のたりずむ♪ぷれ ~門耳(カドミミ)~

門耳=聞。小耳に挟んだ歌舞伎関連情報や見たお芝居の感想メモです。

2007年9月:歌舞伎座 夜の部 

2007-09-13 01:22:30 | 書いたぞ: 感想書きました~
観劇日:2007/9/10(月) 16:30~20:55
会場:歌舞伎座
観劇位置:3階10列上手より

1:壇浦兜軍記:阿古屋

◆配役
遊君阿古屋玉三郎さん
榛沢六郎染五郎さん
岩永左衛門段四郎さん
秩父庄司重忠吉右衛門さん

◆演目について
近松先生の「出世景清」というお話を長谷川千四と文耕堂が改作して作り上げたのが
このお話。
長谷川千四と文耕堂のお2人は「梶原平三誉石切」を合作者でもあります。

今回上演の部分は全五段のうちの三段目にあたる部分だそうです。

ナマで観るのは今回初めてです。
玉さんが三種演奏しているのは、映像を観たことありますが。

◆のたりの眼
・幕開き
刻の太鼓の音が響くような感じです。
上手に義太夫さんとお三味線が4×4

・びっくりその1:段四郎さん/岩永 なんと人形ぶり!!
2人の黒子さん付です。これは知らなかったので、びっくりしました。
また義太夫さんと息もピッタリで。
しかし、太夫さん、あの、迫力・腹力の満ちた声で、よく一幕持つなぁ(^_^;)
すばらしいです。ほんと。
そして、岩永の眉の動きとリアクションがまたナイス♪
なんだか、かわいらしささえ感じてしまいました♪

しかし、片や人間、片や人形っていうのは、なんかヘンな感じもしますね(^_^;)
人形ぶりの場合、相手も人形ぶりになるか、1人の場合が多いような気がしますが、
今回みたいのは、めずらしいのかな~

・びっくりその2:黒御簾から飛び出てジャジャジャジャーン
 という感じでしょうか(^_^;)
三味線演奏の時に、普段は黒御簾の位置の壁から、所作代?にのった
長唄さんとお三味線1×1が登場!
玉さんと一緒に音あわせ?もばっちりされてから、いざ、演奏。
三味線演奏が終わるともに、台ごとまた引っ込んでいかれました(^_^;)
うーん、これは初めてみる演出だ…

・びっくりその3:阿古屋は妊婦さんだった!
と、イヤホンガイドの解説に聞いたような気がしたんですが・・・
ってことは、妊婦さんに拷問したのか、岩永ーっ!!

ちなみに悪七兵衛景清の彼女である阿古屋。
この人は実在の人物だったんでしょうかねぇ。
同じ景清と阿古屋の物語である 近松先生の「出世景清」だと、
阿古屋と景清の間には子供が2人いるとか、
阿古屋が嫉妬から景清を裏切って密告したとか、
なんか今回のこの場面から想像するところとは、
ちょっと違う趣の話になっているようです。

もひとつちなみに。
阿古屋はほんとに景清の行方は知らないようです。
今回上演の部分の前の下りで、景清の行方を知るチャンスは
あったようですが、こうした拷問にかかることを予期して、
わざと聞かない道を選らんだようです。


・びっくりその4:以外と眠くならなかった(^_^;)
実は、琴も三味線も、きもちよ~く ウトウトさせていただいてたんですが、
最後は「King of 催眠効果」の胡弓。
「こりゃもうダメだな(^_^;)」
と思ってたんですが、意外なことに、これが実は3種の中で一番、
面白かったというか、リズミカルで聞きごたえがありました。
他のはお三味線の同じ演奏がかぶるのですが、これはなんせ
音からして違うので、玉さんの演奏がはっきり聞こえます。

しかし、胡弓は「弾け」ではなくて「擦れ」というんですね、秩父庄さん。
胡弓の演奏を歌舞伎座で聴くのは初めてではないはずなんですが、
今回、観てて、改めてバイオリンに似てるなぁ と思いました。
でも、バイオリンと違って、胴の上の竿の付け根のあたりを「擦る」んですね~。

ちなみに3種のうち、この胡弓以外の2つには玉さんの唄が入りましたが、
これは入りませんでした。
まぁ、眠くならなかったことに、これは無関係だと思いますが・・・(^_^;)

