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隠蔽

2007-04-23 | Weblog
「安全・安心の心理学」新曜社

4-4
06/6・22海保博之
隠蔽


**4行あく

           ムムム隠せるものなら隠したい
●ひき逃げが増加
 佐賀県唐津市で起こった、小学5年生が車に轢かれて、さらに森に運ばれて放置され犯人が逃走(後日、逮捕)してしまった事件はまだ我々の記憶に新しい。これほどひどいケースではないが、最近、ひき逃げが増加していることが事件の統計からわかる。***注1
事故、それも人身事故を起こしてしまった時の当事者の気持ちの動転ぶりは想像できる。しかし、だからといって、「被害者を放置したまま現場から逃げてしまうなんて、なんと人倫にもとることをするのか」というのがおおかたの部外者の気持ちであろう。
これほどのミスの隠蔽工作の背景には、どんな心理が働いているのであろうか。なお、隠蔽には、組織がおこなうさまざまな隠蔽工作があるが、それについては、本書のいくつの項目で触れているので、ここでは取り上げない。

● 隠蔽のさまざま

健康診断

2007-04-22 | 認知心理学
やや肥満以外に何もなし。
オールA
視力低下があるので、眼科の検診をすすめるとあるが、
あのランドルト氏環がみえないでけで、
あとは、不便はない。
パソコン画面を見るのは専用のめがね
車の運転にも別の専用のめがね
本よみ、TVは裸眼で不都合はない。
むしろ、聴覚のほうの低下のほうが困っている。

名前なし

2007-04-22 | 心の体験的日記
ある研究所の原稿を書いた
依頼から受領まで
一切、相手は名前を出さない
メールだけでなく、校正原稿の依頼にもない
これもめずらしいが、やや不安でもある。

社内メールってどうなっているのだろう
会社一括で同じアドレスというのもあるし、
個人アドレスらしきもののある


交通事故はなぜなくならない

2007-04-22 | 安全、安心、
新曜社刊行 芳賀繁訳 より

●リスク・ホメオスタシス理論(RHT)は、どのような活動であれ、人々がその活動から得られるであろうと期待する利益と引き換えに、自身の健康、安全、その他の価値を損ねるリスクの主観的な推定値をある水準まで受容する。p7
● 事故予防の動機づけアプローチを提示する。
● 効果的な安全管理技術は、リスクの目標水準を低下させる技術
● 技術、教育、医療がどんなに進歩しても、人びとが事故で死ぬ確率を減らすことに失敗すると示唆する理論を唱えるのは、異端ではないのか。p34
● 個人の行動に関するものではなく、所与の行政地域における全道路利用者に関するモデルである p42
● ホメオスタシスは出力が不変であることを意味するのではなく、設定変数に出力を一致させるためのプロセスなのである。p48
●永続的な効果をもつ対策は、唯一、人びとのリスク目標水準を下げることである。p56
● 「本質的リスク」の変化を予期する人間の能力もまた、安全対策の効果を減少させる。
道路が2車線に拡幅―>本質的リスクの低下を予測―>より不安全な行為をする(行動補償)->事故率は変化しない

● 事故被害の総量は、個々の行動の帰結の合計なのである。p62
● この理論は、一定人口あたりの事故率を説明するためのものであって、特定個人が事故を起こす確率や、直接的事故原因、たとえば、知覚、意思決定、操作上のエラーを説明するものではないことを強調しておきたい。p64
● 安全は技能の問題ではないのだ。おそらくは、「優れた」訓練を受けたという優越感からくる自信過剰かリスクの過小評価が、事故率の差を生んだ。p109
● レーシング・ドライバーの事故歴を調べた研究によると、同性、同年代のドライバーに比べてかなり衝突事故の頻度が高かった。p110
● リスクテーキングが人格特性の一種ではない。
● 事故を起こす傾向が安定した個人特性ではないからである。
● 事故原因の中に人格特性を探そうとしても、干し草の山の中に落とした針を探すのと同じくらい見込みが薄い。
● 人は意見を尋ねられてから意見を形成するかもしれない。
● 人びとが受け入れてもよいと感ずるリスクの水準は、4つの戦術で介入することによって下げることができる。p227
・ 慎重な行動によって感じられる利益を増やすーー戦術A
・ 慎重な行動によって感じられるコストを減らすーー戦術B
・ 危険な行動によって感じられるコストを増やすーー戦術C
・ 危険な行動によって感じられる利益を減らすーー戦術D」

頭脳マッサージ法

2007-04-22 | 認知心理学
00/1/18海保 さくら総合銀行 社内報 連載

「頭を柔らかく」
頭脳マッサージ法

●対象読者 銀行員
●連載 1年12回
●社員が柔軟な思考ができるようになるための
 ヒントを提供する
●題材
誤り
集中
発想 連想
記憶
●4カテゴリー 3テーマで 12回

1章 失敗しながら生き生き生きる---失敗の心理学
・失敗がノーベル賞に
・失敗から学ぶ
・失敗から立ち直る
・失敗を防ぐ
・失敗しながら生き生き生きる

2章 ゆったり生きる---リラックスの心理学
・高度注意社会を生きる
・集中の癖を知る
・集中力をコントロールする

3章 情報を豊潤にする--記憶の心理学
・情報を豊かにする
・使ってみる
・人は情報なり

4章 頭をアバウトに使う---発想の心理学
・論理的ばかりはだめ
・連想を活発にする
・執拗に考え続ける
・外に出してみる


認知的体験 再掲

2007-04-22 | Weblog

●認知的体験( )01/4/20海保「新学期も落ち着く」
混乱もおさまり、いよいよちう時期。しかし、それも連休でとぎれれる。幸か不幸か、連休の谷間に授業があるが、断固することになる。久しぶりの大人数の講義も楽しくできそう。準備もできた。
●認知的体験( )01/4/20海保「使い回し」
同じ材料を使い回すのは楽でよいが、順番を間違えるとまずいことになる。学会報告を論文にするのはよい。逆はだめ。紀要を論文にするのは微妙。自分の本に使ったものをもう一冊別の本でも使うのもやや不誠実だが、だめとは言えない。絶版本のリメークは問題はないが、それを知らずに2冊買ってしまった人には申し訳ない。時間を置くのがコツ。やりたい本として、「こうすればわかりやすい表現になる」と「漢字を科学する」がある。本の検索システムが完備してきたので、最近欲しいのだがありませんかとの問い合わせが何件かある。

