生体肝移植が選択できた幸福

B型慢性肝炎から肝硬変・肝臓癌となり生体肝移植を受けることとなった医師によるブログ

移植後5年経過

2013-08-27 08:21:46 | 胆管狭窄の治療(移植後5年目)
ちょうど5年前、2008/8/27に兄をドナーとして生体肝移植を受けました。


13時間の手術の結果、いろいろありましたが本日5年目を迎えることができました。


胆管狭窄のステント挿入後の体調も落ち着き、黄疸も取れ体調も戻りました。


いろいろな方の協力を頂き、現在があります。


お礼のしようもありませんが、”ありがとうございます”。


もう少し、人生を楽しみたいと思います。





 昨日、白血病に対して全身照射を行い骨髄移植をされた患者さん(一度目の移植が生着不全で、もう一度全身照射を行い再移植されました)が約半年の無菌室生活を経て、退院されるということで、病棟診察を行いました。

 2回目の移植前の放射線治療の説明を無菌室で行ったとき、”おれって運が悪いんですかね・・””またうまくいかないんですかね・・”と、精神的に折れそうになっていたので、自分も生体肝移植を受けて、何とか仕事復帰して生活していること、なるようにしかならないので自分を責めないこと、諦めた頃に希望の光が見えることなどを話ました。

 その時は、頑張れと声をかけられる方が多い中、反対のことをいわれて一時戸惑いましたが、今その意味がわかりましたと・・・静かなまなざしで力強く話されていました。


6カ月もの間、死と向き合って頑張ってこられた精神力に脱帽でした
自分に、乗り越えることができたかと考えると、おそらく無理です。


退院後は、しんどいのでくれぐれも無理しないよう事と、余裕が出てきたら人生を楽しんでくださいとお伝えしました。
何の因果か、本日退院だそうです。

”お互い長生きしましょう”

なんとか、トンネル貫通しました3

2013-08-24 08:11:54 | 胆管狭窄の治療(移植後5年目)
プロポフォールによる鎮静薬だったので、治療直後より意識もはっきりし、2時間後にはトイレも自分でいけるようになりました。

この時点では、ステントが入ったことに安心しきっていたので、週末には退院する予定をたてていました。

治療後の膵炎発症もなく、水分摂取も許可となり、達成感のためか9時には就寝・・・・・


身体の痛みのため、夜中に覚醒

心持ち、寒気が・・・・

いやな予感・・・・

体温計・・・・

ピピッ・・・
 
38度2分・・・

あれっ!


まっ 治療した日なので、胆管に負担がかかって、発熱したのかも と、氷枕をいただて、もう一度ねました。
朝には、汗だくになっていましたが、非常にすっきり。

翌朝の採血でも、膵炎の数値の改善と、ビリルビンの低下を認めたため、食事も開始。

気のせいか、おしっこの色も薄くなってきました。


日中も発熱なく、食事も8割食べれたので軽快に・・・

内科の先生も、治療経過について説明して、うまくいったことを説明いただきました。

写真に経過を



狭窄部をガイドワイヤーが超えたのを確認後、バルーンカテーテル(針金の周りに水風船がついていて、中に水を入れると狭いところを拡張してくれるもの)で拡張を行いました。

内科の先生の印象では、狭窄部の硬さはそれほど強くないため、8mmまで拡張できたとのことです。

写真をみると、だんだん拡張されていく様子がわかります。

この後、狭窄部を超えるようにステントを挿入しました。

ステントは、6ヶ月から1年ごとに交換しなければならないので、長いものを入れて、先端を十二指腸に出すことになりました。長いものを入れると交換の時、簡単に交換できるそうです。しかし、十二指腸に先端を出すため、食事の繊維がひっかかって抜けてしまったり、食事から細菌が逆行性に胆管に入り、胆管炎を起こすことがあるそうです・・・・

下の写真がステント挿入後の単純写真と、内視鏡で先端が十二指腸に出ている様子です。先端から胆汁が流れています。


治療後、ステントが入ったことで安心しきっていましたが、2日目から熱がどんどん出てきて、9度越えに・・・

外科の主治医と、内科の先生が2人で病室に来られて、再説明
1)逆行性の感染を起こして胆管炎を起こしています
2)みじかいステントに、入れ替えることで対応します。

えーっ・・・・・(しばらく、空白の時間)



熱が下がらないことには、退院も仕事復帰も出来ない・・・・
じたばたしてもしょうがないっ!