・義太夫さん
1人一役で4人。お疲れ様です。特に岩永の太夫さん(^_^;)
(すみません、お名前チェックできませんでした)
【9/14追記】
岩永の担当は泉太夫さんでした!
※六条亭さんにコメントで教えていただきました♪ありがとうございます!m(__)m


・染五郎さん
うーん、声がきてますねぇ(ーー;)

・吉右衛門さん
さわやかです。とことん。
最後の場面は絵面の中央でかっこよく決まってます。
ところで、疑い晴れて放免となる阿古屋を「聞きたいこともあるから」
と、自分の家に連れて行かせるみたいなんですが、その意図は?

・一糸乱れぬ
阿古屋を花道を連行してくる捕吏6人(阿古屋前後に3人づつ)。
一糸乱れぬ「ダンッ」という足拍子?が力強く響き、迫力があり、
且つ、とてもキレイです。


◆花道度:中
染五郎さんの出と、阿古屋御一行?の出だけです。
が、のたりの眼にも書きましたが、阿古屋御一行同行者の捕吏による
足拍子。あれはもっと近くでその響きを感じてみたかったです。


2:新古演劇十種の内 身替座禅

◆配役
山蔭右京團十郎さん
太郎冠者染五郎さん
侍女:小枝右之助さん
侍女:千枝家 橘さん
奥方:玉の井左團次さん

◆演目について
今年、何本目の身替座禅でしょう(^_^;)
一番直近は7月の松竹座の仁左さんの右京に歌六さんの玉の井というコンビでした。
今回も奥方の怖さでは決してひけはとらない(^_^;)左團次さんと
ちょっと意外な気もする團十郎さんの右京です。

◆のたりの目
・千枝が艶っぽ~い♪
今月、これ一役の家橘さんの千枝が、同じくこれ一役の右之助さんの早枝に
比べてやけに艶っぽく感じられました。なんでだろう??
と思ったら、どうも千枝の方が早枝に比べて、襟元が大きく開いてるような
気がします。これが原因かな~

・團十郎さん/右京
こちらも今月、これ一役。
でもそのわりに、太郎冠者の染五郎さんとお2人でちょっと声が危険信号(^_^;)
うーん、今からこんな調子で大丈夫かな~

あと、ちょーっと物足りない感じがしたのは、ナンなんでしょう?
高い声が 私のアタマの中の右京のイメージと違うのかなぁ。
スケベっぽいセリフは、わりといい感じではあるかな、とも思いますが・・・
でも、最後の奥方に何処へ行っていたと追及されて答えるところは、
なんかアヤシイ外人さん状態でした。あれはちょっと・・・(^_^;)

ちなみに私の中の右京役者は菊五郎さんと仁左さんと勘三郎さん かな。

・奥方、吠える
うーん、左團次さんの奥方、「カーッ」と吠えてます(^_^;)
が、こんな吠えてましたっけ、奥方って(^_^;)
いや、それがまた、かわいらしいんですが(^_^;)
ちなみに左團次さんの奥方は、美しさの中に怖さを含ませてるような微笑みが
印象的です(^_^;)

・長唄さんと囃し方さん
後半、正面の松が飛んで、舞台正面に登場したのは、杵屋巳沙鳳さんと望月朴清さんのコンビ率いる一団でした。


3:秀山十種の内 二條城の清正
    清正館/二條城/御座船


◆配役
加藤清正吉右衛門さん
豊臣秀頼福 助さん
藤堂和泉守歌 六さん
清正妻:葉末芝 雀さん
井伊直孝歌 昇さん
茜染千之助男女蔵さん
吉本又市種太郎さん
侍女:芦屋吉之丞さん
森作右衛門桂 三さん
飯田覚兵衛由次郎さん
池田輝政友右衛門さん
浅野幸長芦 燕さん
本多佐渡守段四郎さん
大政所魁 春さん
徳川家康左團次さん