R&Dのための発想管理

2007-04-22 | Weblog
03/5/19海保 トヨタ講演準備
     R&Dのための
     発想管理の心理学からの6つの提言
      ---創造的思考のためのヒント---

     海保博之 筑波大学「心理学系」

概要******************************************************* R&Dにおける創造的思考を展開するための発想管理の考えどころを、頭の働きを研究している認知心理学の知見をベースに、6つ取り上げてみる。
 まず最初に、創造的な人とはどんな知的および性格的な特徴を持っているかを吟味する。
 ○提言1「創造的な人は、どんな人かを知る」
 ついで、発想の準備期(提言2と3)から,その途中の孵卵期と啓示期(提言4)、そして検証期(提言5)での発想管理のポイントを提言してみる。
 ○提言2「制約条件にこだわり過ぎは創造的発想を抑制する」
 ○提言3「発想を芳醇にするには、具体-抽象の往復思考と         類推思考とが有効」
 ○提言4「潜在処理を活用する」
 ○提言5「失敗を活かす」
 最後に、創造的成果を生み出すには、創造的な人を孤立させない文化、それを支えるチーム力が必要なことを述べる。
 ○提言6「創造を孤立させない」
***********************************************************
潜在記憶のデモに使う実習(pp  )

提言1「創造的な人は、どんな人かを知る」
1-1)創造的な人の「知的側面での特徴」は、創造性検査からうかがい知ることができる。
 知能検査が収束的思考(唯一の正解にできるだけ速く正確に到達する)の性能を測るのに対して、創造性検査は、唯一の正解のないところでの思考の展開(拡散思考)の性能を測る。
実習「創造性検査に挑戦してみる」(pp  )
   創造性検査を構成を構成する6つの下位検査
   (1)問題へ鋭敏さ 問題点や改善点が指摘できる
   (2)思考の流暢さ 大量にアイディアが浮かぶ
   (3)柔軟性 多彩な思考を展開できる
   (4)独創性 非凡なアイディアを生み出せる
   (5)綿密さ 細部まで注意をはらって完成させる
   (6)再定義 概念を分解したり、再構成できる
 知能と創造性を組み合わせて、人を類型化してみる(pp  )。
「知能も高く、創造性も高い人」は問題ないが、
○「知能は低く、しかし、創造性は高い人」(エジソンやチャーチルのような人)の生き方、活かし方がポイント。

1ー2)創造的な人の「性格側面での特徴」としては、(pp  )に示すようなものが挙げられている。誰からも好かれるような性格ではないところに注意されたい。

**
提言2「制約条件にこだわり過ぎは創造的発想を抑制する」
----------------------------------------------------
創造性とは、制約だと自ら思い込んでいるものが何かを知り、それを取り除き、除去した結果がどうなるかを考えることができる能力のことである。(ラッセル・エイコフ)
-----------------------------------------------------------
 理系人間は、制約の中での課題解決に慣れている。

実習1「あなたは理系人間?」(pp  )
実習2「制約は解の発見を妨害する」(pp )(pp )

 しかし、創造的な発想は、制約条件に縛られると出てこない。ときには、制約条件をはずして発想を展開してみる必要がある。そのための考えどころとして、
○制約条件の呪縛から自由になる思考訓練をする
実習3「○をあれこれ変えてみると」(pp )
実習4「”わんぱく者(SCAMPER)”発想をしてみる」(pp  )

○制約にとらわれない、あるいは制約そのものを問題にする傾向のある文系人間との共同思考も有効である。

***
提言3「発想を芳醇にするには、具体-抽象の往復思考と類推思考とが有効」
 知識なくして創造なしだが、知識があるだけでは創造的な発想にはつながらない。創造のためには、既有知識のネットワークの組み替えが必要である。それを促すには、既有知識の活性化と、連想の活用がポイントになる。

○既有知識を活性化する
実習1「知識の活性化とは?」(pp 、 )
 具体的な方策としては、
○知識要素を広く浅く刺激する
  例 本のパラパラめくりや、とりとめのない連想をするなど
○見えるようにしておく
  例 ポストイットやKJ法など

3ー1)活性化した知識の世界で垂直連想(抽象-具体往復思考)、水平連想(類推)をする(pp  )
○具体-抽象の往復思考は、具体の桎梏からの解放、抽象の空論からの解放が期待でき、発想が芳醇になる。
実習2「具体-抽象思考をする」
 例 構造改革の具体例を3つ挙げよ(具体思考)
 例 次の2つのケースに異なる概念を割り付けよ(抽象思考)
   ・「12歳少年、父親を殺害」「中学生、コンビニ強盗」
   ・「12歳少年、父親を殺害」「中学生の不登校急増」