わかりました、いつやりますか?
週明けの月曜日に・・・・

迅速な対応ありがとうございます(涙)

上の写真の左側は、みじかいステントに入れ替えた後の腹部写真です。先端は胆管内に収まっており、十二指腸には出ていません。

下に温度板を示しますが、交換後、熱が下がってきました(やった)



月曜日に交換した際のERBD処置は、スタッフや家族がびっくりするぐらい短時間で終了したそうです(1時間30分)。
自分の印象も、全く苦痛がなく治療後も体調悪化がありませんでした。
毎回、このぐらいだと、ありがたいなー・・・・


退院後の翌週より、仕事復帰ができました。7度台の熱があり、炎症反応が5台で下がりが悪かったので、クラビット内服しながらがんばりました。現在は、抗生剤の内服がなくても発熱無し。おしっこも透明・便も茶色です。


これで、一段落となってほしいなーーーーー




なんとか、トンネル貫通しました2

2013-08-03 13:31:21 | 胆管狭窄の治療(移植後5年目)
前回は、救急ヘリで搬送された対応で外科の先生方が来れなかったのですが、今回はチームの先生が全員そろわれました。

内科の先生をあわせると、そうそうたるメンバーが検査室に集まられました。


今回は、うまくいきそうな予感…

ソセゴン(鎮痛薬)とドルミカム(鎮静剤)だと、私の記憶には残らないのですが、かなり暴れるそうで治療手技に影響が出ていました。

今回は、ドルミカムの代わりにプロポフォール(麻酔薬)を使うこととなりました。

最初にソセゴンを静注し(血管痛があります)その後にプロポフォールを静注します(これも血管痛が強い)。

ドルミカムよりも、導入は早くあっという間に夢心地に…

治療中もあまり暴れなかったようで、術者は集中してできたということです。


ただし…治療中痛い事をすると鎮静がさめてしまうのです!

今まで治療中の記憶は全く残っていませんでしたが、今回は2箇所の記憶が残りました…

一つ目は、どの辺りかはわからないのですが、うつ伏せで喉に蛇の様な太くて長いものが通っていて、息が苦しいのと嗚咽が連続攻撃でくるため、蛇を握って吐き出し暴れてやるーと考えましたが、プロポフォールには筋弛緩作用もあるため、ただ身震いするしかできませんでした…このときにプロポフォールをフラッシュしていただいた様です。

二つ目は、最後の方だと思うのですが一回目と同じ状態でしたが、学習したのか悲しいことに蚊のような声で「眠らせてください…」と何度も訴えていたようです。


無事治療も終了し、プロポフォールを切ると、あっという間に意識が戻りました。

「入りましたか?」


「バッチリ」


この瞬間、私も内科の先生方も外科の先生方もみんな拳を握ってガッツポーズをしていました。

これで、何とかけりが付いたと思っていたのですが…(3につづく)

なんとか、トンネル貫通しました1

2013-08-02 15:02:48 | 胆管狭窄の治療(移植後5年目)

ここ2週間で、だんだんビリルビンと胆管系酵素があがってきたので、3度目のERBD目的に、7月30日に入院となりました。

まず、採血したところ、ビリルビンが6以上に…

トイレにいったところ、5年ぶりに、真っ白な便が…気のせいか、白目が、ワイルドな黄色に…

病室に帰ると、全身の関節痛が…

いろんな意味で、けっこうギリギリなタイミングだったようです。

ERBD当日は、熱も出てきて、最悪の体調でしたが、検査室から、お呼びがかかったので、出発。

恐怖の時間がやってきました…
(次回へつづく)