生体肝移植が選択できた幸福

B型慢性肝炎から肝硬変・肝臓癌となり生体肝移植を受けることとなった医師によるブログ

術後5日目

2008-12-31 20:03:02 | 生体肝移植(初回入院)

このころには、少しずつ張りが取れてきたのだが、やはりつらい・・・

便が出そうで、寝たままオムツに排便しようとすると、腹圧がかかり尿フォーレの外側から尿が漏れてくる。これが、熱い??熱いおしっこが出てくるのだ・・・

すると、腹圧をかけるのをやめて・・・といった繰り返し。

ガスは少しずつ出すコツをつかんできたが、すっきりしない。

主治医より、立ってポータブルトイレ許可され、早速いたいのを我慢しながら着座。

”うーんっ  うーんっ”

ビチビチビチ(汚い表現すいません)っと、水様便が出た。妻と顔をあわせて”あっ 出た”と合唱。熱いおしっこが、たまらないので、尿フォーレも抜いてもらった。

 

その後少し、張りが楽になりしばらくぶりに寝たらしい。

しかし、この日から昼夜かまわず、ポータブルトイレで何回も力んではぐったりし、ベッドでグロッキーの繰り返しで10-20回繰り返していた。

兄が、歩いて見舞いに来てくれた。でもかなり痛いらしく、きて帰ったという感じ。でもすごい回復。点滴も取れたようだった。まだ余裕はないようだったが・・・

このころにお見舞いの客が多数来たのだが、声もかれたようにしか出なく余裕もないので、親に頼んで制限してもらった。

 

 


術後4日目

2008-12-31 16:09:49 | 生体肝移植(初回入院)

胃管を入れてもらったが、なかなか張りが取れずに夜が明けた・・・

ねむいのかどうなのかわからなくなってきた・・・

ドローっとしているのに、みょーなところは記憶に残っている。先生と一日だけ胃管を入れましょうと約束していったので、朝方(自分で朝だと思っているのだが)に鼻から入れられていた胃管を、丁寧にテープを自分ではずし、おえおえ言いながらゆっくりと抜いて、頭の横に丸めて置いてあった

朝の担当看護師さんに、ニコニコしながら”あっ 抜いておきましたから・・”といって挨拶したそうです。おかげで担当していた看護師さんは始末書を書かされ迷惑をかけてしまいました。

昼過ぎに、今度は便を出すと楽になると思って、ポータブルトイレにおきて用を足すと大騒ぎして、たくさんの人の手を借りて、痛いはずなのにちゃんと座ったそうです・・・

でも出ない・・・

もう一回浣腸をしたところ、ぶぶっとガスが出て、思わずかみさんと目を合わせて”良かった・・”と合唱。少し楽になりました。

これだけ騒げれば、呼吸状態にもんだなしとして、この日の午後にICUを出ることとなりました。

※ICU症候群といって、ICUに入院されている患者さんは、入ってすぐではなく三日目ごろから、変なことを口走ったり、暴れたりするそうです。私も三日目におかしくなっていたのでしょう?


術後3日目パート2

2008-12-30 22:32:51 | 生体肝移植(初回入院)

写真は、以前にかんぞうさんへの特別記事で使用したものですが、肝静脈がつぶれていないのを確かめるために撮影した、ダイナミックCTから3次元画像を再構成したものです。

平面のCTを積み重ねて、立体的に再構成して見やすくしています。この結果により再開腹は避けることができました。

 

肝静脈の騒動が治まると、腹部の張りが非常に気になっていました。胃の内容物を出すのに胃管を一日だけの条件で再挿入してもらいました。少し、内容物が出たので楽になりましたが、すぐに張りが強くなってきました。

下のほうからも出すために、浣腸を行いましたが液すらも出てこない始末で、大人用のパンツタイプの紙おむつをすることになりました。今思うとありえない光景ですが、そのときには、なりふり構わない状態だったのでオムツで楽になるのであればお願いしますと自分から言っていた・・・

 

状態が悪いと余裕もないので、足がかゆかったので妻に掻いてくれとお願いしたところ、力加減でくすぐったくなってしまったので、怒ってしまいました。普段だったら、ありえないことなのに、ちょっとしたことで怒りを表面に出してしまったのを思い出しました。

ICUに余裕のある患者さんはいないのですが、術前になるべく回りに迷惑をかけないようにしたいと思っていたのですが、陰に隠れている本能の自分が見え隠れしていました。

翌日に、大変なことをしてしまったのです・・・


術後3日目パート1

2008-12-29 14:21:50 | 生体肝移植(初回入院)

写真は、腹部エコー検査です。病棟に上がって落ち着いたときのものです。

術直後よりも、3日目のほうが身体的にはきつい状態でした。

腹部の張りが取れず、相変わらず石が入っている状態。ゲップもおならも出ない状態。”苦しい・・・”