3ー2)類推は、あるものとあるものとが似ている(要素が、構造が)ことの発見は、より深いもう一つの知識を生む(pp  )。これが創造になる。
実習3「類推思考を鍛える」
 次の例のようなたとえ(直喩)をできるだけたくさん挙げよ。
  トヨタの車は、(例)豹のように、敏捷だ。
         (1)
         (2)
実習4「肝臓に癌がある。外部から放射線を患部にあてて治療したい。しかし、あまり強い放射線を当てると周囲の健康な組織を傷つける。さてどうする」
 しかし、類推は、「模倣」あるいは「本歌取り(ほんかどり)」あるいは「剽窃(ひょうせつ)」あるいは「換骨奪胎」と紙一重。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
ピカソは他人の作品を恰好の踏み台にして、思う存分相手をしゃぶり尽くしながら、結果的にはまったく独自なピカソの世界を作り上げてしまう」(高階秀爾)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
****
提言4「潜在処理を活用する」
 創造には、考えに考えたあと、アイディアを温める孵卵(ふらん)期が必要である。そこでの潜在的な情報処理---いわば、知識をアイドリング状態におくこと---が啓示を生む。(pp  )

実習「潜在記憶の実験を体験してみる」(pp  )

 潜在的な情報処理が創造的な啓示をもたらした例としては、
・セレンディピティ(あるものを探していたら、以前、どうしても見 つけられなかったものが偶然見つかった)
----------------------------------------------------
「何かが難しかったら、それをどうしても仕上げようなどと無理をせずに、何か別なことを新しくやりなさい。もっとやさしくて手に合ったことを…。すると古いことも、2年後には自然と終わっていたり、立ち消えになっているものですよ……」(ベートベン)
-----------------------------------------------------------
・蛇がとぐろを巻いている夢をみてベンゼン環の構造を思いついたケ クレ
 こうした啓示に導くような良質の潜在的な情報処理を保証するには、
孵卵期に先立つ準備期での強烈な問題意識と高い思考密度、さらに発想の方向をガイドする鋭い感性が必須である。
○強烈な問題意識は、わずかなヒントが創造を触発する
----------------------------------------------------
異なった分野の本を読むことが、創造へと通じていくのは「暗黙知」を刺激するからだろうか。辻井 喬 (堤 清二)
-----------------------------------------------------------
○高い思考密度は、活性の自動的な拡散範囲を広げる(pp  )
○鋭い感性が発想を価値ある方向へ導く
 感性とは、「感情系が介入した知的情報処理」である(pp  )。 感性の働きは、3つ。
・状況への適応的な即応をさせること
 ・知的情報処理の方向性をガイドすること。
 ・知的情報処理の生成物を評価すること。
○感性を磨くには、ベストなものに触れる
 例 画商は、徹底して本物の特徴を頭にたたき込む
----------------------------------------------------
「突然のインスピレーションは数日間の自発的な努力のあとに限って起こる。そしてそれまでの努力はまるで無駄なように思われ、そこからはなにもよい結果が出てくるようにみえず、通ってきた道は全く正しくなかったように思われる。しかしその努力は人が思うほど不毛であったわけではない。その努力が、無意識の機械を作動させたのであって、その努力なしには機械は動かず、したがって何も生まれなかったことだろう。」(J.アダマール(伏見康司ら訳)「数学における発明の心理」みすず書房)
-----------------------------------------------------------
*****
提言5「失敗を活かす」
 ヒューマンエラーには4つのタイプがある(PP  )。
 創造的な活動の中で、それぞれのエラー(失敗)がいかに発生し、また、それをどのように生かすかを考えてみる。

5ー1)使命の取り違えエラーと創造
 企画段階での創造的発想は、組織の使命の制約をはみ出ることもある。時には法律違反、手順違反をおかすリスクもあるが、
○ベンチャー的な経営方針の構築などには有効。

5ー2)思い込みエラーと創造
 創造活動に特徴的な、強い信念と感性とに支えられた思い込み的な知的活動は、思い込みエラーとなるリスクも高いが、
○思い込みは問題解決に向けての高い集中と活動をもたらす
なお、思い込みの特徴は、
 ・視野狭窄(pp 、 )  
 ・正しさを確認できる証拠しかみない/みえない(確証バイアス)
 ・エラーをしても自分ではエラーであることに気がつかない

5ー3)うっかりミスと創造
 実験でのうっかりミスが発明・発見につながった例は多い。なぜか。
○1つには、思考実験だけではわからないこと、やってみないとわからないことがあるからである。「発見は発見したい人にしかおとずれない」のである。
○2つには、問題意識を刺激するからである。
  例 インク漏れする万年筆での書類作成の失敗が、ウオータマン    万年筆の開発に。
○3つには、垂直思考、水平思考(類推)を促すからである。
  例 フレミングのペニシリンの発見は、放置しておいた病原菌の    皿が青カビに覆われしまった失敗がきっかけ。

5ー4)確認ミスと創造
 使命の取り違えエラーと思い込みエラーは、自己確認はほとんどできない。仲間からの指摘が必要となる。ただし、エラーかどうかの破断が難しいし、判断を急ぎすぎると、創造意欲が削がれる。
 うっかりミスは、ただちに確認ができることが多い。
○ミスの内容への興味、なぜミスをしたのかの考察が創造につながる。
 (pp )

******
提言6「創造を孤立させない」

2ー1) 創造的な人は、仲間や上司などから好かれない性格の持ち主が多い。しかも、仕事の仕方も独特であるので、チームとしての共同ワークには向かない。したがって、孤立しがちである。
 しかし、創造には、それを支える「創造文化」とでも言うべきものが社会、組織に必要である。孤立した個人では創造はできない。
 創造を生む文化とは、たとえば、次のような雰囲気である。
 ・個人の発想を大切にする
 ・失敗・リスクを許容する/正解志向でない/ポジティブな雰囲気
 ・建設的な批判が飛び交う
 ・タイムリミットよりワークリミットを重視
 ・管理的でない
 ・外部に開かれている
 ・異質が混ざり合っている
・左手思考(直感、美、感情、主観、イメージ)を尊重

