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2022年は客観的な予想を心がけます。

菊花賞(GI)回顧

2007-10-23 00:28:10 | 回顧
【馬場】(芝コース) 野芝約12~14cm、洋芝約12~16cm。Aコース。水分を含み、柔軟な馬場状態。

12.9 - 11.7 - 11.7 - 12.8 - 11.6 - 11.9 - 13.4 - 12.6 - 12.9 - 12.8 - 12.6 - 12.0 - 11.6 - 11.9 - 12.7=3:05.1

【展開】発馬直後の最初の坂。内からマンハッタンスカイがハナを伺うも、2ハロン目の下り坂で勢いを付けた17番枠のホクトスルタンがハナを奪う。直後のスタンド前では、サンツェッペリンのプレッシャーもあり、ペースは緩むことなく1000㍍通過が60秒7。1,2角こそ13秒4と流れが緩むも、向こう正面からはまずまずの締まった流れ。有力どころの各馬は、平均ペースの流れをテンは折り合いに専念し、三分三厘の下りで好位のアサクサが動いたのを見て、マークしていたアルナスが動き、後方待機のエーシン、ドリームは外を通って進出。距離適性を試される厳しい流れ。最後は根競べとなった。

 ダービー、神戸新聞杯であと一歩のところで苦杯をなめたアサクサキングス。鞍上には、そのダービー優勝のウオッカに騎乗していた四位。不思議な縁で結ばれた人馬が、最後の1冠を獲得した。下見どころから迫力満点の馬体と気合い乗りが目に付いた。レースでは10番枠からスッと好位へ。最初の上り坂でサンツェッペリンと接触するアクシデントはあったものの、リズムを崩すことなく離れた5番手で折り合う。道中は馬場のいい3分どころを通り、長手綱で長距離戦では理想的な姿。4角の下り坂で満を持して手綱を緩めて進出を開始。一気に2番手までポディションを上げて直線へ。そこからハミをかけ直し、強引に左手綱を引くと外へ膨れ、見せムチで内側へ切れ込み、再び左手綱で矯正すると外へ膨れる。左右にフラつく若さを見せながら、残り300㍍から右ステッキでライバル、アルナスラインに幅を寄せ、プレッシャーをかける。ゴール前で馬体を併せると、今度は渾身の左ステッキ。最後はほとんど余力を残していなかったが、これまでのGI戦で得た勝負根性で、振り切った。折り合いに全く不安のないタイプでスタミナも十分。右回りではコーナーで外に膨れる癖がある。この日もそれを見せていたが、長丁場で道中の追走がゆったりできる分、不利にはならなかった。

京都大賞典3着から中1週での参戦となったアルナスライン。古馬との激走後だけに反動を案じたが、攻めもしっかりできたように杞憂に終わった。道中は2番手集団から直前のアサクサキングスを徹底マークする。だが、ハミを抜いて楽な走りをするアサクサに対し、顎をグッと下げ、ハミを噛んで力んでしまう。鞍上も手綱を短く持ち、細心の注意を払う。三分三厘の下り坂でアサクサが動くと、連れるように進出。手応えを残したまま直線を向き、入り口でアサクサに進路を奪われるも、それほど不利にはならず。だが、向こうが右ステッキで幅を寄せてきた時に迫力に押されて外へ寄れてしまう。そこから立て直し、ジワりと詰め寄って差し切るかの勢いだったが、ゴール前で脚色が一緒になってしまった。着差が着差だけに惜しい。中1週の強行軍に加え、道中はずっとハミに頼って力んだ走り。それで勝ち馬とアタマ差なのだから負けて強し。本質的には中距離タイプ。

