中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

天皇賞・秋(GI)回顧

2007-10-30 08:29:48 | 回顧
2007/10/28 4回 東京 9日目 晴(稍)
11R サラ系3歳以上 天皇賞・秋(G1) ○国際牡・牝○指(定量) 芝2000

【馬場】Bコース。やや重。内側が傷み、馬場の3分どころがギリギリ。芝の中が湿っている。

12.9-11.5-11.7-11.6-11.9-11.9-11.9-11.5-11.4-12.1=1:58.4

【展開】コスモバルクがハナ。それにB着用のデルタブルースが競りかけ、きれいな平均ペースの緩みない流れ。外枠のダイワメジャーは無理することなく好位の外め追走。

 馬インフルエンザで欧州遠征を断念し、国内制圧を目標に切り替えたメイショウサムソン。今回から手綱を取る武豊のエスコートで秋緒戦を圧勝で飾った。久々の一戦だったが、3週連続して武豊が調教に跨り、ほぼ万全の仕上がりだった。下見どころから迫力ある馬体が目を引いた。1番枠から好発を決め、先手を奪うかの勢いだったが、外から他馬がドッと押し寄せてきたために無理することなく好位のインまでポディションを下げる。若干、行きたがる素振りは見せたものの、許容範囲で鞍上の好判断。その後は馬群のインを通り、脚をタメる。終始、スムーズな競馬で4角から直線にかけての手応えは抜群。残り2F地点の坂上で早くも先頭へ躍り出ると、グングン加速。一頭になってもその集中力が途切れることはなく、ゴール前で鞍上の懸命な右ステッキに応えて2着馬を突き放す芸当を見せた。他の有力馬が不利に泣く中、スムーズな競馬ができた差はあったとしても、最後の脚力は紛れもない本物だった。やや重で1分58秒4は極めて優秀。腰を痛めていた昨年や、天皇賞激走の反動があった宝塚記念とは雲泥の差。劇的に力を付けている。底力に満ち溢れている。今年は残すところあと2戦。日本代表として凱旋門賞の悔しさを晴らす!

 調教で掛かり気味に失速したアグネスアーク。腹が巻き上がっていたが、当日は増減なしの430㌔。バネの利いたトモが印象的だった。道中は中団馬群のなかを追走。直前の勝ち馬を見る形。スムーズな折り合いを見せ、4角で気合いを付けて直線へ。入り口でエイシンとシャドウの間にできた隙間を積極的に狙いに行く。それが功を奏し、坂上で鞍上の右ステッキが入ってグンと伸びる。だが、そこで内のエイシンデピュティに寄られ、外のシャドウゲイトと挟まれてしまう。完全にバランスを崩して本来なら戦意を喪失してしまうケース。だが、そこから立て直して根性の末脚を発揮。最後は頭を上げてジリ脚になりながらも、ゴール前でカンパニーを差した。430㌔台の小柄な馬体で、エンジンが掛かり出してから挟まれる大きな不利。それを克服してのものだけに勝負根性は対したものだ。負けて強しの内容。決め手強化されている。あとは精神面での後遺症が気になる。

 関屋記念以来、3ヶ月ぶりの実践だったカンパニー。仕上がりは良好だった。道中は6番枠からスッと後方に下げる。馬場の良いギリギリの所を選び、馬群のインで我慢。福永のスムーズな誘導で、直線もロスのない馬場の3分どころへ。だが、前のバルクが外へ膨れ、狙っていた外側の進路を諦め、その内側の進路を突くも、今度はバルクが内側へ切れ込む。仕方なく強引に手綱を引いて外へ誘導する。そこからピッチの利いた回転の速い脚捌きでグンと加速。残り1F地点では勝ち馬に迫るかの勢いだったが、ゴール100㍍手前で筒一杯となり、最後は突き放されて2着馬にも差された。少し2000㍍は長かった。マイルで。