◆演目について
「蔚山(うるさん)城の清正」「熊本城の清正」と並ぶ清正三部作の1つ。
初めて見ます。

◆のたりの眼
・全体をいうと
最初の「清正館」が、ご贔屓も出てきて、1番おもしろかったかな~。
最後の「御座船」は・・・うーん、「二條城」のラストのままで終わっても
別にいいのかなと思ったんですが、この場面がないと、話として
まとまらないのですよね~
でも・・・正直、ちょっと、退屈してしまいました。
最後の最後ということもあって、まわりのお客さんにも、わりと
「早く帰りたい」という雰囲気がちょっと(^_^;)

吉右衛門さんや福助さんの「熱さ」は感じられるんですが・・・<(ーー;)
うーん、せっかく感じですから、もう少しコンパクトにまとまりませんかねぇ。(^_^;)

「二條城」は、人がたくさん出てきて、舞台装置も豪華ですし、
吉右衛門さんと段四郎さんのタヌキじーさんの火花の散らしあいは、
対決ムードがあって、なかなかでしたが・・・うーん、でも人が多すぎるのか、
「先代萩」の「対決」のような緊迫感までは 行かない感じですかねぇ・・・。

・吉右衛門さん
ほんとに絶食してたみたいに見えたのは3階からという遠さゆえかなぁ(^_^;)
しかし、うーん、吠えてますねぇ清正。
今月の夜の部は 「阿古屋」の岩永といい、「身替座禅」の奥方といい、
この清正といい、吠える人がたくさんいますねぇ(^_^;)


・左團次さん/家康
なんとなくタヌキっぽいというか、ネコっぽいというか…
なんか動物を連想させるお顔のつくりになってました(^_^;)

・福助さん/秀頼
凛とした若殿、似合いますね~。
衣装の色のイメージもあるのかもしれませんが、とても「凛とした」と
いう言葉が似合う感じがしました。

・魁春さん/大政所
おぉ、こんなところに魁春さんが!でも、今月、これ一役だけですか??
うーん、勿体ない・・・


・ご贔屓さんを捜せ~
「清正館」にて、陣太鼓を打つのは錦弥さん、それから
種太郎さんの鎧装着の手伝いに清正の槍もちにと、あちこちに活躍するのは
吉之助さんと見ましたし♪
清正の戦支度を手伝うのは又之助さん、清正館の腰元?お女中?には吉之丞さんも。

「二條城」ではのっけに登場のW萬屋:歌六さん歌昇さん
歌昇さんの鎧姿は今月2度目ですが、チラシのお写真は昼の「熊谷」の堤軍次の方かな?

それから 秀頼一行の茶坊主2人のうち、1人が高麗蔵さん??と思ったんですが
チラシの配役にはお名前でてませんでしたし、間違いかもしれません(^_^;)

お女中(腰元?)さんには芝のぶさんもおりました♪
この二條城のお女中さんたち、帯の部分に、とてもきれいな「被布」
というんでしょうか、布がかかってます。スケスケのキラキラです。
それがお女中さんたちの動きにフワフワとゆれて とてもきれいでした♪

あと、家康側の譜代の大名(下手側)に喜之助さん??

◆花道度:中
二條城での、申し次の侍の出と、秀頼御一行様の出だけでした。

=■オマケのボヤキ■=
私の座席の前のブロックが、ボコッと空いてたんです。
そしたら「身替座禅」でひと組、その後「清正」では続々と、
みなさん、他のブロックから民族大移動・・・<(ーー;)

以前も書いたかもしれませんが、私、席の移動は基本的に反対です。
「隣が帰っちゃったので」くらいの移動はいいと思いますが、
「座席種をまたぐ移動」 と 「上演中の移動」は、
個人的には許容範囲外です。

しかし「上演中の移動」は歌舞伎座のアナウンスでもしないでくれと
言っているのに、客席を監視している係員のお姉さんが何も言わないのは
なんでなんでしょうねぇ・・・(ーー;)
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4 コメント

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阿古屋の竹本は (六条亭)
2007-09-13 12:46:16
こん♪♪は。

阿古屋の竹本は、語りも三味線も一人ずつ役が割り振られているのが面白いです。岩永は、泉太夫ですね。泉太夫は岩永専任みたいで、私が拝見した時はいつも同じでした。

ご存知かもしれませんが、竹本協会に今月の舞台出演の方が載っていますね。

http://www.kabuki-music.com/takemoto/katudou-koremade.htm
返信する
おいでませ 六条亭さん♪ (HineMosNotari)
2007-09-14 23:58:55
情報、ありがとうございます!知りませんでした!竹本協会のページの出演情報。
太夫さんはなかなか識別がつかない方が多いので、これは助かります!