 1番人気に推された南半球産馬のロックドゥカンブ。僅かキャリア4戦だが、初の京都コース、長距離輸送でも全く動じることなく威風堂々とした姿。逞しい精神力を示した。4番枠から少し重心が後ろだった時に発馬が切られ、行き脚がつかず。道中は無理することなく、中団馬群のインに入れ、脚をタメる。長丁場だけにこの形がベスト。人馬一体となって完璧な折り合いを見せる。だが、インで脚をタメることに成功した分、三分三厘の勝負どころで馬群を捌けずにポディションを落としてしまう。直線入り口では13番手だった。そこからインを突いて馬群を縫うように伸びる。最後までその脚色は衰えず、上位2頭に迫るも、僅かに届かなかった。馬体を併せて勝負根性を発揮するタイプだけに、抜け出す時に一頭だけだったのは辛かった。結果論になるが、いつもどおり好位から立ち回っていれば勝っていたかも。差す形になっても結果を出せたのは大きい。強い馬だ。

 本命視したエーシンダードマンは残念ながら僅かに届かず4着。下見どころから落ち着き十分で、柔らかい歩様と毛づやの良さが目に付いた。道中は例によって後方から。大きなトビで、長丁場だけに気持ち良さそうな追走で余裕十分。今までになかった姿だ。勿論、折り合いも完璧で脚を十分に温存。馬群が凝縮した残り4F地点の下り坂で、外めを痺れる手応えで一気に中団までポディションを上げる。4角で気合いを付け、直線へ。入り口で何度も手前を替える若さを見せたが、左手前になってからは、ジワジワと脚を使って伸びた。一気に弾けることはなかったが、長距離適性を十分に示した内容だった。鞍上も「力を付けている段階で、来年が楽しみ」と。間違いなくステイヤーだけに今後の成長に期待。

 前哨戦の神戸新聞杯を制したドリームジャーニー。この日も自身で体を作るタイプだけあって412㌔の小柄な馬体で、気合い乗り十分。道中は例によって最後方。鞍上は手綱を短く持ち、気を許せばビューンと行ってしまいそうな気配はいつものこと。3角の上り坂で除々に進出を開始し、下り坂で一気に手綱を緩めて中団まで押し上げ、弾ける手応えも残っている。直線を向いていざ追い出すが、反応がない。いつもはなかなか手前を替えないが、直線入り口でスッと左手前に替えた。裏を返せばもう余裕が残っていなかったということ。最後は完全に脚が止まってしまった。2400㍍はギリギリ持ったが、3000㍍は長すぎた。今後はマイルから2000㍍を中心に使われるはず。期待大。

 ホクトスルタンは17番枠から内のマンハッタンとのハナ争いを制して2ハロン目から先頭へ。番手のサンツェッペリンが一周目のスタンド前で掛かり気味に競りかけてきたために11秒6-11秒9と速めのラップを刻む。1,2角こそ13秒4と息を入れられたものの、向こう正面から再びまずまずの締まった流れとなり、休めない。三分三厘の下り坂で番手を形成してきた3頭が続々とバテてしまうなか、まだまだ手応え十分。直線を向いて一旦は突き放す見せ場まで作る。最後はバテてしまったものの、先行馬総崩れの展開で、直線で突き放す脚を見せたのは立派だった。成長途上のメジロマックイーン産駒。楽しみ。

フサイチホウオーは発馬直後の下り坂でグッとハミを噛んで行きたがってしまう。その後も力みながらの走りでなし崩しに脚を使わされた。休み明けでは気合い不足で、叩かれると気合いが乗りすぎて力んでしまう。厄介なタイプだ。

 サンツェッペリンはコロンとした体型で、本質的には中距離タイプ。道中も折り合いに四苦八苦して1周目のスタンド前で掛かってしまった。

 ヴィクトリーは10㌔増。レース前はゼッケンの下が白くなり発汗が目立った。少し太め残りだったか。18番枠から最初の上り坂で4番手へ。ここでブレーキが利けばよかったのだが、次の下り坂で勢いが付いて抑えが利かず、2番手までポディションを上げてしまう。1周目のスタンド前で右手綱を引いて強引に内へ入れる。だが、それでも折り合うことができず、左右に首を振って嫌々をする。結局、4角手前まで鞍上との呼吸は合わず、4角では手綱を目一杯押しても前に進んでいかず。直線はバテる一方だった。この中間は連日に渡って岩田が調教に跨り、折り合いを付ける稽古をしてきたが、それを生かせなかった。気性難は解消されず、緩急のある流れでは力を発揮できない。マイルから2000㍍のタイプ。


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