 ペリエを鞍上に迎えたポップロック。ひと叩きされてCWで中身の濃い攻めを消化。デキは万全だった。14番枠から先行策を狙ったが、行きがつかず後方からの競馬。道中も大トビで2000㍍のスピード対応に苦しみ、手綱のアクションに余裕がない。馬群に取り付くのに精一杯の感で、4角ではステッキが入るも反応が鈍い。直線を向いてもジワジワとしか脚を使うことができず、4着に詰めるのが精一杯だった。明らかな距離不足。有力どころの凡走に助けられた面もあった。距離が伸びるジャパンCは、ポップに最適な舞台。ゆったり競馬が合い、長く脚を使うので府中は絶好。でも、GIを勝ち切るには決め手不足。

 コスモバルクは逃げ馬不在のため果敢にハナへ。以前の掛かり癖は見せることもなく、制御の利いた道中。2番手のデルタのプレッシャーはあったものの、きれいな平均ペースの流れを刻む。だが、直線を向くと大きく外に膨れ、それを立て直して内側へ切れ込む滅茶苦茶な騎乗。ハングリー精神は認めるが、権威あるレース。本当に残念でならない。五十嵐は馬に責任を押し付けているが、左回りで外へ膨れることは過去のレースぶりから明らか。言い訳にはならない。過去には札幌で競りかけた馬の鞍上に肘鉄を食らわす悪態を働いた五十嵐。福永が「もうGIで乗らないで欲しい」と言ったのも納得だ。

 宝塚記念以来の実践となったアドマイヤムーン。この中間は休み明けながら明らかな攻め不足。それでも、気の勝ったタイプで馬体は仕上がっていた。道中は12番枠から中団馬群の外めを進む。前のダイワメジャーを見ながらの競馬。だが、馬群が固まったためにかなり外々を通らされるロスの多い競馬。直線も大外へ持ち出すしかなかった。しかも、勢いに付きかけた坂上で内側から寄られる不利があって完全にバランスを崩す。立て直してジリジリと脚を使うも、残り1F地点で左手前になり、ゴール前は脚色が鈍って内へモタれてしまった。久々で攻め不足、全体的にロスの多い競馬で、大きな不利。さすがのGIホースもこれでは勝てない。

 チョウサンは特徴的な前脚のフットワークで道中は無理することなく最後方からの追走。鞍上は「ノメり通しで、グリップが利かなかった」と。前走をレコード駆けし、パンパンの良馬場でこそのタイプ。

 シルクネクサスは道中、6,7番手のインを追走。直線の坂上では一旦、勝ち馬に並びかける場面が。折り合い付くようになり、安定感が増してきた。

 ダイワメジャーは14番枠で内の速い馬を見ながら無理に行くことなく、好位の外めへ。年を重ねたことで昨年ほどの行きっぷりがない。手綱を押して好位を取りに行った。三分三厘でも下手に動くことなく直線へ。入り口でハミをかけ直し、良い感じでスッーと進出するも、そこで内から突進されて体勢を崩す大きな不利が。そこから懸命に左ステッキが入るも、今ひとつの伸び。ゴール前でAムーンと馬体を接触して完全に戦意を喪失した。力を出し切れなかった。以前よりもゲートをモッサリ出てテンに行けなくなっている。尚且つ、外から被されると脆い。テンが更に速くなるマイルで内枠を引くとどうか。

 デルタブルースはB着用で道中はハミをかけて意識的に攻める競馬。だが、いつものリズムで走れていないために馬が戸惑った。掛かり気味になったし、息を入れる場面がなかった。やはりこの距離ではパフォーマンスが大幅に低下する。速いレースを経験したことでズブさが解消されれば。

 ブライトトゥモローは直線伸びかけたところでデルタブルースに進路を阻まれた。スムーズだったらもう少しやれたか。

スワンS(GⅡ)回顧

2007-10-30 08:27:06 | 回顧
2007/10/27 4回 京都 8日目 晴(稍)
11R サラ系3歳以上 スワンS(G2) ○国際○指(別定) 芝1400

