・貴族を描かれるときは、均一な線で表すことが多く、
描線による美意識の表現と余白の大切さを強調されていました。

さあ展示室です。三つのテーマに分けられており、
「図像」、「歌仙」8件、「物語」25件、
正面にいつものように三作品、
左側に「尹大納言絵巻」五島美術館、14世紀、重要美術品
真中に「源氏物語浮舟帖」大和文華館、13世紀、重要文化財
細密な筆線の引き重ねにより、引き目鉤鼻を書くことにより
微妙な心理を表されております。
 
右側に「延喜帝」時代不同歌合絵、個人、13世紀


図像】3件 
「不動儀軌」兼胤、1245年 奈良国立博物館
短時間で、簡単そうに描いておりますが、
実は一発勝負の筆運び、そしてバランスが抜群で、
抑揚のある線がプロ(兼胤)を示すのだそうです。
不動儀軌・部分
「高僧図像」観祐、大東急記念文庫、1163年、重文
素人(真宗小野流の僧・観祐)それが味わいだそうで、 
油紙の色合いがなんともいえません。天台宗を中心に
30人の高僧、善無畏、達磨から空海から円仁だそうですが、
たどたどしい筆で義操、空海さんが書かれておりました。

「十五鬼神図巻」13世紀、大和文華館
十五鬼神図巻

【歌仙】8件
「延喜帝」
「釈教三十六歌仙絵巻」南北朝、東京国立博物館、重文
達磨大師から行基さんまで歌とともに描かれており、
一部に赤色で線が描かれております。
「時代不同歌合絵、蝉丸」鎌倉時代、個人
時代不同歌合絵、蝉丸

【物語】25件、
「隆房卿艶詞絵巻」 鎌倉時代 国立歴史民俗博物館
古川攝一学芸員推薦の一作品で、白描画の最高峰とのこと
柱などは定規で書かれたようで、真直ぐに
唇の赤色に気がつかれましたか?
一応下書き線があるそうですが、判りませんね。
悲恋の話で、桜を愛でる三人の登場人物(高倉天皇、
ごごうと従者)、桜の花びら(白く)を髪の毛
(にかわを混ぜた艶のある黒色)に散らし、
白黒の対比と余白が効果的な作品だそうです。
桜の幹などに葦(あしで)文字があしらわれ、華麗でした。
 隆房卿艶詞絵巻
「伊勢物語下絵梵字経」13世紀、大和文華館
貴族の女性が趣味で書かれ、墨で濃淡を出す自由さが素晴らしい
「善教房絵詞」14世紀、サントリー美術館
「善教房絵詞摸本」岡田為恭、1841年、大和文華館
岡田為恭は絵だけでなく文字までも、元を模倣しています。

「藤原師長像」田中訥言(とつげん)筆 19世紀 個人
淡彩で、墨が入れられております。外隅は?

この特別展は前期は1月6日から1月29日までで、
展示替えがあり、後期は1月31日から2月19日までに。