生体肝移植が選択できた幸福

B型慢性肝炎から肝硬変・肝臓癌となり生体肝移植を受けることとなった医師によるブログ

2回目の退院

2009-02-08 21:43:46 | 合併症の治療(2回目の入院)

胆汁漏からの排液もかなり少なくなり、膿のような白い繊維状のものが詰まってきたのですが、まだとまらないので、入れたまま退院となりました。写真は、そのときに取ったもので、緑色透明な液体に白いものが見えます。

家に帰ったら、いろいろしてみたいことがあったのですが、実際に帰ってみると二階への上がり下がりだけでも、息切れをおこし、フロにでも入ったものなら、どっぷりと疲れが溜まってしまうような始末。

フロに入るときも、洗面台の鏡に映った自分の姿をみて・・・・思わず・・・・自分の顔に30年後のやせ細ったからだがついているような状態。

 

筋肉が、すっかりなくなってしまっているのです。特に腰回りが・・・

14kg分の筋肉がどっかに行ってしまったのです・・・

焦らないようにしているつもりでしたが、この体が戻るのか不安でいっぱいなときだったと思います。

今も、体重は3kg程度しか戻っていませんが、筋肉は少しついたみたいです。


排液バック入れ

2009-02-05 21:45:08 | 合併症の治療(2回目の入院)

今回の入院の目的は、胆汁漏に入っていたチューブを抜くことでしたが、結局ERCPを3回とステントの抜き差しなどを行っても難しく、どうしてもとまらないときには、小腸と胆管をつなぎなおす手術をするかもしれないと言うことになりました。

できれば、癒着が強いことが予想されるので、外科の先生も行いたくはないと言っていました。

気分転換を含めて、一度退院し、経過を見ることになりました。

11月15日に退院予定となり、チューブは排液バックをつけながら退院の方向へ。

写真は、院内を歩いたり外泊するときに、そのままでは目立つし不快感を示す人もいるので、カムフラージュに使用していたバックです。

一回目の入院からずっと使用していました。

100円ショップで購入したもので、ミッキーマウスの柄です。

今思うと、恥ずかしい柄でしたが、そんなことは気にしている余裕はありませんでした。

今でも、このバックは神棚に飾ってあります。千羽鶴と一緒に奉納しようかと思っています。ご苦労様でした。


DIC CT

2009-02-04 21:19:27 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントを抜いてしまったあとに、DIC CTと言う検査を行いました。

これは、血管内に造影剤をゆっくりと入れて検査するのですが、この造影剤は、肝臓から胆汁に排泄されるので、点滴開始後1時間程度で胆汁(胆管)の中に溜まってきます。

そのときにCTを取ると、胆管が白く浮き出てきます。

写真は、ステント抜く前に取ったCTの横断像と冠状断像(前から見たように再構成)とDIC CTで同じような場所を移したものです。

左側がステント抜く前のCTで、普通の造影剤を使用していますので、白く染まっているのが、門脈に当たります。黄色い矢印は、胆管内に入っているステントです。

右側が、DIC CTでステントが抜けたあとなので、白いチューブはなくなっています。その代わりに、その部分が白く浮き出たようになっています。

水色の部分が、狭窄しているところで、白い構造が見えてきません。

左右で比べると、同じようなところを走行している門脈と胆管ですが、微妙にずれているのがわかります。

このCTでは、排液が減っても、胆汁漏のたまりが増えていないことが確認できましたが、ステントがあまり役立っていなかったこともわかりました。

このCTを撮影する頃には、だんだん排液が10-50cc/日まで減ってきていて、胆汁と言うよりは、膿のような白い繊維状のものが出ていました。

2回目の入院から1ヶ月がすぎようとしていましたが・・・・


病院は刑務所?

2009-02-01 21:56:04 | 合併症の治療(2回目の入院)

写真は、病院で入院患者さんがつけていた、リストバンドです。

バンドには、カタカナで氏名と入院IDが記され、バーコードリーダーで読み取れるバーコードが着いています。

病院側としては、患者取り違えをなくすためのものらしいのですが、患者側にしてみれば、商品として扱われている感じが強くなるものです。

入院していた時に、このバンドが強く必要と思われたときは無いのですが、入院患者の義務になっています。

外泊時には、とってもよいのですが、帰院時には新しいものをまたつけられます。

そのうち、刺青を彫られてしまうようになるかもしれません。

映画のような話ですね!