2ー2)創造を生むチーム力もある。それは、チームのメンバー構成に関しては次のようなものである。6人のチームを例にすると
・1人の創造的な人(idea generater)
・1人のアイディア・ジェネレターを支える人(idea supporter)
・2人の創造を具体化する学校秀才(idea actualizer)
・1人の発想管理のリーダー(idea manager/killer/checker)
・1人の組織の創造文化に染まっていない異質アイディア・ジェネレ ータかアイディア・チェッカー 
----------------------------------------------------
日本人は個人としては優秀な人が多いのに、組織に入るとだめになるんだ。(坂村健)
----------------------------------------------------
 さらに、チーム力で創造性を高める方策としては、
○準備段階での発想生成を促すブレーン・ストーミング(pp  )やチームによるKJ法(pp  )の活用
○検証段階での具体化の技術、知識を蓄積技術
  例 プロトタイプ制作技術
  例 暗黙知の形式知化の技術(pp )
----------------------------------------------------
 仲間意識の強い集団、つまり凝縮性の高い集団の場合、成員はいずれも互いにその集団に深く関与するようになる。それゆえ、成員は集団から排除されたり仲間の支持を失うことを恐れるという事情が生ずる。このようなとき、成員の主たる関心は、仲間内でことを荒立ててないで現在の望ましい関係を維持することに向けられる。この関心が集団を支配する暗黙の規範になるのである。その結果、当面する問題をいかに上手に適切に処理するかということよりも、むしろ仲間からの支持を得ることを第一に考えてしまう。「集団思考」とはそうしたなかで人々がとる思考形式である。(斎藤勇「人間関係の心理学」誠信書房より)
-----------------------------------------------------------
まとめ
 創造活動の4つのフェーズにおける発想管理のヒントを述べてきた。
 天才の創造活動と、普通人の創造活動とは同じではない。ときには両者の間に葛藤・軋轢が起こることもある。しかし、普通人が営々として作り上げてきた創造文化あっての1人の天才的創造である。「創造文化」の醸成も大事となる。

参考図書
○海保博之 「連想活用術」 中公新書




「安全・安心の心理学;リスク社会をいく抜く心の技法46

2007-04-22 | 安全、安心、
「安全・安心の心理学;リスク社会をいく抜く心の技法46」
新曜社

3-8
06・6・20海保博之
3部 危険対処
模擬訓練


**4行あく

           ムムム危険を擬似的に体験することから学ぶ
●危険に遭遇することはほとんどない
特別に危険な仕事に従事している人でない限り、身の危険に遭遇することは、一生のうちでも数えるほどという人が大部分であろう。自分の個人的な体験でも、ヒヤリハット体験は数々あれど、身の危険を感ずるようなことは、幸いなことに皆無である。
そんなこともあって、ニュース報道で安全を脅かす数々の事件、事故、災害が取り上げられることの多い昨今ではあるが、それが明日は我が身に、と思う人もそれほど多くはない。多くの人は、それはどこか特別な世界で起こった絵空事との思いさえある。
そうなると、問題は、実際に危険に遭遇したときの対処の方策を身に付けることができないし、その必要性さえ感じないということにもなりかねない。そこで考え出されたのが、疑似体験、模擬訓練である。

●危険を疑似体験する

スパムのメッセージ

2007-04-22 | Weblog
・ (Normal) yukako 土曜日 2 地元のオバサンを抱きたいですか?レベルは低いですが確実
X (Normal) 岡部 大貴 土曜日 1 お久しぶりです
X (Normal) 森 愛翔 土曜日 1 Re:
・ (Normal) 真央 土曜日 1 お元気ですか?


こんなメッセージをつけると、スパムと混同されて
メールが届きません。
それにしても、おもしろいし、有効なメッセージですね
勉強になります
脱帽です

「やさしく、わかりやすく、簡潔に表現する」

2007-04-21 | わかりやすい表現
02/4/20海保 「ナーシングトウデイ 」2002年7月号
111112222233333444445555566666
30文字/1行
6800文字=30文字 227行   
4月25日締切り

  「やさしく、わかりやすく、簡潔に表現する」
     東京成徳大学人文学部 海保博之

はじめに
 看護の現場では、ねらいによって、表現を次の3つ形態に分けることができる。
 一つは、癒しを目的とした表現である。もっぱら、患者を慰めたり、元気づけたりすることをねらった表現である。
 2つは、説明を目的とした表現である。看護行為のねらいを教えたり、自分の思いをわかってもらうための表現である。
 3つは、指示を目的とした表現である。相手に自分の指示した通りに何かをしてほしいときの表現である。
 本稿では、それぞれの表現形態別に、その表現効果を高めるために考えるべき基本的な問題やコツを提示し、特集の総論とする。

第1 癒し系の表現はやさしさがポイント
***
患者「お見舞い客が多くて嫌になっちゃうわ」
看護師「そんな贅沢を言ってはだめよ。誰も来てくれない患者さん    もいるのよ」(悪)
***
●やさしくする
 「やさしさ(優しさ)」にはいろいろの意味があるが、ここでは、「情深い、情がこまやか」(広辞苑)の意味である。
 心理学的に、やさしさにもっとも近い概念としては、「共感性」
がある。相手の気持ちをどれほど思いやれるか、それを自分のものとして感ずることができるかである。
「癒し系の表現はやさしさがポイント」とは言うものの、やさしさは性格特性の一つでもあるので、単なる表現の問題だけでは片づかないところがある。
 しかし、仕事の現場では、やさしくない性格の人でも、やさしさの表現ができなければいけないこともある。また、もったいないことではあるが、性格的にはやさしい人でも、それをうまく表現に表せないということもある。
 いずれも、やさしさを職業上の一つの表現技術として身につけて損はない。そのコツは、カウンセリング技術の中にある。

