カラスの親指 著者 道尾 秀介
≪内容≫
大丈夫。
まだ間に合うから。
「こうしていると、まるで家族みたいですよね」
“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。
失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは!?
(紹介文より)


そんなうまくいくはずないよなって思っていたら、歌野昌午の「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだあとのような・・・。
少し違うのだけれど・・・・ミ凸ヽ(^_^ )
―――
武沢は右手の手のひらを顔の前に持ってきて、指を一本ずつ動かしてみせた。
「お父さん指、お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、赤ちゃん指―――ってやつか?」
「そうそう、それ」
小学校に上がる前までは、沙代も自分の指をそう呼んでいた。
「お父さん指と、お母さん指、くっつきます?」
テツさんがそんなことを訊くので、武沢は親指と人差し指をくっつけてみせた。
「簡単だろ、こんなの」
「じゃ、お父さん指と、お兄さん指は?」
中略
「じゃ今度はお母さん指でやってみてください。同じこと。」
「どれ?」
中略
「母親と子供、なかなか上手く寄り添わなくないですか?」
「うん、難しいな」
「じゃあ、お父さん指をお母さん指にくっつけて、やってみてください」
武沢は親指を人差し指の脇に添えてみた。
「あ、くっついた」
親指が力を貸した人差し指は、難なく小指と寄り添うことができた。
「きっと、そういうことなんだと思いますよ」
・・・・・中略
「親指だけが、正面からほかの指を見ることができるんです。ぜんぶの指の中で、親指だけが、ほかの指たちの顔を知っているんですよ」

≪内容≫
大丈夫。
まだ間に合うから。
「こうしていると、まるで家族みたいですよね」
“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。
失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは!?
(紹介文より)


そんなうまくいくはずないよなって思っていたら、歌野昌午の「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだあとのような・・・。
少し違うのだけれど・・・・ミ凸ヽ(^_^ )
―――
武沢は右手の手のひらを顔の前に持ってきて、指を一本ずつ動かしてみせた。
「お父さん指、お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、赤ちゃん指―――ってやつか?」
「そうそう、それ」
小学校に上がる前までは、沙代も自分の指をそう呼んでいた。
「お父さん指と、お母さん指、くっつきます?」
テツさんがそんなことを訊くので、武沢は親指と人差し指をくっつけてみせた。
「簡単だろ、こんなの」
「じゃ、お父さん指と、お兄さん指は?」
中略
「じゃ今度はお母さん指でやってみてください。同じこと。」
「どれ?」
中略
「母親と子供、なかなか上手く寄り添わなくないですか?」
「うん、難しいな」
「じゃあ、お父さん指をお母さん指にくっつけて、やってみてください」
武沢は親指を人差し指の脇に添えてみた。
「あ、くっついた」
親指が力を貸した人差し指は、難なく小指と寄り添うことができた。
「きっと、そういうことなんだと思いますよ」
・・・・・中略
「親指だけが、正面からほかの指を見ることができるんです。ぜんぶの指の中で、親指だけが、ほかの指たちの顔を知っているんですよ」

