飛水峡

思い出

中日新聞

2009年09月06日 08時42分36秒 | 新聞
長雨で飛騨地方のアユ漁打撃  サイズが例年のわずか半分
2009年9月5日

8月後半の日曜日、友釣りで釣り上げられたアユ。「例年の半分ほどの大きさ」と釣り人=飛騨市神岡町の高原川で


 長梅雨に日照不足と例年にない不安定な気象となった今年の夏。その影響は飛騨地方の夏から秋にかけての風物詩、アユ漁にも現れている。地域によってはアユの育ちが悪く、漁獲量の落ち込みが避けられない状況に漁協関係者らは頭を痛めている。

 「ほとんどが例年の半分くらいの大きさだね」。8月後半の日曜日、飛騨市神岡町の高原川。友釣りでアユを釣った男性は今年の状況をこう話した。

 高原川の高山市奥飛騨温泉郷から飛騨市神岡町までを管内に持つ高原川漁協。徳田幸憲参事(47)は「過去にない小ささ。漁業は天候の影響を強く受け、努力にも限界がある」と嘆く。

 徳田参事によると、例年は9月初旬にアユの重さは100グラムになるが、50~60グラムほど。釣り客も、延べ約5500人だった昨年を大幅に下回る2000人以下に落ち込む見込みだ。

アユの育ちに長雨の影響を受けた高原川=飛騨市神岡町で


 今年は、岐阜県漁業センター(美濃市)で稚アユの生産が計画通りいかなかったことなど調達先からの入手が遅れたのに加え、長雨による川の増水で例年は6月上旬に終わる1次放流が7月上旬までずれ込んだ。

 さらにアユの主食である石ゴケが、増水によって石が動いてはがれ、水の濁りで十分な日光が届かないため再生されず、餌不足の状態に陥ったという。

 組合員のみに許可されている投網などによる漁の開始も8月25日から9月10日まで大幅に延期を余儀なくされ、昨年は約9トンだった漁獲量は4トンに満たない恐れがある。

 同漁協は飛騨、高山両市で最多の漁獲量を誇るが、徳田参事は「網漁がずれ込むのは記憶にない。飛騨市では高原川以外も不漁。経費削減などで対応するが、あきらめざるを得ない所もある」と表情は深刻だ。

 一方、下呂市の馬瀬川下流を管轄する馬瀬川下流漁協(同市萩原町)によると、アユの大きさは例年とほぼ同じだが、増水によって釣り客が川に立ち入れない期間が長かったため、低調が続いているという。

 (山下洋史)

 【今夏の降雨量】 岐阜地方気象台によると、6月~8月の3カ月の降雨量は高山が計919ミリ(昨年531ミリ)、神岡は計864・5ミリ(同480・5ミリ)、萩原が計1285ミリ(同607ミリ)。いずれも7月は約3倍にのぼり、とくに例年雨が少ない7月下旬に多かった。東海地方の梅雨明けは、統計を取り始めた1951年以降で最も遅い8月3日(昨年は7月12日)だった。



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