<Gizagineより記事転載>
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アメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体
By Jeff the Trojan
今度は視点を逆に、つまりアメリカからこのTPPを見るとどうなっているのか?という部分を見てみましょう。国家戦略室が10月14日(金)と21日(月)にまとめた資料を読むだけでも基本的な問題点は分かるわけですが、問題の本質を理解するためにも、相手の事情も理解する必要があるためです。
◆アメリカからTPPはどのように見えているのか?
By Thomas Hawk
まず、アメリカからTPPはどのように見えているのかという点については、アメリカ政府自身が開設しているTPP公式サイト「Trans-Pacific Partnership | Office of the United States Trade Representative」内に、アメリカの各州がこのTPPによってどれぐらい恩恵を受けるのか?という説明図があります。
State Benefits from Trade with the Asia-Pacific Region
例えば上記ページの地図でカリフォルニア州をクリックするとこうなります
以下のようにして具体的な数値を上げ、わかりやすくTPPのメリットを解説しています。
TPPは米国の輸出業者のために途方もない機会を提供します。消費者の95%がアメリカの国境の外にある世界において、アジア太平洋地域は世界人口の40%で構成されています。これらの国々の経済はダイナミックで素早く、世界平均よりも急速に成長しており、2009年には世界のGDPの56%を生成しています。アジア太平洋地域はアメリカの輸出にとって世界最大の市場であり、アメリカの農産物の輸出の実に3分の2を受け取っています。オバマ政権はこれらの輸出を増加し、TPPを介して自宅でも地域でもより多くの雇用を創出することをお約束します。
・カリフォルニア州は、世界市場に依存
2009年のカリフォルニア州の輸出出荷台数による金額は1200億ドル(約9.3兆円)となりました。カリフォルニア州の総輸出額の829億ドル(約6.4兆円)、または69%はアジア太平洋地域の市場に行きました。2009年に輸出したTPPのメンバーにおけるトップ3つの製品カテゴリは、コンピュータと電子機器、運送設備、機械類製造でした。
・カリフォルニア州は2009年にアジア太平洋諸国へ829億ドル(約6.4兆円)の財貨を輸出
カリフォルニアTPPチャート
輸出はカリフォルニア州の労働者の雇用を支援:カリフォルニア州の輸出に支えられ雇用の数は82万1000程度と推定されています。また、カリフォルニア州の製造業の輸出は、製造業生産高の20.4%を占めています。カリフォルニア州内のすべての製造業労働者のほぼ4分の1(23.7%)が輸出する仕事に依存しています。測定されていませんが、カリフォルニア州の輸出サービスに支えられた、追加雇用もあります。
輸出は何千ものカリフォルニアのビジネスを支えます:合計5万5878もの会社が、2007年にカリフォルニアから品物を輸出しました。これらのうち、5万3323(95%)未満が従業員500人の中小企業(SME)でした。
カリフォルニアの中小企業はTPPの条項から利益を得るでしょう。
中小企業は2007年にカリフォルニアの商品の輸出総額の5分の2以上(44%)を作り出しました。特に中小企業は自由貿易協定の関税削減条件から利益を得ます。特に税関の章において透明性の義務は、慣習や規制の官僚的形式主義の中を案内するためのリソースがない可能性がある中小企業には不可欠です。
カリフォルニア州にUSTRアウトリーチについて調べるにはここをクリック。
注:アジア太平洋地域は、APEC諸国のように定義され、TPPのパートナー国は、オーストラリア、ブルネイ、チリ、ペルー、ニュージーランド、シンガポール、ベトナムです。
出典:米国商務省、米国通商代表
ほかの州をクリックしても大体似たようなことが書かれており、とにかくアメリカの各州において利益が出るのだということを具体的数値やグラフを上げて示しており、雇用も創出できると力説しています。
また、TPPによってアメリカがどれぐらいの恩恵を受けるのかというFAQをまとめたPDFファイルまで用意されており、以下のように書かれています。
なぜアメリカは、TPPに参加しているのですか?
