生体肝移植が選択できた幸福

B型慢性肝炎から肝硬変・肝臓癌となり生体肝移植を受けることとなった医師によるブログ

これから

2011-06-12 23:56:15 | 退院後
先週、外来受診でした。


結構ひどい風邪をひいていたので、採血心配でしたがビリルビンが少し高いのみで、他には大きな異常を認めませんでした。


仕事は以前より事態が落ち着いてきたので、土日に時間がとれるようになってきました。


しかし、学生・医療者向けの講演会・勉強会などの依頼が増えて、対応に困っています。


一般向けの、講演会も始まってきていますが、すこしおかしい事になっています。


震災当初より、長崎や広島大学の先生方が、福島に来て住民の不安解消のために講演会や住民検診・一時立ち入りなどの業務に休みもなく働かれているのですが、今までの被ばく事故からのデータで100mSv以下では、大きながんのリスクが認められないと表現すると、会場からブーイングの嵐となってしまうのです。


報道などで、20mSvだ、1mSvだ・・・と、被ばく医療では見たこともない人が、何の根拠もなく言い切っている姿を見ます。
地方によっては、グリンピースや変な宗教団体が、線量の高い場所を測定して、”危険だ”っと火をつけて住民をあおっている姿も見かけます。
政治の交代など、きな臭い団体も出てきて、怪しい情報があちこちに飛んでいます。
ただでさえ、お子さんの健康というナイーブな話に、利益をむさぼる団体が介入してきて、おかしな雰囲気になっています。


福島のために、遠くから自分の仕事も顧みずに一生懸命に尽くしてくれている長崎・広島の先生方が、この線量であれば大きな健康障害は起きないので、県民の健康調査を行っていき、本当にそうなのかを県民の協力の下に明らかにしていく事を始めているのに、何もしてくれない怪しい団体の話を信じている状態になっています。


少し、福島県人の人間性について、がっかりしています。まず、大人がしっかりした判断をしていかないと、守るべき子供が不安になっていくのではないかと心配です。


冷静に、考える時期になってきていると思います。

まず、福島のために尽力していただいた方に感謝を述べてから、線量についての討論を進めていくべきであるのではないでしょうか?