●表現させるだけで癒しになる
 カウンセリングでは、もっぱら患者とカウンセラーとの言葉のやりとりを通して、患者の心の悩みを解消することをねらう。
 流派やカウンセリングの段階に応じてさまざまな技法が使われるが、いずれにおいても、患者の悩みをいかに引き出す(表現させる)かが大事とされている。それがなぜ癒しになるのか。
 一つには、人は話すこと/話を聞いてもらえることで心すっきりということがあるからである。話すことのカタルシス効果である。
 もう一つは、悩みを、言葉という客観的で感情的には中性的なシンボルで表現することで、悩みを自覚できるようになるからである。患者の悩みは、自分自身で悩みの本体がわからない不安から発していることが多い。悩みの本体が自覚できれば、その不安から逃れられるし、自分なりの対処もできる。

●耳を傾ける
 患者から悩みを引き出す技術として、傾聴がある。
 傾聴とは、相手の言うことに耳を傾けることである。これなら誰にもできそう。しかし、相手の前に座って、「さー。あなたの悩みを話してください。いくらでも聞きますから」では、うまくいかない。傾聴にもそれなりの技術がある。
 まずは、やさしさ/共感性をどう表現するかである。
 ここは、もっぱら、非言語的な表現に頼ることになる。からだ全体で、あるいは顔の表情や視線で、相手を受容することを表現する。
 その上で、相手の話を反復、確認、要約してやる。話すことを促したり、安直な感想や解釈や結論を出さない。ましてや、こうしたらどう、といった指示は、少なくとも初期の段階では厳禁。
*******
患者「お見舞い客が多くて嫌になっちゃうわ」
看護師「お見舞いが多くて嫌になるわけね*下線部が確認*」(良)
*******

第2 説明系の表現はわかりやすさがポイント
***
患者への説明
「内固定とは、金属プレーとやスクリューを使って手術的に固定することです」(悪)
***
●わかりやすくする
 専門を同じくする人々の間では、説明する側と説明を受け取る側との間に、知識ギャップがないので、説明のわかりやすさは問題とはならない。そこでは、説明する情報の充足性と正確性とが第一義的に大事となる。
 わかりやすさが問題となるのは、看護師と患者の間のように、はなはだしい知識ギャップがある場合である。もっとも最近、日本では、患者側の知識水準はどんどん上がってきてはいるが。
 説明をわかりやすくするには、この知識ギャップをいかに克服するかが問題となる。

●相手の知識の世界に歩み寄る
 説明をわかりやすくするには、まずは、説明しようとする内容について相手がどれほどの知識を持っているかの見当をつけることが必要となる。
 これは、癒し系の表現のところで述べた共感性と根は同じ、ただし、「知的な」面ということで、知的共感性と呼んでおく。
 相手が目の前にいるなら、知っているかどうかを確認しながら説明すればよい。その心がけが、知的共感性を反映している。
 関連して、筆者の個人的な体験を一つ。医師の説明でわからない言葉が出てきたので、「”けいつい”ってなんですか?」と質問したら、「黙って終わりまで聞いてからにしてください」と言われてしまった。
 質問にもマナーがあることは承知しているが、この一言で、医師の説明は一気に専門的な権威の世界に閉じ込められてしまい、わかろうとする意欲も失せてしまった。
 さて、知的共感性の発揮に加えて、さらに、説明をわかりやすくするための具体的な工夫を3つ。

●用語の解説をする
 医学のように専門性の高い分野では専門用語が頻出する。これが説明をわかりにくくする。「病院で聞くことば辞典」なる本まで出版されている。
 説明をわかりにくくする用語にも次の3種類がある。
1)身体や機器などの部分の具体名称
2)病気名や機器の機能などの抽象用語
3)仲間内だけで使わわれる、いわゆる業界用語
 使わなくて済むのは、3)の業界用語だけで、あとはどうしても使わざるをえない。
 ただし、業界用語も使いなれてしまうと、業界外の人にもついうっかり使ってしまうことがあるので、充分な注意が必要ではある。
 本誌の「愛すべきギョーカイ用語」欄を参照されたい。たまたま今回3月号を読ませていただいたが、「全人的医療」という用語をめぐっての業界内外の理解ギャップを見事に物語に仕立てあげて解説してあるので、じっくりとお読みいただきたい。
 1)の具体名称は、その部分を絵で見せて示すことになる。
 面倒なのは、2)の抽象用語である。どうしても、解説が必要となる。
 冒頭の例に挙げた説明は、本誌「楽しく読んじゃう医学・看護辞典」欄の1節である。全体の解説は見事であるが、これは、関連する知識を共有する人(看護師)への解説。素人への解説となると、これではまだ不十分である。次のような工夫が必要となる。長くなるがしかたない。
○日常用語---その多くはやまと言葉になるが---への徹底した言 い換え
○ビジュアル化する
○他の関連する用語との関係を示す
○相手のなじみのある具体例で示す
○相手のよく知っている世界にたとえる
*******
患者への説明
「内固定とは、骨を折ったときに*日常ことば*行なう治療の一つです*全体-部分関係*。木など*日常ことば*で外から固定するのが外固定、手術をして内部で金属などで固定するのを内固定と言います*対比関係*。絵を見てください*ビジュアル化*。」(良)
*******