アメリカがTPPへの参加を決めたのは、アジア太平洋地域における経済的持分を進めるために最良の乗り物だからです。アメリカの輸出品の拡大は、アメリカの景気回復、およびアメリカでの高品質の雇用の創出と維持にとって重大なことです。急成長および大きな市場という意味で、私たちの貿易の拡大がアジア太平洋地域より重大な地域はありません。
ほかにも、TPPを21世紀型の協定であると定義し、米国政府は商業組合・NGO・個々の会社および他のグループから129の詳細なコメントをもらっているであるとか、国会議員からもコメントを受け取っているであるとか、スケジュールとしては交渉をできるだけ迅速に終えようと努力しているということも明記されています。
このようにして日本の国家戦略室のサイトに用意されている資料と比べると具体性にかなり差があるのが一目瞭然であり、アメリカにとってかなりメリットがあることをアメリカ国内で積極的に宣伝する意向が読み取れます。
また、アメリカ政府のTPP公式サイトは上記解説のように、各州の利益について具体的に数値を出して示しているわけですが、さらに具体的に考えるとTPPの正体が分かるようになっています。つまり、抽象的な「国家」という概念ではなく、このTPPを推し進めているのは誰か?アメリカの誰が得をするのか?という点を知ることができれば、相手の姿が分かり、目的が分かり、日本も誰が何をすべきかということがはっきりと分かるようになります。
次にいよいよその「具体的な誰か」が誰なのかを見ていきます。
◆TPPの黒幕のリスト
By Stephan Geyer
では、アメリカの誰がこのTPPを推進している黒幕なのか?以下のサイトがその正体です。
NATIONAL FOREIGN TRADE COUNCIL
http://www.nftc.org/
この「全国貿易協議会」、略して「NFTC」という財界団体・同業組合がTPPの裏にいる存在であり、TPPを強力に推進しているわけです。NFTCは1914年に設立され、オープンでルールに基づいた国際貿易システムを主張する最も古く、そして最大の規模を誇っています。会員社数は300を超えており、ワシントンとニューヨークにオフィスを構えています。つまり、オープンな国際貿易と投資制度を促進する公共政策を主張し、専門知識および主要問題についての情報をフル動員して広め、さらに政策決定者とオピニオン・リーダーとの対話によって公開討論に影響を及ぼすことでグローバルな通商を進めることです。
もっとわかりやすく身もふたもない言い方をすると、政府関係者にロビー活動を行って自分たちの会員企業に有利な法律を政府に作らせるのがお仕事、というわけです。
そして、このNFTCのサイトにあるPDFファイル「Letter to NEC Director Sperling in Support of TPP」に、このTPPに賛成し、推進している企業の名前が連ねられています。「NEC」とは「National Economic Council」の略で、日本語訳すると「米国家経済会議」となります。つまり、業界団体が政府に手紙を2011年2月3日付で送った、というわけです。
この手紙自体の中身はTPPで要求したいことがつらつらと書かれており、途中まではすでに一連の記事で書いてきたことばかりなのですが、問題はその文末にあります。
私たち共通の政府のゴールとして2011年11月までにTPP交渉を終え、アメリカ企業と労働者が外国市場へ適正に参加する能力を制限する障壁の撤廃に取り組みます。この交渉終了を達成するためにアメリカはTPP交渉を通してアメリカ経済全体のキーとなる分野において、高い基準、強い保護、最大限の市場アクセスを要求しなければなりません。
ということで、なんと2011年11月には交渉の中身自体を「終える」ことが既に2月で目標として出ており、2012年に最低あと5回は交渉が行われるという話でしたが、ほぼ中身自体は確定しており、あとは「最後まで走るだけ」というレベルにまで達しています。だからこそ、最後まで走り切れ!という意味の最後の一押しとなる激励の手紙を政府に送っており、末尾にはこのTPPを推進している企業の名前がずらっと並んでいます。
以下がそのリストです。かなり膨大な量になっていますが、インテル、マイクロソフト、IBM、GAP、コカコーラ、ファイザー、シティグループ、ダウ・ケミカル、GE、ヒューレット・パッカード、ジョンソン・エンド・ジョンソン、リーバイス、オラクル、P&G、タイム・ワーナー、Visa、ウォルマート、ゼロックスなどといった有名企業も山ほどあり、つまりTPPでの交渉とは、これらすべての企業を相手にするのと同じ意味なのだ、ということです。
有名企業以外にも日本では知られていないが非常に強力なロビー活動のための組織が山ほどあり、TPPでなぜあれだけ多くの分野が上がっているのか、その理由がわかるはずです。加盟社数、会員社数、構成員数、これまでの歴史、アメリカはTPPのためにこれまでアメリカが築き上げてきたすべてのものを総動員しているというのが、一目瞭然です。
<転載終わり>
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TPPを推進している企業には、マイクロソフトやIBM、Oracle、HPなど有名企業が並んでいますが、これらの企業が国際金融資本の影響下にあると言われている企業だそうです。国際金融資本や闇の勢力というと、雲を掴むような話しですが、GAPやコカコーラやJ&J、VISAカードが大なり小なり闇の勢力の影響を受けている企業だと言われれば、「なるほど」と誰でもよく理解できます。
日本のIBMやマイクロソフト、Oracle、HP、J&Jには何度も商談やセミナーで行きましたが、表面上は普通の企業です。ただ、入札などではごり押しをすることが何度かありました。日本企業ではやらないようなエグいこともやってましたね。日本がTPPに参加すれば、これらの企業は本性を現すことになるはずです。TPPに参加すれば、農業や医療だけでなく、ITも製薬も小売までも多大なる被害を受けることになると思います。しかも一度参加したらその条件は変更できないという不平等条約と言われています。マスコミは何としても日本をTPPに参加させようとキャンペーンをやってますね。平成の不平等条約には参加する必要は全くないと思います。