網膜スキャンなども、現実的に出てきているようですし、体表の静脈模様で個人の識別がされるようになってくるかもしれません。

患者取り違えは、人的ミス(医療側・患者側両方)であると思いますので、刺青をしても間違うときは間違うと思われます。

医療の現場では、安全管理というものが業務の中で大きなウェイトを占めるようになってきて、医療をしているのか安全管理をしているのかわからなくなってきてしまいます。

本末転倒にならないとよいのですが・・・


ステント抜去後

2009-01-31 17:41:14 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントを抜いたあとは、発熱少しと膵炎少しで済みました。

驚いたことに、胆汁漏の排液が400ccから200cc台に減少し、茶緑色のものがきれいな緑色になってきたら、突然でなくなってきました。

夜の間に少しずつ出てきて、日中にはほとんど出ない状況になってきました。

それに伴い、便も茶色に・・・・でも相変わらず下痢気味。

前回の採血で気になっていたPIVKAⅡも1/3程度まで減少し、ビタミンK不足のためということになり、精神的にもよい方向になってきました。

なぜ、ビタミンKが足りなくなったのか?良く考えてみたら、手術以後ずっと下痢だったので腸内細菌が安定しないためでしょう?と言う結果になりました。

この日から、整腸剤(ビフィズス菌製剤)を処方追加となりました。

その後PIVKAⅡは正常値に落ち着きました。  よかった・・・・

写真は、胆汁を排出したものをためておく排液バックです。排液量が少なくなり、この程度しか出なくなってきました。一番出ていたときには、このバックの1/3程度溜まっていました。下についているホースのような所から排液します。


ステント抜去

2009-01-30 11:26:18 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントを入れた後、エコー検査で胆管が2本拡張したままで、改善を認めないと言うことで、せっかく入れたステントを明日抜くことになりました。

”えーっ””せっかく入れたのに・・・”と思いましたが、拡張した胆管の通過をステントが邪魔しているかもしれないと言われたので、やはり抜くこととなりました。

内科の先生が、今回3回目のERCPで抜くだけですから、麻酔なしでやってみましょうと言いました。

不安は感じましたが、時間が短いということなので、その言葉に従って麻酔なしで行ってみました。

もともと、反射が強く、ただの内視鏡でも”オエオエ”していたので、口から食道までは、同じ感じで何とかこなせました。

しかし、胃から十二指腸に入れるときに、曲がって癒着しているため、押してもなかなか入っていきません。

吐き気はさらに強くなり、処理台の上はよだれだらけ、涙だらけとなってしまい、見るに見かねた内科の先生が、やっぱり麻酔しましょうといって、鎮静剤を投与しました。

そこからの記憶は無く、ベッドで目覚めました。

妻が、青いチューブを先生から渡されたそうですが、実際に体の中に入っていたステントでした。写真が現物です。記念に(?)もらってきました。両側(黄色い矢印)に返しがついていて、胆管の中と十二指腸の中に引っかかって抜けないようになっています。しかし6ヶ月ごとに入れ替えが必要となり、そのたびにERCPをしなければなりません。それが無くなったことはよいことかな?

医療用であるので、高いんだろうなーと思いつつ、ストローの代わりにもならないものを見つめて、はーっとため息をついていました。


ステント後のCT

2009-01-29 15:49:19 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステント後、PIVKAⅡが上昇したこともあり、急きょCTを撮ることとなりました。

胸部から骨盤部までCTを造影で撮影したところ、明らかな再発所見や転移を疑わせる所見は認めませんでした。

採血に他のマーカー(CA19-9とCEA)を加えて採血しました。

CEAは胃がんや肺癌などの、腺癌と言うタイプの癌で高値を示すマーカーです。これは私の肝臓を切除した後の病理所見で、肝臓癌はほとんど塞栓術で壊死しているが、胆管癌の成分が残っていて、染色法でCEAで強く染まって見えたので確認のため取りました。

CA-19-9は膵臓・胆管癌などで上昇するマーカーですが、膵炎や胆管炎でも上昇するので、あいまいなマーカーです。

CEAは正常範囲でしたが、CA19-9は異常高値でした。胆管炎の併発があったのであまり気にはしませんでした。

やはりPIVKAⅡの変動が最優先確認事項でした。

 

胆汁漏は、陰圧で引かなくなっても、溜まってこないようなので、このまま経過を見る方針となりました。

写真はそのときのCTで、薄い横断像(輪切り)から、コンピューターで再構成して冠状断で作成した画像です。人間の体を前から見たように切ってあります。白矢印が胆汁漏のスペースですが、拡大していませんでした。


ビタミンK?

