生体肝移植が選択できた幸福

B型慢性肝炎から肝硬変・肝臓癌となり生体肝移植を受けることとなった医師によるブログ

ステント抜去後

2009-01-31 17:41:14 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントを抜いたあとは、発熱少しと膵炎少しで済みました。

驚いたことに、胆汁漏の排液が400ccから200cc台に減少し、茶緑色のものがきれいな緑色になってきたら、突然でなくなってきました。

夜の間に少しずつ出てきて、日中にはほとんど出ない状況になってきました。

それに伴い、便も茶色に・・・・でも相変わらず下痢気味。

前回の採血で気になっていたPIVKAⅡも1/3程度まで減少し、ビタミンK不足のためということになり、精神的にもよい方向になってきました。

なぜ、ビタミンKが足りなくなったのか?良く考えてみたら、手術以後ずっと下痢だったので腸内細菌が安定しないためでしょう?と言う結果になりました。

この日から、整腸剤(ビフィズス菌製剤)を処方追加となりました。

その後PIVKAⅡは正常値に落ち着きました。  よかった・・・・

写真は、胆汁を排出したものをためておく排液バックです。排液量が少なくなり、この程度しか出なくなってきました。一番出ていたときには、このバックの1/3程度溜まっていました。下についているホースのような所から排液します。


ステント抜去

2009-01-30 11:26:18 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントを入れた後、エコー検査で胆管が2本拡張したままで、改善を認めないと言うことで、せっかく入れたステントを明日抜くことになりました。

”えーっ””せっかく入れたのに・・・”と思いましたが、拡張した胆管の通過をステントが邪魔しているかもしれないと言われたので、やはり抜くこととなりました。

内科の先生が、今回3回目のERCPで抜くだけですから、麻酔なしでやってみましょうと言いました。

不安は感じましたが、時間が短いということなので、その言葉に従って麻酔なしで行ってみました。

もともと、反射が強く、ただの内視鏡でも”オエオエ”していたので、口から食道までは、同じ感じで何とかこなせました。

しかし、胃から十二指腸に入れるときに、曲がって癒着しているため、押してもなかなか入っていきません。

吐き気はさらに強くなり、処理台の上はよだれだらけ、涙だらけとなってしまい、見るに見かねた内科の先生が、やっぱり麻酔しましょうといって、鎮静剤を投与しました。

そこからの記憶は無く、ベッドで目覚めました。

妻が、青いチューブを先生から渡されたそうですが、実際に体の中に入っていたステントでした。写真が現物です。記念に(?)もらってきました。両側(黄色い矢印)に返しがついていて、胆管の中と十二指腸の中に引っかかって抜けないようになっています。しかし6ヶ月ごとに入れ替えが必要となり、そのたびにERCPをしなければなりません。それが無くなったことはよいことかな?

医療用であるので、高いんだろうなーと思いつつ、ストローの代わりにもならないものを見つめて、はーっとため息をついていました。


お仕事休んでしまいました

2009-01-30 11:20:54 | 退院後

復職して4週間になりましたが、昨日の夕飯を食べた後、胃が張ってしまい2時間してもだめなので、また自分で吐いてしまいました。

どうも、量を多く食べ過ぎたのが原因のようです。

少ない量だと、問題ないのですが、一度に多く入れてしまうと、下に下りていかないようです。

2回目なので、注意しないといけなかったのに、ついつい食べてしまうのです・・・・

朝、起きるとまだ胃が張っている状態で、苦しくなっていたので、念のため休みにさせてもらいました。

午前中に、ガスが出て排便があったあとには、張りが取れてきました。

軽い腸閉塞のような感じだったかもしれません。

吐くまでが苦しいので、繰り返さないように反省です・・・

職場の皆さんごめんなさい・・・


ステント後のCT

2009-01-29 15:49:19 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステント後、PIVKAⅡが上昇したこともあり、急きょCTを撮ることとなりました。

胸部から骨盤部までCTを造影で撮影したところ、明らかな再発所見や転移を疑わせる所見は認めませんでした。

採血に他のマーカー(CA19-9とCEA)を加えて採血しました。

CEAは胃がんや肺癌などの、腺癌と言うタイプの癌で高値を示すマーカーです。これは私の肝臓を切除した後の病理所見で、肝臓癌はほとんど塞栓術で壊死しているが、胆管癌の成分が残っていて、染色法でCEAで強く染まって見えたので確認のため取りました。

