細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

お掃除中

2009-12-31 22:52:52 | Weblog
お掃除中ですが、一休みしています。

2009年も残すところあと1時間くらい

いろいろあった一年でしたが

振り返れば勉強になった一年でもありました。


来年もよろしくお願い致します。


天切り松闇がたり  残侠  浅田 次郎

2009-12-20 20:56:47 | 読書メモ 

《内容》
時は大正。粋でいなせな怪盗たちの胸のすく大活躍を描く! 留置場の雑居房に一人の老人が入ってきた。彼こそは希代の名盗、通称「天切り松」。六尺四方にしか聞こえない夜盗の声色、闇がたりを使って始めた彼の身の上話に、留置人はもちろん、看守さえ引き込まれて……。きっぷのいい江戸弁で語られる、天衣無縫なピカレスク・ロマン。
           (紹介文より)

K
―――人間は人間であるかぎり、けっして親を憎んではいけない。たとえどのような親であろうと、けっして恨んではならない。親に対する恨み憎しみは、おのれの血を蔑むことだ。おのれを蔑めば、人間のただひとりも生きていけない。


―――あの人は他人に情けをかけても、けっして恩は着せない。人を好いても、好かれようとはしない。義というものを知っている。あれは男の中の男だ。


―――おとっちゃん。
おいらを許してくれろ。孝行もせず、恨みやつらみばかり言っていたおいらを、どうか許してくれろ。
おいらは馬鹿でも犬畜生でもねえ、人間だ。嬉しけりゃ笑うし、切なけりゃ涙も出る。そんなことをおいらはずっと忘れていた。


木練柿  あさのあつこ

2009-12-18 22:21:24 | 読書メモ あ行
《内容》
あの男には力がある。人を惹き付け、呼び寄せ、使いこなす、それができる男だ。娘は、男から刀を受け取り、抱き込みながら何を思い定めたのだろう。もう後戻りはできない。月の下でおりんは「お覚悟を」と囁いた。刀を捨てた商人遠野屋清之介。執拗に事件を追う同心木暮信次郎と岡っ引伊佐治。                            (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――商いは人が動かねば成り立たない。人を動かし、品を商う稀有な才覚をこの男は確かに掌中にしているのだ


―――だけど、血の繋がりってそんなに大切なんだろうか。親と子の繋がりって、血のことじゃなくて、心のことじゃないのだろうか。母になろう娘になろう。その思いこそが大事じゃないのだろうか。


―――人を疑い、己の心に鎧を被せるより、ささやかな喜びに身を浸し、好ましい相手と酒を酌み交わして生きて行きたい。
 それは眩しいほどの幸せではないか。


―――まっとうな人間は、まっとうな明日を信じて生きている。
 しかし人の生きる道は優しくも温かくもない。まっとうさなど欠片もない。突然に牙をむく。穴があく。闇溜まりに落ちる。あちこちに罠が仕掛けられているのだ。あちこちに巧妙に。


―――人の定めは人の力で変えられます。必ず、ね。

いつか響く足音 柴田よしき

2009-12-18 15:46:23 | 読書メモ さ行
《内容》
ばらばらのようで、つながっている。これって、なんだか家族みたい。かつては夢の町、今では世界の端っこみたいな、この団地。借金だらけのキャバ嬢も、息子に見捨てられた老女も、猫を追うカメラマンも、皆どこかに帰りたい場所がある。もう戻れないと、分かってはいるけど。でも、ここだって案外、あったかい――。「家族」を想う全ての人、必読!共に生きる意味を問いかける連作小説集。
           (紹介文より)


☆☆☆☆☆
―――頭の中で思い描いた通りに行動できれば、人生は随分と簡単で楽なものになるだろうに、と、


―――人の記憶とは、こんなにも都合よくできているものなのか、と里子は可笑しくなる。辛かったことや悲しかったことはどんどん忘れていくのに、楽しかったこと、嬉しかったことはいつまでも心に残っている。

その男、詐欺師につき・・・!