●メリハリをつける
 電話番号を、「0298534613」と表現されたらどうであろうか。あるいは、「カネオクレタノム」と書かれたら途方に暮れてしまうであろう(区切り方で3通りの意味がある)。
 同じ情報でも、内容の意味的なまとまりごとに区別して「見せてやる」と、相手の情報の処理効率が高まり、わかりやすくなる。
 さらに、大事なものとそうでないものが「見てわかる」ようにしてやると、平板に表現するよりも、わかりやすくなる。
 このように、表現する内容を区別化し階層化してやるのが、メリハリ表現である。
 本誌のどの記事にも、小見出しがいくつか入っている。もし、これがなかったらどうであろうか。
 メリハリのない平板な表現は、相手にすべての情報を等しく処理させることになる。結果として、頭の中が情報で一杯になってしまい、何が何やらわけがわからないということになりがちである。
 相手を目の前にして話すときのメリハリ表現は、声の抑揚やジュスチャーに自然にできるものと、「一つは***、2つは***、」というような区切り表現を意図的に使ったり、ビジュアル表現と併用したりすることで、より効果的なメリハリ表現が可能となる。

●概要、全体、意図を先に
 表現をわかりやすくする3つ目の工夫がこれである。
 表現がわかりにくくなるのは、相手が持っている知識との関連づけができないからである。
 「これから表現することは、こんなことです」ということを先に提示することで、関連する知識をあらかじめ用意して(活性化して)もらい、それに関連づけてもらう。
 筆者が講演などでよくやる小実習を一つ。
 「大文字のTを逆さまに描いて、その上に三角を描いてください」
 ほぼ8割の人が、木のような絵( )を描くが、2割の人は、別の絵を描く。実は全員にグラスのような絵( )を描いてもらいたかったのだが、と言い、そのためにはどうしたらよいかを考えてもらう。
 一つは、もっと詳しく説明するべきという意見が出る。
 もう一つが、「グラスのような絵を描く」ことを先に言うべしという意見も出る。この実習の意図は、後者の意見を引き出すことである。
 表現の冒頭に、表現内容の概要や全体像、さらには、表現意図
を述べる。それによって、相手は頭の準備体操ができる。情報を処理する引き出しを用意できる。
 ここでも、本誌に作り込まれている次のような趣向が、その具体例になっている。
○特集の章扉や記事の冒頭で、概要や意図を述べている
○タイトルや小見出しで、内容の概要がつかめる
○全体イメージを与えるイラストがある
○目次で雑誌全体の記事が概観できる

第3 指示系の表現は簡潔さがポイント
***
表示「ここでは喫煙はできません」(悪)
***
●簡潔にする
 人に何かを指示しようとするときは、そのエッセンスを簡潔に表現することが何より大事となる。
 ところが、簡潔な表現は、情報を充分に伝えられない恐れがある。そこでつい表現がくどくなる。くどくなれば、何をすべきが見えなくなり、指示の効果が低下してしまう。
 かくして、簡潔さの中に、どのようなエッセンスをどのように作り込むが勝負どころとなる。
 
●指示のエッセンスは2W1H
 人に指示をするときの表現のエッセンスは、何を(what)なぜ(why)どうやって(how)の2W1Hである。
 ・危ないです(what)。車が来ます(why)。左に寄ってくだ  さ い(how)。
 ・注射をします(what)。痛みを止めるためです(why)。  腕を出してください(how)。
 いつも2W1Hが必要というわけではない。自明なもの---その多くはwhyであるが---は省略してさらに簡潔な表現にすることがあってよい。
*******
表示「禁煙*what*。タバコは待合室脇の喫煙所で*how*。タバコの煙は人の健康の害になります*why*。」(良)
******* 
●指示の仕方にも工夫を
 一度にたくさんのことを指示しても、忘れられてしまったり、エラーをさせることになる。1回の指示では一つだけに限定する。
 さらに、なんのためにそれをするか(趣意説明)も簡潔に言う。これによって、自分のすることがその趣意に合っているかをチェックしながら仕事をしてもらえる。

おわりに
 表現技能は、看護の専門技能に付加価値を付けるものである。同じ技術を持っていても、表現技術が貧弱であれば、周囲の評価は低くなってしまう。
 表現技術は、ちょっとした心がけと日常的な実践によって上達する。本特集を、そのきっかけにしていただければ幸いである。

参考図書
東山紘久 2000 「プロカウンセラーの聞く技術」 創元社
海保博之編著 1996 「説明と説得のためのプレゼンテーショ  ン」  共立出版
海保博之 1992 「文書・図表・イラスト 一目でわかる表現の 心理技法」共立出版
  
****本文、4行 オーバー 231行***

ヒューマンエラーを事故につなげないために

2007-04-21 | Weblog
「海保著「ミスに強くなる」中災防新書

111112222233333444445555566666
30字 117行 3500字
01/11/8¥海保
*下線はゴシックで
*「連載にあたり」はポイントを小さく

リレー連載;
ヒューマンエラーを事故につなげないために
---心理安全工学序説
    筑波大学心理学系 海保博之

●連載にあたり  *****この項は活字を小さく****
 前半の7回の連載では、「心の管理不全」を鍵概念として、心を十全に管理できないために起こるヒューマンエラーに焦点をあてて、それを事故につなげないための方策を提案してみる。題して、心理安全工学序説。海保が一人で執筆する。
 後半の5回は、交通、医療、プラントなど業種別に、事故防止策の数々を心に焦点を当てて紹介していただく。それぞれの現場に詳しい5人の方々のリレー連載となる。