移植後は、移植した肝臓に血流がちゃんといきわたっているのか毎日3回のエコー検査があります。

朝のエコーを若い先生が行っていると、頭をかしげ気になることがある様子・・・

上の先生を呼んで、またエコー検査を行うと、その先生も同じ様子・・・

グループ長の先生がきてエコー検査。、また同じ状態で、”静脈が・・・”とみんなで話している。

そうこうしている内に部長先生まできて、エコー検査。同じ結果と”静脈が・・・・”自分も具合が悪いので、細かいところまでは聞き取れず、逆に不安な状態に。

グループ長の先生がしばらくしてから、”肝静脈のエコーが良くないので、移植した肝臓がずれてしまったかもしれない。再開腹して戻す。”との説明・・・

”えっ・・・また?””もう無理”といった考えが頭をよぎる。急に不安となり、妻に付き添ってもらうように頼んだ。子供たちの顔が次々とよぎって、まるで死ぬ前のような考えになってしまった・・

午前中に、ダイナミックCTを行って確認することとなり、たくさんのチューブにつながれたままCT室へ移動し、検査台にみんなで移されたが、そのときにねじれて、痛みが・・・

いざ検査となると”息を吸って・・止めてください”と機械が。”この状態で、とめられるわけないだろ”と思いながらがんばった。

結果、肝静脈は問題なしとのことで、再手術はなくなったが、非常にいやな思い出になってしまった。

 

兄は、昨晩は痛みなどで寝れなかったと・・。しかし、午後には体を起こすような練習が始まり、立ち上がりまで行ったみたい。すごい・・・


術後2日目パート3

2008-12-28 22:59:52 | 生体肝移植(初回入院)

写真は、おなかの傷跡です。他のブログによると”ベンツ切り”と呼ばれる、Yの字の方法とは違って、みぞおちから中心にへその上までと右に水平につながる傷でした。

まだ、いろいろチューブが残っています。

術後、感染や出血の危険性のため、硬膜外麻酔は施行せずに、フェンタニールという麻薬で痛みのコントロールをしていました。

この薬は、痛みに対しては非常に良く効く薬剤で痛み強いときに1時間に投与する量を早送りしてもらうと、体の中に広がる感じがわかった後に”スーっ”と痛みがうそのように消えます。

”これが麻薬か”という感じが得られました。

しかし、その反面非常に眠気の強い薬剤で、いつも”ボーっ”とした眠気に襲われていました。

自分は痛みよりも、腹部の張りが苦痛だったので、おなら・ゲップが出れば楽になれると思い、浣腸をしてもらったり、一度抜いた胃管をもう一度入れてもらい排液してもらったりしましたがなかなか取れませんでした。

このときは、いつになったらこの苦しい状態が改善するのか見当もつかずぐったりしていたことだけが記憶に残っています。

でも、不思議なもので体調が改善してくるとこのときの苦しさが、だんだん記憶から薄れてくるのです・・・

これも、人間の都合の悪いことは忘れていく防御反応のひとつなのかもしれません。

 

あと、左の腋毛と左陰毛がきれいに剃られていました。誰もなぜ必要なのか説明してくれませんでしたが、あとで聞いてみると”肝臓を取ってしまう間、上半身と下半身で血流が遮断されてしまうので、不整脈などを起こさないよう左の又の静脈と左のわきの下の静脈を人工的につないで、防ぐ目的だった”と言われました。

私の場合は、必要なかったので毛だけ剃られていたようです・・・


術後2日目パート2

2008-12-27 11:47:38 | 生体肝移植(初回入院)

写真は、気管挿管を解除後の写真で、心配をかけたくないためかピースを出しています。あまり覚えていません・・・・

このときに体についていたチューブ類は、いろんなブログに書かれているとおりです。

上から、

1)鼻腔より胃内に胃管チューブ

 術後腸管運動が低下しているため、胃内に胃液などの液体が貯留し吐いてしまうため、圧を下げるために挿入されています。早い段階に抜けることが多いです。

2)口腔から気管内に気管チューブ

 麻酔が覚めないうちは、呼吸が停止してしまうので気管内チューブで人工呼吸器を使用し、呼吸を行います。また、術後痛みが強いと、横隔膜の動きが悪く呼吸機能が悪くなり肺炎を起こしやすいので、意識がはっきりしてくるまで抜けないこともあります。苦しいチューブです。

3)右の頚部より中心静脈カテーテル

 術後、食べれないことに対する栄養確保とさまざまな薬剤の投与ルートとして、中心静脈カテーテルが挿入されています。手の静脈は濃い薬剤の投与を行うと静脈炎を起こしてつぶれてしまうので、中心静脈にカテーテルを入れて濃い薬剤を投与します。私の場合は、1本で3つの投与経路(1本のカテーテルの中に3本のチューブ)+中心静脈圧を計れる装置がついたものを使用していました。経口摂取始まると抜けるようです。