【馬場】Aコース。やや重。想像以上に内側の馬場が悪い。外差し決まる。

12.0-10.6-11.1-11.5-11.6-11.4-12.5=1:20.7

【展開】アストンマーチャンがハナ。ギャラント、ナカヤマが競りかけ、アストンがハミをグッと噛んでテン3ハロンが33秒7。やや重の馬場を考えてもオーバーペース気味。中団あたりの馬に有利な展開。

 完全に充実期を迎えたスーパーホーネットが待望の重賞制覇。プラス10㌔と前走から更に成長。だが、レースではスプリント色の強い流れになり、道中は手綱を押しながら後方を追走。4角の下り坂で外めを通り、仕掛けを開始。直線で大外へ持ち出し、抜群の脚力で一完歩毎にグイグイ伸びる。ゴール前で計ったように差し切った。メンバー最速の上がり33秒9。決して楽な追走でないのに最後の決め手。急激な成長を遂げた。GIでも。

 フサイチリシャールは久々に福永とのコンビ。最終追いはDWで意欲的にやられた。道中は14番枠から内の馬を見ながら好位の外めを追走。集中した走りで迫力ある追走姿を久々に見た。4角でスッーと加速して入り口で内から寄られる不利はあったものの、力強いフットワークでグンと加速。少し内へモタれたが、最後までその脚色は衰えなかった。勝ち馬の決め手が凄すぎただけで、正攻法の競馬で強い内容だった。1400㍍がベスト。

 ドラゴンウェルズは道中、中団馬群追走。終始、良い手応えでFリシャールを見ながら。前走でスプリント戦を経験しているだけに流れに戸惑わなかった。直線も良い伸び脚。

 スイープトウショウは久々で予定していた京都大賞典を追い切りが行えずに回避。ここまで復帰戦がずれ込んだ。18㌔増で明らかな太目残りだった。それでも、スプリント寄りの速い流れに戸惑うことなく中団を追走できたのはさすが。2番枠で終始、馬場の悪いところを通らされるも、直線で馬場の良い大外へスムーズに持ち出す。ゴール100㍍手前までは突き抜けるかの脚を見せた。最後は失速したものの、久々でこれだけやれれば十分。

 ブラックバースピンは攻めで回転の速いピッチ走法で坂路をラスト1F11秒台。デキは良かった。道中は向こう正面で頭を上げてモロにバカついてリズムを崩す。4角で後方までポディションを落とすも、荒れ馬場を苦にしないパワータイプで、CBC賞同様、直線は馬場の悪いインを突く。そこからジワジワと脚を使ってきた。

 キングストイレイルは6番枠から掛かり気味の道中。向こう正面で躓くシーンも見られ、終始、馬場の悪いインを通らされる。三分三厘の手応えも今ひとつで、直線もインを突くが、伸びは今ひとつ。鞍上との呼吸は今ひとつで、スプリント戦後だけに乗り難しかったか。

 マイネルスケルツィは1番枠から顎をグッと引いて好位のイン追走。集中力ある走りで4角を迎えたが、ここで落鉄したとのこと。直線で一瞬は見せ場を作ったが、速いペースを追いかけたこともあって失速した。

 ナカヤマパラダイスは失速したものの、豊富なスピード性能を見せ付けた。道中は2番手で積極的に立ち回り、ゴール100㍍手前で失速したものの、やはり1400㍍は長かった。スプリント戦で改めて。

 アルトンマーチャンは楽にハナを奪うも、2ハロン目からナカヤマパラダイスに絡まれ、ハミをグッと噛んで行きたがってしまう。馬場を考えればテン3F33秒7は速いし、下り坂までずっと力んでしまった。スプリント戦後だけに余計折り合いが付きにくかった。どこかで息を入れることを覚えさせないと。