笑いはなぜ起こるのか
それは、一つには、予想ギャップである。
くそまじめな人がミスった。これは笑いをさそう。他人の失敗が、それが自他ともに害を及ぼさない程度なら、周囲の笑いを誘う。これが自分のミスだと、苦笑になる。
予想ギャップには、このように、予想より下方向へのずれがあるケースと、逆に上へずれるケースとがある。とても勝てないと予想していたテニスの勝負に勝てた。あたるとは思えない宝くじがあたった。いずれのケースでも、笑いが起こる。
マイナス方向にずれたときの笑いとプラス方向にずれたときの笑いとは、笑いの質が異なる。前者は、他人あるいは自分への憐憫の微笑あるいは苦笑、後者は喜びの笑いとなる。
もっとも、プラスかマイナスか、判断しがたいケースもある。
お笑いタレントのお笑い。
奇想天外な仕草で笑いを誘う。これは予想外の仕草ゆえに、誰もが笑うことは確かだが、どっち方向のずれかはにわかには判断しにくいところがある。こういうときは、笑って気持ちがすっきりならプラス、後味の悪さがあるならマイナスとでも判断するしかない。
言うまでもなく、笑いの質が良いのは、喜びの笑いである。そんな笑いなら、誰でもたちどころに10個くらいは挙げることができる。毎日がそうした喜びの笑いに満ち満ちているように錯覚するが、実は、頻度はそれほど多くはない。ためしに、昨日一日を思い出して、喜びの笑いが何回あったかを数えてみてほしい。筆者の場合、2度。メル友から送信してもらった写真を見て一回、ブログのコメントをみて一回(ちなみに、写真もコメントも同一の人)であった。喜びの笑いがない日のほうが多いはずである。