4)心電図モニター用の電極

 呼吸や心電図をモニターする電極類です。必要なくなればすぐはずせます。

5)右の手首に動脈内カテーテル

 血圧測定や、呼吸機能の検査のための採血など使用するために動脈内にもカテーテルを留置します。

6)手の静脈に点滴ライン

 中心静脈から入れるほどでもない補液などを投与するルートです。最後まで継続します。

7)おなかの中に入っているチューブ類

A:胆管減圧チューブ:吻合した胆管内にチューブを入れ体外に排出し、圧を下げます。1ヶ月程度留置されることが多いようです

B:肝断端ドレーン:移植した肝の削った部分から出る液体を体外に排出するチューブです。廃液が少なくなれば抜きます。

C:モリソン窩ドレーン:寝ているときにおなかの中で一番低い部分で液体がたまる部位に入っています。廃液がなくなれば抜きます。

D:腸ろうチューブ:術後腸管に流動食を入れて栄養する場合に使用しますが、私は入れませんでした。

8)尿道フォーレ

おしっこが体外に出るように入れられるチューブです。自分でできれば抜きます。

9)酸素飽和度測定装置

指の先にはさむ機械で、指まで酸素が十分来ているか確認する装置です。

10)酸素投与チューブ

マスクと径鼻チューブタイプがあります。

 

いずれにしろすごい数です・・・

体験した方には、いやな思い出ですがすいません・・・


退院後3週間の外来

2008-12-26 22:40:29 | 退院後
今日、退院後3週間の外来に行ってきました。

朝から、雪模様でしたが、自分で車を運転して受診しました。

採血結果は、胆管系酵素は、高いのですが、肝酵素・炎症反応は、変わらないので、様子見ることに。ただ、B型肝炎ウィルスの抗体価が低くなっていたので、ヘブスブリンを投与しました。

次回の再診は、2週間後となりました。
今日1日で5万円近くのお金がかかりました。高いです!

今、高額医療費免除証を交付してもらっているのですが、既に今月上限越しているような気がしていても、請求されています。

院外処方などのためなのでしょうか?

ネットで調べても、うわべだけで、解りづらいのです。

医療関係者なのに情けない話ですが…

今日は動きすぎましたので早く寝たいと思います。

術後2日目パート1

2008-12-25 09:29:06 | 生体肝移植(初回入院)

写真は、抜管前後の状態と、周囲の計器類です。

8月29日

7時 面会時間

麻酔科の同級生が、見ていてくれた。呼吸・循環も大丈夫。意識も戻って声かけに反応してくれました!!手を握り返したときはうれしかったな~

挿管していて指で文字をかくけどわからなくて・・・汗 「いま なんじ?」だったね。

午前中にには抜管できるって、胃管も取れるって!

実家に戻って、洗濯して仮眠しました。

 

11時 兄がICUから一般病棟へ

 

14時 午後の面会

パパの家族が面会。かなり話せるようになってうれしい。痛みの訴えよりすごくだるくてねむいので早めに帰る。抜管は、10時ごろ。薬についてかなり心配している。

 

19時 夕面会

ギャッジアップして、テレビつけている。熱は、37.9度 氷枕 少しねたって。注射器で水を飲んだら、おなかがぐるぐる動きだした。

顔を拭いて、うがいする。子供の、携帯画像を見せる。

主治医グループの先生の診察。「順調」と。

自分は、元気だから、お兄さんを見てこいと。

 

20時お兄さんの病室へ行くもすでに就寝中。

 

 

この日から、自分の記憶はほとんど残っています。

最初に目を開けたとき、ICUの天井などの景色は見えてはいるのですが、自分で天井と意識できるのは視界の5%程度の狭い範囲で、他の部分は見えているが意識できていない状態でした。

この5%がなくなると不穏(暴れたりする)になってくるのかなと思っていました。

術後意識が戻ったときに、一番つらかったのは、腹部の痛みもあったのですが、これは我慢できるものでした・・・

ひどいのは、腹部の張りでした。あかずきんちゃんの狼ではないのですが、手術中に先生方がたくさんの岩をおなかに入れてきたのではないかというぐらい、張っていました。


クリスマス

2008-12-24 23:17:30 | 退院後

今日はクリスマスです

子供にプレゼントを上げて、クリスマスらしい食事を食べて・・・

特に何をしたわけではないのですが、術後イベントとして大きなものは初めてで、やっと日常生活に戻ってきた感じです。

今年は、迎えられない可能性もあったわけなので、やはり幸せなことなのだと思います。

来年も、また普通に迎えられるように、がんばっていこうと思います。

世の中の病気と戦っている方々にも、良いクリスマスでありますように・・・