CA-19-9は膵臓・胆管癌などで上昇するマーカーですが、膵炎や胆管炎でも上昇するので、あいまいなマーカーです。

CEAは正常範囲でしたが、CA19-9は異常高値でした。胆管炎の併発があったのであまり気にはしませんでした。

やはりPIVKAⅡの変動が最優先確認事項でした。

 

胆汁漏は、陰圧で引かなくなっても、溜まってこないようなので、このまま経過を見る方針となりました。

写真はそのときのCTで、薄い横断像(輪切り)から、コンピューターで再構成して冠状断で作成した画像です。人間の体を前から見たように切ってあります。白矢印が胆汁漏のスペースですが、拡大していませんでした。


ビタミンK?

2009-01-28 20:04:48 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステント挿入も終わり、体調も回復した朝に突然処方薬が増えた。

カチーフと言う名前の黄色い粉薬であったが、主治医からは説明が無かったので、何の薬かわからなかった。名前もあまり耳にしない薬剤でした・・・

記憶を手繰って思い出してみると”あっ ビタミンKだ!!”と思い出した。

でも、何でビタミンKを今頃処方するのだろう??その場では、わからなかった。

抗凝固剤は、飲んでいないし、納豆は止められているし・・・・無い知恵を絞ってみた。

”あっ”   思い出した・・・・  ”PIVKAⅡだっ・・・・”

PIVKAⅡと言うのは肝臓癌の腫瘍マーカーで、今回発症時に1000以上あり、非常に高値を示しており、腫瘍の量が多いと上昇するものだ・・・。

これは、肝臓でプロトロンビンと言う止血に関与するたんぱく質を作成するときに必要なビタミンKが不足したときに上昇する数値で、肝細胞癌が勝手に作成するたんぱく質なのです。

ビタミンKが不足すると、あがってきますが、ビタミンKは腸内細菌が生み出すので、不足することはめったに無いようです。

つまりPIVKAⅡの上昇は、肝細胞癌の再発を示しているのです・・・

もしかしたら、採血でPIVKAⅡを測定したところ、上昇していたのではないかと言う想像にたどり着きました。

”もう再発したのか・・・・”

”くそったれ・・・”

”何のために移植したのか・・・”

と言った具合に、妄想の世界に突入してしまい、非常に落ち込んでいました。

 

その後、こちらからPIVKAⅡが上昇したことをたずねると、そうです上昇していました。今日の数値は、297(正常は40以下)と上昇しています。

再発かもしくはビタミンK不足による上昇でしょうと説明された。

移植患者さんで、ビタミンKが不足することはあることなのだが、PIVKAⅡが上昇するほどの人は今までいなかったと説明もありました。

ビタミンK(カチーフ)を内服し、あさってCTを取って再発が無いか確認して、PIVKAⅡの変化を見ましょうという方針となった。

自分は、もう再発の世界にどっぷり浸っていました・・・・


胆汁漏チューブ

2009-01-27 21:59:01 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントも入り、便にも色がついてきたので、胆汁漏チューブからの排液が減ってくることを期待していました・・・・

しかし、いつまでたっても400cc出てきます。

ついでに、皮膚の穴の部分から異臭が出てきました。最初は、良く洗っていないために陰部がくさいのかと思い、自分の体をかぎまわっていましたが、実は皮膚の部分に感染を起こしていたので臭くなっていました。

長い間入れていた部位なので、かさぴたが重なり、そこに浸出液がしみて感染していました。培養ではMRSAが出ていました。

そこで、かさぴたを思いっきりはがして、イソジンでごしごし消毒し、膿の溜まっている部分を掻き出しました。

痛みはあったのですが、一気に臭いは改善しました。ついでに3ケ所で皮膚に縫い付けていたところが、外れていたので、もう一回縫い直し。

傷が見違えるようにきれいになりました。

 