 前半7回の概要は次の通りである。
●第1回 心の管理不全と心理安全工学
 我々は自分で自分の頭の働きを知るメタ認知機能を持っている。そのおかげで、自分で自分の頭の働きを知り行動をコントロールできる。ただし、いつもそれが完璧に機能しているわけではない。その隙をつくかのようにして、事故が起こる。心の管理不全を、メタ認知機能の自己管理不全、およびメタ認知機能の外部管理不全との関係で考えてみる。
●第2回 知覚管理不全と心理安全工学 
 物を見たり聞いたりといった知覚機能はほとんど自動的に働いている。それだけに意識的に自己管理するのは難しい。しかし、見落とし、見誤り、といった知覚機能に由来する事故は少なくない。ここでは、人の知覚特性に配慮した外部の環境設計が重要となる。
●第3回 記憶管理不全と心理安全工学
 人は膨大な知識を記憶している。その知識の取り込み、記銘、保持、運用の不全がエラー、事故につながることがある。さらに、外からの知識管理の支援も忘れてはならない。頭の内外で知識が適切に管理されていないと、エラー、事故が発生する。
●第4回 思考管理不全と心理安全工学
 人間の最も高次の知的活動である思考には、コンピュータのような厳格で信頼性の高い側面もある一方では、独断、偏見、思い込みなどなど「高次」とはほど遠い側面もある。後者はとりわけ、エラー、事故に深く関係している。高次であるだけに、意識的な自己管理が可能な領域である。
●第5回 注意管理不全と心理安全工学
 注意不足とエラー、事故との関係はよく知られている。しかし、単なる注意の不足だけで事を済ましてしまっては事の本質を見逃すことになる。注意の特性を踏まえた注意管理の方策を、人と外部とを含めて考える必要がある。
●第6回 感情管理不全と心理安全工学 
 感情の管理は個人のプライバシーに踏み込むようなところがあるためか、タブー視されてきた。しかし、感情の不安定は、知的活動に微妙な影響を及ぼし、ひいてはエラー、事故にもつながる。扱いにくい領域ではあるが、エラー、事故防止に限定するなら、自己管理と外部管理の方策を考えることも許される。
●第7回 行為管理不全と心理安全工学
 認知活動は最終的には行為として実現される。しかし、認知と行為の間には微妙なズレがある。そのズレがエラー、事故につながる。
計画ー実行ー評価(PDS)の最適化が必要とされるところである。
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****ここから本文。ポイントを一つ大きく****************
第1回 心の管理不全と心理安全工学

●心を管理する
 我々は自分で自分の心をある程度までは知ることができる。これを、認知についての認知ということで、メタ認知と呼ぶ。あたかも頭の中にもう一人の自分(ホモンクルス;頭の中の小人)がいて頭の中をのぞき込んでいるような図式である。

図 頭の中にもう一人の自分(ホモンクルス)がいる 別添

 心を管理するというとき、まず、このメタ認知機能の働きをきちんとおさえておく必要がある。
 メタ認知は、自分の認知機能を知る機能(自己モニタリング機能)
と、自分の認知機能を調整する機能(自己コントロール機能)とに大きく分かれる。
 自己モニタリング機能としては、次の3つがある。
  ・自分が何を知っていて何を知らないかを知る(知識)
    例 機械の構造は知らないが、どうすれば動かせるかは
      知っている
  ・自分は何ができて何ができないをを知る(能力)
    例 携帯電話をしながらの運転は自分にはできない
  ・自分が今どのように頭を働かせているかを知る(認知活動)
    例 やや集中力がにぶってきている
 自己コントロール機能としては、
  ・どのように頭を働かせればよいかを知る(方略選択)
    例 忘れてしまいそうなのでメモをしておこう
  ・認知活動を最適なものに調整する(調節)
    例 ここは大事なところなので集中しよう
 メタ認知のこうした機能が十全に働いていればエラーも起こりにくくなる。

●心の管理不全とは
 心の自己管理不全というときは、まずは、このメタ認知が十全な働きをしていないということがある。
 メタ認知が十全に働かないのは、一つにはメタ認知力が充分についていないからである。
 たとえば、幼児のメタ認知力は大人より低い。幼児に、「数字を何個くらい覚えられる」と聞くと、10個とか3個とか適当な数を言う。実際に記憶させてみると、4個くらいしか覚えられない。自分の記憶能力についてのメタ認知が充分にできていないからである。
 メタ認知も能力の一つなので、人によって高い低いがある。当然、メタ認知力が低いと、能力以上のことをしようとしてエラーが発生することになりがちである。
 メタ認知が十全に働かないもう一つのケースは、認知活動そのものに注意が集中してしまったり、逆に、心の機能全般が弱体化してしまったりで、メタ認知機能の働く余地がなくなってしまっているような状況のときである。
 たとえば、ゲームに熱中しているようなとき、あるいは、ぼんやりしているようなとき、自分の心をみつめる(内省する)ようなことはしない。当然、熱中しているときは大局を忘れるエラーが、また、ぼんやりしているときはうっかりミスが起こる。
 メタ認知にかかわる、こうした心の自己管理不全は、言うまでもなく本人自身の責任に帰せられる。しかし、そうした状態にさせた外部(組織、上司、仲間、環境など)の責任も問われなければならない。それもまた、人の心への配慮不足という点で、心の管理不全ということになる。

●心の外部管理不全
 「心の外部管理」という言い方は、土足で人の心に入り込むような印象を与えるので、あまり穏当ではないかもしれない。しかし、人の心に配慮した、エラーに強い作業環境の構築の大事さを訴えために、あえて使ってみた。
 心理安全工学の趣旨は、メタ認知はいつも十全に機能するわけではないという前提で、事故防止策を考えることである。
 メタ認知機能の強化策を考えることも一つの重要な柱であるが、それと同じくらい重要な柱として、メタ認知の働きを外部から支援したり、機能不全を事故につなげない外的な仕掛け---具体的には組織的な仕掛けと環境的な仕掛け---を考えることもある。
 この2本の柱が、バランスよく実行されている状況では、ヒューマンエラーが起こっても、それが事故に直結することはない。
 身近な具体例を挙げてみる。
 筆者は、交差点での右折車の指さし確認を実行している。これが、心(注意)の自己管理である。
 さらに、最近あちこちの交差点で見ることができるが、右折車レーンに特殊加工した塗料をはって車が目立つようしてある。これが、心の外部管理の一つである。目立つものには注意が自然に引かれるという注意の特性に配慮した環境設計だからである。