2009-01-28 20:04:48 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステント挿入も終わり、体調も回復した朝に突然処方薬が増えた。

カチーフと言う名前の黄色い粉薬であったが、主治医からは説明が無かったので、何の薬かわからなかった。名前もあまり耳にしない薬剤でした・・・

記憶を手繰って思い出してみると”あっ ビタミンKだ!!”と思い出した。

でも、何でビタミンKを今頃処方するのだろう??その場では、わからなかった。

抗凝固剤は、飲んでいないし、納豆は止められているし・・・・無い知恵を絞ってみた。

”あっ”   思い出した・・・・  ”PIVKAⅡだっ・・・・”

PIVKAⅡと言うのは肝臓癌の腫瘍マーカーで、今回発症時に1000以上あり、非常に高値を示しており、腫瘍の量が多いと上昇するものだ・・・。

これは、肝臓でプロトロンビンと言う止血に関与するたんぱく質を作成するときに必要なビタミンKが不足したときに上昇する数値で、肝細胞癌が勝手に作成するたんぱく質なのです。

ビタミンKが不足すると、あがってきますが、ビタミンKは腸内細菌が生み出すので、不足することはめったに無いようです。

つまりPIVKAⅡの上昇は、肝細胞癌の再発を示しているのです・・・

もしかしたら、採血でPIVKAⅡを測定したところ、上昇していたのではないかと言う想像にたどり着きました。

”もう再発したのか・・・・”

”くそったれ・・・”

”何のために移植したのか・・・”

と言った具合に、妄想の世界に突入してしまい、非常に落ち込んでいました。

 

その後、こちらからPIVKAⅡが上昇したことをたずねると、そうです上昇していました。今日の数値は、297(正常は40以下)と上昇しています。

再発かもしくはビタミンK不足による上昇でしょうと説明された。

移植患者さんで、ビタミンKが不足することはあることなのだが、PIVKAⅡが上昇するほどの人は今までいなかったと説明もありました。

ビタミンK(カチーフ)を内服し、あさってCTを取って再発が無いか確認して、PIVKAⅡの変化を見ましょうという方針となった。

自分は、もう再発の世界にどっぷり浸っていました・・・・


胆汁漏チューブ

2009-01-27 21:59:01 | 合併症の治療(2回目の入院)

ステントも入り、便にも色がついてきたので、胆汁漏チューブからの排液が減ってくることを期待していました・・・・

しかし、いつまでたっても400cc出てきます。

ついでに、皮膚の穴の部分から異臭が出てきました。最初は、良く洗っていないために陰部がくさいのかと思い、自分の体をかぎまわっていましたが、実は皮膚の部分に感染を起こしていたので臭くなっていました。

長い間入れていた部位なので、かさぴたが重なり、そこに浸出液がしみて感染していました。培養ではMRSAが出ていました。

そこで、かさぴたを思いっきりはがして、イソジンでごしごし消毒し、膿の溜まっている部分を掻き出しました。

痛みはあったのですが、一気に臭いは改善しました。ついでに3ケ所で皮膚に縫い付けていたところが、外れていたので、もう一回縫い直し。

傷が見違えるようにきれいになりました。

 

あまりに排液量が減らないので、排液バック(ばねがついていて、常に陰圧で引いているタイプ)から、ただのバックに変更となりました。

でもしばらくは排液が継続していました。変わったことは、出てくる胆汁が、さらさらしたものから、ねばねばしたものに変化していました。

写真は、ステントを入れたときの透視画像です。白い蛇のようなものが、ERCPの内視鏡で、その先端から上に上がるようにチューブが出て総胆管に入っています。

10cm具体の円弧状のものがステントと呼ばれる、管です。細い部分に入れて流れを良くします。


ENBDを抜いて胆管ステント挿入

2009-01-25 21:40:17 | 合併症の治療(2回目の入院)

ENBDを入れて、10日経過しました。

いらいらも頂点をすぎ、あきらめの段階へきていました。

サイトメガロ感染増悪による発熱も改善傾向にあったので、本日午後から、ENBDを抜いて、胆管ステント(細いところにいれる、プラスチックでできたチューブ)を挿入しましょうということになった。

例のごとくうつ伏せで、ERCPが開始されようとしていた。治療直前に、ENBD抜きましょうと内科の先生が、突然に引っ張り出した。お腹に痛みではなく変なところを引っ張られて、吐き気が襲ってきた。

それきり吐き気はおさまってしまったが、思わず嘔吐しそうになっていた。

その瞬間に、鎮静剤でまた記憶が・・・・・飛んでいました。

病棟のベッドで、記憶が戻ると、あの忌まわしい鼻からのチューブは無くなりすっきり・・・

写真は、鼻のチューブが抜けてすっきりしたときにとった写真です。

でもやっぱり膵炎になって、しばらく絶飲食に・・・

次の日の便には久しぶりに、茶色の色がついていました。術後初めてのことです。

腸管に無事胆汁が流れた証拠です。うれしかった・・・

検査翌日は、例のごとく絶不調となり、一日うつに・・・

でも、これでもうERCPはやらなくてすむと思いほっとしていました。