2009-12-14 23:03:50 | Weblog
その男は午後の2時過ぎにお店にやってきた。年のころなら60歳前後黒っぽい上下のスポーツウェアらしきものを着て、顔が大きくて色黒中肉中背、下の前歯の入れ歯がぐらぐらするのか少し話しづらそうだ。手には濃い灰色のきんちゃく袋をもっていた。そして、

「人に贈るので5000円位の急須を見せて欲しいんだけれど」
「今あるのはこのていどですね」と言って、ショウケースの中の急須を示すとそれには目もくれず、
「じゃあ、2個で5000円程度のものでも良いので、ちょっと見せてもらいます」、といって暫く選んでいたのだが
「相手が商売をしているので大きめの急須ともう一つ選んでくれ」
「では、これはどうですか?」と私が朱泥の大きい急須を手に取ると
「うん、それでいい。もう1つは別の色にして」
「そうですか、どれにしましょうか」私が隣の急須スペースをみていると
「そっちのじゃなくてここのでいいよ」と緑泥を指差した。
合計で5400円ほどになった。
「それと一番高いお茶を500グラム銀色の袋に詰めてもらえる?」
「はい、できますよ。ですが高級品ですから100g詰めにしてあるほうがよろしいのではないでしょうか」と私。
「ああ?そうなんだ。銀の袋に入っているのでいいよって、相手の人が言うんでね」
「私は内装屋なんですけどね、実は熱海のその人にお客さんを紹介してもらったのでお礼をしたいんですよ。で何が良いかと聞いたらお茶と急須で結構だといわれたので、それでこちらに来たんですよ」
「それでね、こんな大きさのぎゅっと絞まった袋のお茶がいいよっていうもんだから・・・」
「そうですか、ではもう少し安いお茶のことを仰っているのですかね?」と私。
「いや、一番高いお茶のことだよ。でもお茶は小分けでいいか相手の人にもう一度
聞いてからにする、急須だけちょうだい」、と急須だけ買って帰っていった。

その後「さっき、変なお客さんが来て急須を2個買って行ったよ。以前組合から連絡があったお茶やを狙った詐欺師のかもな、ハハハ」なんて話していると小一時間ほど経ってからその男は電話をかけてきた。

「今高田の馬場にいるんだけど、さきほどお宅で買った急須を相手に渡したらば蓋が違っているって突っ返されたよ」といってきた。
これはまさしく組合から通知があった詐欺師かな、どうしよう?
でもまさかそんな事は無いだろうと思って、とりあえず、
「いえ、確認しているのでそんなはずは無いと思いますよ」
「あそうですか」といって電話はきれた。
「あれ?やにアッサリきれたな」でもそういえばあの時、店のKちゃんが急須を箱に入れるとき急須の蓋と中に入っている値札が違っていたけど、その時は入れ間違えたのかな程度で気にしなかったけれど・・・などと思っているとしばらくしてまたその男がやってきた。ちょうどお客様で込んでいる時に。

「電話にでたのはだれだい」 
「はい、私です」
「ほら、これ見てみなよガタガタしてるから変でしょ。」
実際手に取ってみると蓋のすわりが悪い。でも何か変だ。よく見ると蓋のシールには帯茶こしの文字があるがこの急須の茶こしはさわやか茶こしのタイプだ。
蓋が違っているのだ。

それで全てを理解した。組合からあった詐欺の手口とそっくりだ。
この男は急須の品定めをしている間に、よく似た色の二つの緑泥急須の蓋をすり替えておいて、大きい朱泥急須ともう1つ選んでいるとき、そっちのじゃなくてこれでいいといった訳だ。そして私にとらせた。

ショウケースの中の急須に見向きもしなかったのは手に取ることができず、蓋をすりか替えることができないからだ。
詐欺の手口はこのあと熱海までの新幹線代を要求されたってあったけど・・・
クソ!あっ頭きた

「お客さんこれ蓋を取り替えたでしょ」男の顔色に変化が。
「なに言ってるんだ、あんたが持ってきたんじゃないか」心なしか元気が無い。
「おーい、Kちゃんさっきのお客さんだけど」このときKちゃんはトイレ。

「でも変だななんかへんだな
「それじゃ俺がなんかしたみたいに聞こえるけど」
「ウ~っむ」
「おーい、Kちゃんまだかい」などとしてると、この男ちょっといらつく。
トイレから出てきたので「箱にしまう時蓋はどうだった?」と訊くと
「さー?」Kちゃん
「とにかく、この急須はいらないから返品すんでお金を返してくれ」
「わかりました、返金します。申し訳ありませんでした」Mさんたちは他のお客様の対応中・・・

結局これ以上の進展は無くこの男は帰っていきました。
被害を未然に防げて一件落着でした・・・

ところが、このことを組合武蔵野支部長として支部の皆さんに報告して注意を促がそうと連絡すると、なんと最初に電話した隣駅のH園さんにすでに来ていてすっかりひっかかってしまっていました

