細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

涙絵馬-長編時代小説  吉田 雄亮

2011-01-28 23:25:26 | 読書メモ 

《内容》
絵馬に秘めた男と女の契り… 不貞の証か、真実の恋の形見か? 無頼浪人たちの標的は、深川一帯の絵馬堂に! 紅灯煌く深川の外れの荒涼とした木置場。そこで駕篭舁2人と材木問屋の主が惨殺された。やがて、深川の寺社に奉納された絵馬が何者かによって盗まれ、浪人と思しき者の惨殺体が発見される。材木問屋乗っ取りが密かに進行する中、深川鞘番所支配の大滝錬蔵は、絵馬に込められた意味を探る……。市井の男と女の哀しい宿世を描く傑作時代小説、佳境のシリーズ第8弾。
                  (紹介文より)

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オルゴォル   朱川湊人

2011-01-26 07:35:14 | 読書メモ さ行
《内容》
「実は前から、ハヤ坊に頼みたいことがあってなぁ」東京に住む小学生のハヤトは、トンダじいさんの“一生に一度のお願い”を預かり、旅に出る。福知山線の事故現場、父さんの再婚と新しい生命、そして広島の原爆ドーム。見るものすべてに価値観を揺さぶられながら、トンダじいさんの想い出のオルゴールを届けるため、ハヤトは一路、鹿児島を目指す。奇跡の、そして感動のクライマックス!直木賞作家による感動の成長物語。
               (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――人間って、変わる生き物だからね。本人に代わるつもりはなくても、毎日会っている人に影響を受けたり、今までとは違う経験を積んだりすると、気がつかないうちに変わっていくものなのよ

―――少しでいいから、その人の身になって考えてみること・・・・それが賢くなるコツや、残念やったのは、二人の意見が合わせられなかったことやな・・・・でも、ふたりとも間違ってないんやから、答えを出すのに、たくさんの時間が必要だったかもしれんね。

祈る時はいつもひとり(上)   白川道

2011-01-25 21:55:13 | 読書メモ さ行
《内容》
バブル崩壊以前、兜町に舞った伝説の仕手株「風」。人間の欲が蠢くその舞台裏で暗躍していたのは香港黒社会と日本のヤクザだった――。リサーチ会社を経営する茂木彬は、かつて、伝説の仕手株「風」の仕掛人・尾形和宏のもとで親友の瀬口良則と共に働いていた。仲間たちとともに夢を追い邁進する茂木だったが、ある日突然、尾形が謎の死を遂げる。伝説の仕掛人の突然の死。不穏な空気が漂う中、さらにその数日後、瀬口が何も告げずに行方をくらませてしまう……。茂木は、友と夢を同時に失い、失意に苛まれ自堕落な日々を過ごすようになる。かつての、闊達で希望に満ちた茂木という男の姿はどこを探しても見つからないのだった。時は流れ、5年後。突如として、「風」の復活の噂が流れると同時に、未だ行方の知れない瀬口の顧客であった暴力団の影もちらつきはじめる。さらには、瀬口の妹・純子が茂木の前に現れた。彼女が茂木のもとを訪れた真意とは。親友と思っていた瀬口は、なぜ何も言わずに姿を消したのか。彼の身に一体何が、もしや瀬口は生きているのか、それとも……。5年前の出来事から未だ立ち直れずに日々を過ごしていた茂木は、改めて瀬口を捜すことを決意する。だがそれは、香港黒社会をも巻き込んだ恐るべき犯罪の真相に分け入ることを意味していた――。命を命とも思わぬアウトローたちを敵に回し、果たして茂木と純子は瀬口を見つけ出すことができるのか。そして、彼らを待ち受ける驚くべき真相とは?東京、神戸、香港を舞台に、男の矜持と男女の愛情を描き切った感動巨編!雑誌連載から大幅改稿。10年の時を経て堂々完成!
             (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――どうやら人の相性というのは前頭葉とは無関係のところで繋がっているらしい。結局のところ、気心が許せる仲というのは、他人はむろんのこと、その当人ですら理解できぬものかもしれない。

―――たしかに言葉というのは、事実を教えるのには適している。しかし気持ちを表現するには不十分なもので。口に出してそれを表現すればするほど、その努力とは相反して、相手に残酷な追い討ちをかける結果になってしまう。無言の空気を通じて伝えるいたわりや優しさのほうがはるかに心の真実を伝えるものだ。

―――医きりにはこの世のなかの美しさを知ることは必要だ。でなくては生きている意味がない。しかしその逆に、醜さというものは人が生きていく上では本来不要のものだ。

夏目家順路  朝倉かすみ

2011-01-23 07:32:24 | 読書メモ あ行
《内容》
74歳のある日、脳梗塞で亡くなったブリキ職人の夏目清茂の葬儀に集う人々のさまざまな人生が、清茂の死を中心にして交錯する。
            (紹介文より)

☆☆☆☆★
―――むなしさとか、さみしさとか、そういうものが首の後を吹き抜けていくようである

きみ去りしのち  重松 清

2011-01-22 22:46:54 | 読書メモ さ行

《内容》
どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。―生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。再生への祈りをこめて描かれた傑作長編小説。
          (紹介文より)

☆☆☆☆☆

―――後悔のない人生もないけど、意味のない人生だって、ないと思わない?

(中略)たくさん後悔をして、昔より優しくなったのかもしれない、とも思う。

 

―――「幸せに、死んであげたい」

 


あんじゅう 三島屋変調百物語事続  宮部みゆき

2011-01-22 22:26:09 | 読書メモ ま行
《内容》
さあ、おはなしを続けましょう。三島屋の行儀見習い、おちかのもとにやってくるお客さまは、みんな胸の内に「不思議」をしまっているのです。ほっこり温かく、ちょっと奇妙で、ぞおっと怖い、百物語のはじまり、はじまり。
           (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――「神様でも人でもさ、およそ心があるものならば、何がいちばん寂しいだろう」
それは、必要とされないということさ。

―――美味しいお茶、きれいな躑躅、いいお天気。そういう小さなことこそが幸せなんでございますよね。でも、ひとつでも悩みを抱えていると、どうしたってそこから目が逸れてしまうんですよ。足りないこと、辛いこと、思い煩うことばかりで頭がいっぱいになってしまって

―――人は変わる。いくつになっても変わることができる。

―――お店が流行れば、恨みを買う。人の幸せは、他人の妬みを引き寄せる。

―――人の世の縁(えにし)の妙でござる

さくらの丘で   小路 幸也

2011-01-22 22:15:33 | 読書メモ さ行
《内容》
“さくらの丘”を満ちるたちに遺す―。遺書には、祖母が少女時代を送った土地を譲ると書かれていた。一緒に渡されたのは古びた鍵がひとつ。祖母の二人の幼なじみも、同じメッセージをそれぞれの孫たちに伝えていた。なぜ、彼女たちは孫にその土地を遺したのか。鍵は何を開けるものなのか。秘密をさぐりに三人の孫は、祖母たちの思い出が詰まった地を訪れた―。三人の少女たちの青春が刻まれた西洋館、そこを訪れた私たちが見た光景は―二つの時代が交差する感動の物語。
               (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――人間は戦いを止められない。人間の歴史は戦いの歴史だ。
 でも、私たち女性は赤ん坊を産む。命を産む。それは、戦いで殺されるために、死にに行かせるために産むのじゃない。
 生きていくために、命を産むのだと。
 それが私たち女性に、与えられた力なのだと。

―――戦争を憎む。
 でも、人は憎まない。
 女性が、子供たちが、笑っていられる平和な世界を望む。