あまりに排液量が減らないので、排液バック(ばねがついていて、常に陰圧で引いているタイプ)から、ただのバックに変更となりました。

でもしばらくは排液が継続していました。変わったことは、出てくる胆汁が、さらさらしたものから、ねばねばしたものに変化していました。

写真は、ステントを入れたときの透視画像です。白い蛇のようなものが、ERCPの内視鏡で、その先端から上に上がるようにチューブが出て総胆管に入っています。

10cm具体の円弧状のものがステントと呼ばれる、管です。細い部分に入れて流れを良くします。


黄疸

2009-01-26 21:27:58 | 退院後

今の採血結果で、ビリルビン値が2.9あるため、白目の部分が黄色くなって、皮膚も緑褐色気味になっています。

移植後、何十年ぶりにビリルビン値が正常になり、目が白くなったのでうれしかったのですが、最近また黄色くなってきました。

少し人の目が気になります・・・接客業なので・・・・

めがねも壊れてしまったので、以前にしていたものを引っ張り出してつけているのですが、レンズに少し灰色が入っているので、余計に顔色が悪く見えてしまいます。

早く眼鏡屋にいって修理してこようと思っています。

輝くような白い目にあこがれています・・・・


ENBDを抜いて胆管ステント挿入

2009-01-25 21:40:17 | 合併症の治療(2回目の入院)

ENBDを入れて、10日経過しました。

いらいらも頂点をすぎ、あきらめの段階へきていました。

サイトメガロ感染増悪による発熱も改善傾向にあったので、本日午後から、ENBDを抜いて、胆管ステント(細いところにいれる、プラスチックでできたチューブ)を挿入しましょうということになった。

例のごとくうつ伏せで、ERCPが開始されようとしていた。治療直前に、ENBD抜きましょうと内科の先生が、突然に引っ張り出した。お腹に痛みではなく変なところを引っ張られて、吐き気が襲ってきた。

それきり吐き気はおさまってしまったが、思わず嘔吐しそうになっていた。

その瞬間に、鎮静剤でまた記憶が・・・・・飛んでいました。

病棟のベッドで、記憶が戻ると、あの忌まわしい鼻からのチューブは無くなりすっきり・・・

写真は、鼻のチューブが抜けてすっきりしたときにとった写真です。

でもやっぱり膵炎になって、しばらく絶飲食に・・・

次の日の便には久しぶりに、茶色の色がついていました。術後初めてのことです。

腸管に無事胆汁が流れた証拠です。うれしかった・・・

検査翌日は、例のごとく絶不調となり、一日うつに・・・

でも、これでもうERCPはやらなくてすむと思いほっとしていました。


生体肝移植の費用について

2009-01-24 22:04:44 | 合併症の治療(2回目の入院)

ENBDを入れて、うつになっている時期に、一回目の入院(保険適応外移植の費用)の請求が出てきました。

総額で6,647,690円でした。術前には1000万程度かかると言われていたので、非常に拍子抜けしました。

明細を見てみると(ドナーさんの費用も入っています)

1)手術費用      2,082,160円

2)注射(点滴)費用  1,887,860円

3)入院費(ICU含め) 1,203、200円

4)検査料         251,130円

5)内服薬代       267,870円

6)麻酔代         273,760円

7)画像診断料      192,030円

残りはその他です。手術料は、一人大体100万円程度で思ったより(労力など考慮)低いかなという印象です。

今回、費用が低くすんだのは、血液製剤(アルブミン・輸血・γグロブリンなど)が非常に少ない使用だったので、これぐらいですんだようです。

肝硬変進行し、腹水などで苦しんだ方は術後にアルブミンを超大量に使用しますので、その分で数100万円かかってしまいます。

ICUの室料も一日10万円程度だと聞いていますので、ICU滞在日数でも変わってきます。

かといって、肝硬変が余り進行していない人に適応を広げると、費用は下がりますが、移植自体100パーセント安全な手術ではなく、ドナーさんに危険もありますので、難しいところかなと思います。

なんにしろ予定より、かなり低い金額で一回目の入院費用はすみました・・・・

退院後にも結構お金がかかるのですが・・・・


薬剤投与量について

2009-01-24 13:43:35 | 退院後

飲み薬・注射薬など、普通の風邪薬だと何歳で何錠という風に、年齢などで量を決めていますが、副作用などの強い薬(造影剤・抗がん剤・免疫抑制剤など高価な薬剤)は体重や身長から決まる体表面積などにより、量が変わります。

 

つまり、体重50kgで標準投与量が決定されていますので、75kgの方は1.5倍の投与量となり、値段も1.5倍取られます。

体重により、医療費が変化します。

私は75kg程度ありましたので、通常の方より1.5倍の免疫抑制剤が必要となります。