>岩永は、泉太夫ですね。
そうか、泉太夫さんでしたか。ありがとうございます。感想の本文の方にも追記しておきますね。
しかし、そうか、協会のHPの記述は並び順どおりというわけでもないんですね。ここは注意せねば。 泉太夫さんは・・・「岩永の太夫さん」で覚えられるかな~。

しかし、泉太夫さん、「専任」というのも、わかるような気がします。あの声で、あのテンションで、あの長丁場。あれを1ヶ月、やり続けるのは、声丈夫の太夫さんでも、かなり難しいのではないかと。(特にテンションが(^_^;)
気候の変わり目ですから、太夫さんも声の調子の管理が大変だと思いますが、千穐楽まで、がんばってほしいです!
返信する
たびたびの登場で・・・ (お駒)
2007-09-16 14:46:23
「HineMosNotari」さん、こんにちは。
再び「お駒」で御座います。
たびたびの登場で、失礼致します。
と言ったところで、
「壇浦兜軍記」ですが、途中からは玉三郎さんのワンマンショー?っていう感じでしたね。筋書きの「上演記録」を見たところ、平成以降の「阿古屋」役は、玉三郎さんだけなんですね。
確かになぁ~って感じました。私も私の周囲のお客さん達も、じっと聞き入っていた感じでした。大きな拍手をしてやりたいのですが、どのようなタイミングでしたら良いのか悩んでいるようでした。演奏途中だと失礼ですし、演奏が終わると、秩父庄司重忠のセリフが入ってしまうので・・・。
それから、「二条城の清正」ですが第二幕(船の上)の場面、いつもだったら眠くなるような場面ですが、不思議と聞き入っていました。ですから、スゴク見応えのある演目だなぁ~って感じてました。また、「HineMosNotari」さんも言っていますが、福助さんの若殿・・・いいですねぇ~、似合いますねぇ~、素敵ですねぇ~、華がありますよねぇ~、男の色気があります!、本当に「凛として」いますよねぇ~。
数年前の演目「勧進帳」、富十郎さん、吉右衛門さん、福助さんで上演された時の義経役の福助さんを思い出しました。
これも素敵でした。女形をされているので、男役の時に素敵な色気、艶が出せるのかなぁ~って思います。
そして、九月大歌舞伎で一番楽しみにしていたのが「身替座禅」の「奥方玉の井」役の左團次さんです。
どんな「奥方玉の井」になるのかなぁ~って楽しみにしていました。「どう考えても女形は出来ないだろう?」っていう感じですから・・・。でも「世の中、このような奥方もいるよな?」っていう感じで以外に似合っていましたね。
それから、團十朗さんのセリフの言い回し、私、好きなんです。
しっかり発音する言葉の中にも多少の粘っこさが感じられて・・・。
この「身替座禅」は、いつ観ても楽しいですね。
特に、それぞれの役者さん達の表情が・・・。

また、舞台写真が販売されていました。
久しぶりに、玉三郎さんの舞台写真を購入する事が出来ました。やっぱり綺麗ですねぇ~満足満足♪♪♪

返信する
もひとつおいでませ お駒さん♪ (HineMosNotari)
2007-09-17 00:19:53
お、舞台写真出ましたか! 情報ありがとうございます。買いに行かねば♪

「阿古屋」の拍手、そうですね~、タイミングってむずかしいですね~。私が観劇していたときは、お1人おおきな拍手をされていた方がいましたが、たしかにセリフにかぶったり演奏が聞こえにくくなったりで、ちょっと「う~ん(ーー;)」と思ったこともありました。ちなみに私はいつも最後にしかしてないかな~。というのも、双眼鏡握りながらで、片手が常にふさがっているので、途中はなかなか拍手できないんです(^_^;)。

「二條城~」、お駒さんは私が撃沈してた舟の場面が見ごたえありましたか~。うーん、やっぱり、人それぞれですね~。

左團次さんの奥方は、私も楽しみでした。どなたがやっても、それぞれの個性があって楽しめる役ですね~奥方も。
しかし、今年は本当に「身替座禅」が多い!(^_^;)
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