細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

政と源   著者 三浦しをん

2016-02-11 19:04:42 | 読書メモ ま行

《内容》

東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!  (紹介文より)

 

―――いつかきっと、俺も流れに運ばれ、流れによって結ばれたさきで、また親しいひとたちに会えるだろう、と。

―――死んだ人間が行くのは死後の世界なんかじゃなく、親しいひとの記憶のなかじゃないかってことだ

 


境遇   著者 湊かなえ

2016-02-08 22:31:42 | 読書メモ ま行

《内容》

誘拐事件の裏に隠された“真実”の意味とは!? 人と人との“絆”を描くヒューマンミステリー デビュー作の絵本『あおぞらリボン』がベストセラーとなった陽子と、新聞記者の晴美は親友同士。共に幼いころ親に捨てられた過去を持つ。ある日、「真実を公表しなければ、息子の命はない」という脅迫状とともに、陽子の息子が誘拐された。ふたりが辿り着いた「真実」とは・・(紹介文より)


望郷   著者 湊かなえ

2016-02-08 21:27:53 | 読書メモ ま行

《内容》

美しき海にかけられた白い吊り橋は、愛する故郷に、何をもたらし、何を奪っていったのか――。瀬戸内の島に生まれ育った人々の、愛憎半ばする複雑な心模様を描いた連作短篇集です。作中の1編「海の星」は、日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。選考委員の北村薫さんも選評で「群を抜いていた。鮮やかな逆転、周到な伏線、ほとんど名人の技である」と絶賛しています。鮮やかなストーリーテリングと細やかな心情描写、デビューから5年を迎えた著者の最高到達点がここにあります。特撮をしたカバー写真にも御注目ください (紹介文より)


水のかたち 下  著者 宮本輝

2016-02-04 20:54:38 | 読書メモ ま行

《内容》

志乃子は一個の鼠志野の茶碗をきっかけに、骨董の世界へ足を踏み出していく。茶碗と同時に貰い受けた手文庫には、小さな手縫いのリュックサックと、敗戦後に命懸けで、北朝鮮から三十八度線を越え帰国した、ある家族の手記が入っていた。残りの人生で何が出来るかを考えた彼女は、その持ち主を探し始める―。ひたむきに生きる人々の、幸福と幸運の連鎖から生まれた、喜びと希望の物語。   (紹介文より)

 

―――自分を、自分以上のものに見せようとはせず、自分以下のものに見せようとしない、というのは至難の業だ。

 人間はすぐにうぬぼれる。絶えず嫉妬する。他人の幸福や成功をねたんだり、そねんだりする。自分を周りからいい人だと思われようとする。


神去なあなあ夜話   著者  三浦しをん

2015-05-30 18:18:45 | 読書メモ ま行

《内容》 

100年先を見据えて作業をしている、神去村の林業の現場。そこへ放り込まれた平野勇気も、村で暮らして1年が過ぎ、20歳になった。山仕事にも慣れ、憧れの直紀さんとドライブに出かけたりもするようになったけれど……。 お仕事小説の名手が描く林業エンタメ第二弾! 秘密がいっぱいの神去村へ、ようこそ!  (紹介文より)

 

―――神様ってそういうものかもしれないね。遠い空の彼方にいるんじゃあなく、俺たちの心の中にいて、いつも見ている。言葉や行動、嘘や本当を。


光   著者 道尾秀介

2015-05-30 15:18:43 | 読書メモ ま行

《内容》

真っ赤に染まった小川の水。湖から魚がいなくなった本当の理由と、人魚伝説。洞窟の中、不意に襲いかかる怪異。ホタルを、大切な人にもう一度見せること。去っていく友人に、どうしても贈り物がしたかったこと。誰にも言っていない将来の夢と、決死の大冒険―。   (紹介文より)

 

―――唐突に、鼻の奥がつんと痛くなった。暗がりの中に浮かんでいた電灯の豆電球が、視界の中心でじわりと滲んだ。強く両目を閉じると、咽喉の奥に涙の味がし、いまこうして布団の中でじっとしていることが、どうしようもなく恥ずかしく見えた


嵐のピクニック   著者 本谷有希子

2015-05-30 13:09:52 | 読書メモ ま行

《内容》

優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気を描く「アウトサイド」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い(「哀しみのウェイトトレーニー」)、カーテンの膨らみから広がる妄想(「私は名前で呼んでる」)、動物園の猿たちが起こす奇跡をユーモラスに綴る「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、読んだ女性すべてが大爆笑&大共感の「Q&A」、大衆の面前で起こった悲劇の一幕「亡霊病」…などなど、めくるめく奇想ワールドが怒涛のように展開する、著者初にして超傑作短篇集。  (紹介文より)


桜ほうさら   著者 宮部みゆき

2015-05-30 12:38:57 | 読書メモ ま行

《内容》

父の汚名をそそぎたい。そんな思いを胸に秘めた笙之介は…。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。   (紹介文より)

 

―――失ったものを惜しみ、不平ばかり並べていては、寄る幸も寄りつかん

―――そなたが己の心胆に照らし、商人として正しき道を歩むならば、何故神仏がそれお怒りになろう。必ず守護してくださるはずじゃ。商売を替えても、商人の志に曇りがなければ、父はむしろ喜ぶであろう

―――人の世では、親子でも相容れないことがある。解り合えないことがある。気持ちが食い違い、許し合えないことがある。どれほど思っても通じないことがある。立場が身分が想いの真偽を入れ替えることがある。誰かが大切に守っているものが、別の誰かに弊履の如く捨てられることもある。


水のかたち 上  著者 宮本輝

2015-05-30 11:47:49 | 読書メモ ま行

《内容》

東京の下町で暮らす平凡な主婦、能勢志乃子。50歳の誕生日に、近所の古い喫茶店で、年代ものの文机と茶碗と手文庫を貰い受ける。後日、その茶碗の驚くべき価値が判明して、志乃子は骨董の世界に足を踏み入れていく。予期せぬ出会いと友情が引き寄せる、新たな人生の喜び―生の希望に満ちた、傑作長編小説。    (紹介文より)

 

―――経済苦、病苦、人間関係における苦労。それが出て来たとき、人も鋼になるチャンスが訪れたんだ。それが出て来ないと永遠に鉄のままなんだ。だから、人は死を意識するような病気も経験しなければならない。商売にも失敗して塗炭の苦しみにのたうつときも必要だ。だから人間には、厳しく叱ってくれる師匠が必要なのだ。