 以下、6回にわたり、こうした2つの観点からエラーを事故に直結させないための心理安全工学の話をしてみる。
 想定する読者としては、安全担当の管理や研修をしている方々である。したがって、「心の自己管理」の話も、作業現場で働く方々のそれをいかに支援するかというような形で展開することになる。




 

我が家のテイッシュペパーの消費量は膨大

2007-04-21 | 心の体験的日記
通販で保湿性のものを段ボールで4箱ずつ買う
花粉症の季節はその消費量が凄い。
季節が終わっても、使う。
家のあちこちに箱が置いてあって
使いまくる

裏紙を使うほどの紙けちが、鼻紙だけは別なのだ。

写真はその段ボール箱

心、からだ、還暦

2007-04-21 | 心の体験的日記
11111222223333344444555556666630文字/1行 70行

03/9/28海保 日本電気協会 「電気協会報」2003年11月号

随想「心、からだ、還暦」<---タイトル

「今在るものを今在るままに保とう、この姿のままでいたいと願うことがしょせん無理なのだという、決してあきらめではなしに、覚悟の上の開きなおりがあれば焦りも苦しみも薄らいでくるに違いない。」(石原慎太郎「老いてこそ人生」幻冬舎文庫、p51より)

●還暦を終えた
 今原稿を書いているのは、9月15日、敬老の日である。
 NHKの番組では、100歳越え元気老人の特集番組が放映されていた。新聞では、65歳以上の高齢者が2431万人で人口比の19%を占めたことを報じている。
 そして、個人的なことで恐縮だが、9月14日には還暦を機会に、研究室のOBや親しい人との宴席を開いてもらった。自分よりもはるかに貫禄のついた56歳の大学教授を筆頭に25歳の女子大学院生までが一同に会しての談論風発で実に楽しいひとときを過ごした。
 というわけで、ここ1週間は、自分の年齢がらみのことへ否応なしに思いがいった。
 
●「心もからだもまだまだ」が危ない
 昨今の日本社会の定年事情を考えると、大学教官である自分の定年63歳はちょっぴり申し訳ない気がする。還暦を過ぎても、今までとまったく同じ生活があと3年は保証されるのだから。
 それはさておくとして、同じ環境が続くからか、自分の心もからだもとりたてて変化がないとの思いはかなり強い。しかし、この思いがあまり強すぎると何かと危ないらしい。
 青年期から高齢後期までの、心とからだのおおまかな発達曲線を描いてみると、図のようになる。


3  心とからだの発達曲線  ***別添


 青年期は、からだの「成長」に心がついていけない。このギャップに耐えられない青年は時折、からだの暴走が起こってしまう。
 筆者のような高齢前期では、青年期とは逆に、からだの「衰え」に心がついていけなくなる。たとえば、自分のここ1年くらいの体験であるが、
 ・跨げると思った柵に足を引っかけてころんでしまった
 ・電車に間に合うと思って階段を駆け上がったらつまずいてしま  った
 ・テニスで取れると思って無理をしたらころんでしまった
 こんな体験が繰り返されることによって、次第にからだの衰えに心が馴染んでくるのであろう。そうなると、高齢期まっただ中ということになる。
●高齢期を生きるための3つの方針
 もう充分にやることはやった、との思いが頭をよぎることがある。しかし、一方では、平均寿命まであと20年、さて何をするか、あるいは、やり残したことはないかとの思いも、ちらほらと頭に浮かぶこともある。
 いずれにしても、還暦のこの時期にタイミングよく、こうした随想を書かせていただいたのを機に、これからの生き方の方針くらいは、きちんとしておきたいと思う。今のところ3つ。
 一つは、がんばらないこと。
 かなりがんばってここまでやってきた。しかし、もはやどれほどがんばってもできることは知れている。「何かを達成して喜ぶ」よりも「達成までのプロセスそのものを楽しむ」くらいの気持ちで仕事をしていきたいものである。
 2つは、公私を問わず自分を必要としてくれる場へは、積極的に出かけていくこと。
 「がんばらないこと」と葛藤を引き起こすようなところもあるが、今はまだ家の中に閉じこもって生き生きと生活していける自信はない。否が応にもいずれは「引退」する時期はくる。それまでは、自分の心身の活力を目一杯維持するために、とりあえずはこの方針に従ってみたい。
 3つは、社会への恩返しの気持ちを持つこと。
 「これくらいの能力でここまでこれたのは、自分の周囲の方々、もっと広くは、社会のおかげ」との気持ちは強くある。しかし、一方では、まだまださまざまな妄執も我執もある。ボランティア活動をするまでにも至ってはいない。しかし、社会への恩返しの気持ちは、周囲の人々、あるいは社会への目をやさしく穏やかにしてくれる。結果として、社会のスタビライザー(安定器)としての役割が果たせればと思う。

写真 東京成徳大学周辺の散歩道
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事故多発道路の安全運転

2007-04-21 | 安全、安心、
大型トラックの後ろを走るのが安全と気が付いた
たまたま今日、大型が自分の車の前に
一生懸命、あとをついていったのだが、
スピードの出ること、出ること。
途中で諦めたが、確かに、
大型のうしろについていくのは、安全、安心。