「H園さんこんにちは、以前組合から連絡があった詐欺師がうちに来たんで気を付けてくださいね。ほら、急須がなんたらかんたらっていう話の・・・」
「エーさっき来たよ。新幹線代を払っちゃったよ
「ホントにー、何時頃来たの?」
「2時間前くらいかな」
「じゃ、うちに来る前に来たんだ
「細沼さんもやられちゃったの」
「いいえ、途中でなんか変だなと思ったんで事なきを得たんだけど」
「ちょっとヤクザっぽかったでしょう、だからねー
「そういわれりゃそうだけど、なんだかなーくやしいねー
「でも、新幹線の切符は本物だったよ」
「あー、そういやあレシートと一緒にそれらしいものを持ってたな。でもあきらめたんだな。警察に連絡しておいた方がいいですよ。他の皆さんにも連絡します」
「そうだね・・・」

という訳でくやしいやら、頭にくるやらの一日でした。
お茶屋の皆さん要注意です
















セレモニー黒真珠  宮木あや子 

2009-12-14 15:21:09 | 読書メモ ま行
《内容》
生きてるうちに、言えればよかったのだけど…。悲しいお別れをやさしく見守ってくれる、葬儀屋さんたち。町の葬儀屋「セレモニー黒真珠」を舞台に、アラサー女子・笹島、メガネ男子・木崎、謎の新人女子・妹尾が織り成す、ドラマティック+ハートウォーミングストーリー。『花宵道中』宮木あや子流ラブコメは、スッキリ笑えてじんわり泣ける!葬儀屋を舞台に男女3人の仕事と恋愛を描く連作短編集。宮木あや子流ラブコメは、泣けるラブコメ。
            (紹介文より)


☆☆☆☆☆
―――人は自分にないものを求める。それと同時に、理解してもらいたがる。


―――目の前に現れた終わりの見えない階段の前に、それまで背負い込んでいたいろいろなものを脱ぎ捨てた

ニサッタ、ニサッタ  乃南 アサ

2009-12-14 08:32:15 | 読書メモ な行
《内容》
明日から。明日から、がんばろう。失敗を許さない現代社会でいったん失った「明日」をもう一度取り返すまでの物語。普通のサラリーマンだった耕平は、会社の倒産をきっかけに、じわりじわりと落ちていく。まだ戻れる、まだ間に合うと思いながら。気がつけば、今日を生きるので精一杯。最初の会社を勢いで辞め、2番目の会社が突然倒産し、派遣先をたて続けにしくじったときでも、住む場所さえなくすことになるなんて、思ってもみなかった。ネットカフェで夜を過ごすいま、日雇いの賃金では、敷金・礼金の30万円が、どうしても貯められない。取り返しのつかないことなんてない、と教わってきたけれど。でも――。
             (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――「だぁれも見てねえと思っても、天はちゃあんと、見ていなさるもんだ。人を喜ばしてみたり、ちゃんと正しい行いをしてれば、そのうちきっとご褒美が来んの。そういうもんだ」


―――明日のことなんか、誰にも分かりっこねえもんだ。いっくら考えたって、どうなるもんでもんねえ。だからなあ、もうこわくてたまらんと思うときはねえ、まずは今日やることだけ考えてりゃあいい。

猫の匂いのする侍 芦川 淳一

2009-12-14 07:23:47 | 読書メモ 

《内容》
江戸の町で立て続けに三件の辻斬り事件が起きた。すべての死骸は一太刀の下、鮮やかに斬られ、体のどこかに朱色の蝶の刺青があった。闇の社会に巣食う連中の仲間割れか?南町奉行所同心の坂崎甚之助に辻斬りの下手人捕縛の協力を求められ奔走する滝沢俊作だが、猪田藩から執拗に送り込まれる刺客に困惑する。大好評シリーズ第二弾。
         (紹介文より)


K


あした咲く蕾  朱川湊人

2009-12-13 21:46:33 | 読書メモ さ行
《内容》
「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。
       (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――きっと世の中には、自ら進んでのら犬になった犬はいない。ほんのわずかでも、愛されていること――――自分が誰かに必要とされていることが実感できれば、踏み外しかけた道を戻ることもできるのではないかと思う。

誰かと暮らすということ 伊藤たかみ

2009-12-13 21:35:59 | 読書メモ あ行
《内容》
当たり前の幸せは、当たり前そうに見えれば見えるほど手に入れにくいものなのです。うまく気持ちを伝えられない不器用な男女、倒産寸前の店を抱える夫婦、離婚してひとり暮らしを始めた女性…ひとつの町に浮かび上がる、著者新境地のハートウォーミング・ストーリー。
          (紹介文より)


☆☆☆☆☆
―――当たり前の幸せは、当たり前そうに見えれば見えるほど手に入れにくいものなのです、と。


誰かと暮らす前に読めればいいなぁ。