中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

ジャパンC(GI)徹底研究!

2011-11-20 21:39:38 | 見解
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ペルーサ
前走の天皇賞3着は、久々で12㌔増。これはしっかりと攻め馬を積まれてのものでほとんどが成長分。その証拠に8番枠からかつてないほどの好発を決める。これはトモがしっかりしていなければできない芸当だ。その後は無理することなく後方に控える。3ハロン目までは馬群から置かれることなく追走できたが、レースは4ハロン目になっても緩まず、ここで少し馬群と距離を置く。3,4角もジッと我慢する。4角から直線入口にかけて大外へ持ち出してスパートを開始させる。ここで少しズブさを見せて上位勢と差を広げられる。坂上からエンジンが掛ると、大きなフットワークでグングン伸びる。際どいところまで詰め寄ったが、僅かに届かなかった。この超ハイペースのなかで上がり3ハロン33秒9の脚を使えたのは立派だし、勝ち馬がラスト1ハロンを11秒7で踏ん張ったのは想定外だった。直線入口でスッと加速できていれば。今春や昨冬に比べればトモはかなり強化されている。その証拠に発馬が安定してきている。昨年までならコーナー4回で流れが落ち着いて緩急のある流れになりやすい2400㍍は不利だったが、今年は違う。2ハロン伸びることでテンは中団から追走でき、馬群で競馬ができる。直線でエンジンが掛るのには多少の時間を要するが、そこは府中の長い直線でカバーできる。馬群から放されずに競馬ができているため、エンジンが点火して強烈な決め手を発揮できれば初の戴冠が見えてくる。

トゥザグローリー
前走の天皇賞5着は、久々で夏負けからは立ち直っていたが、万全のデキとはいかなかった。東京2000㍍では不利な17番枠。スーッと行き脚がつき、楽な手応えで好位の外めへ。道中は抑えるのに苦労するくらいの行きっぷり。収縮のある走りでタメが利いている。4ハロン目からは無理することなく中団までポディションを落として脚をタメる。ペースを考えれば絶妙な判断。しかし、終始馬群の外めを通らされるロスの多い競馬。3,4角は仕掛けることなくジッと我慢し、直線も大外へ。坂上で内へモタれ右手綱で矯正しながらもグーンと伸びる。ラスト1ハロン手前から先頭に並びかけるも、そこで脚は止まってしまい、苦しくなって内へモタれてしまった。不利な大外枠で無駄な距離を走らされながらよく頑張っているし、直線で一瞬の脚力は示した。前々走の宝塚記念13着は、夏負けの兆候が見られ、本来のデキにはなかったし、一貫した流れで追走に脚を使わされて見せ場を作れなかった。3走前の天皇賞・春13着は、発馬後から鞍上と喧嘩し、終始首を上げて嫌がっていた。業を煮やした四位が1周目の正面スタンド前で2番手までポディションを上げる。2角から向こう正面入口にかけては我慢できずにハナを奪う。ここで一旦は折り合いを付けたかに見えたが、そこは1番人気を背負った宿命。マイネルキッツが徹底マークの構えで掛り気味に競りかけられる。しかも、折り合いに専念するためにペースを落とした向こう正面中盤でナムラクレセントにハナを奪われる入れ替わりの激しい競馬。更に掛ったローズキングダムが外からマイネルキッツに被せたことでマイネルキッツが反応。キッツが更に仕掛けてポディションを上げたことでレースが壊れてしまった。結局は道中で下手に動かなかった各馬が上位を占めるレースになった。4走前の日経賞1着は、1番枠から馬任せでジワッとした出方。緩い流れとインのコーナーワークを利して1角では4番手のインをキープする。向こう正面では抑えるのに苦労するほどの行きっぷりで、もの凄い手応え。3角でも制御するのに苦労していたが、外のミヤビが仕掛けて行ったことでレース流れが速くなった。ここで手綱をグッと抑えて脚をタメる。4角手前で少し手綱を緩めてインから進出開始。4角で先頭から1馬身圏内まで進出すると、直線入口で馬なりのまま先頭へ。レースのラップが10秒8のところだから、すごい脚力だ。直後に外のローズキングダムに迫られたが、坂上で左手前に替えるとグンともうひと伸び。最後は手綱を抑えてフィニッシュした。武器はスッと先行できるスピード性能と、勝負どころから馬なりでポディションを上げられる脚力だ。前走から2ハロン距離が伸びるのは歓迎だし、テンの追走は楽になる。2,3番手で折り合い、直線で早めに抜け出すのが理想だ。前走時は中間の動きがモタモタしていて動きの精彩を欠いていたが、1週前は福永を背に馬なりでグーンと加速する日経賞を彷彿とさせる動きを見せてくれた。叩いた上積みは相当ある。

エイシンフラッシュ
前走の天皇賞6着は、入念に乗り込まれ久々でも好仕上がりだった。4番枠から好発を決め、直後に少し気合いを付けて先行する。3ハロン目から手綱を抑えるも、行きたがってしまう。縦長の超ハイペースを3番手から追いかける形となり、道中はなし崩しに脚を使わされてしまう。直線を向くと、手応え十分に伸びを見せ、坂上で単独先頭に躍り出る。ラスト1ハロンまでは懸命に脚を伸ばすも、ゴール前で脚は止まってしまった。昨年のジャパンC同様に発馬が良過ぎて前に壁を作ることができず、結果としてハイペースを追いかけてなし崩しに脚を使わされてしまった。前々走の宝塚記念3着は、宝塚記念3着は、4番枠から道中は馬任せで後方のインに落ち着く。終始、経済コースを立ち回りロスのない誘導。三分三厘ではバテたアサクサキングスを回避するために一頭分空ける。4角から直線にかけても馬場の内めに突っ込む。前のアーネストリーを目標に懸命に脚を伸ばしたが、脚色は同じになってしまい、ゴール前ではブエナビスタにも差されてしまった。3走前の天皇賞・春2着は、ひと叩きされて中間の動きがグンと良化。ダービー時に近い雰囲気だった。レースでは15番枠から好発を決め、内の各馬の出方を見ながら慎重に運ぶ。行きたがる気性なだけに鞍上も相当な神経を使っていた。直後に迎える下り坂をクリアするべく、ジワーッとリズムを崩さないように後方へ下げる。内枠ならここまで神経を使う必要はなかったが、外枠が痛かった。何とか前に壁を作ることはできたが、そこは歴史的な超スローの流れ。正面スタンド前では首を上げて掛ってしまった。それでも、ガツンと掛ることはなかったし、タメはできていた。1角からかなり入れ替わりの激しい流れとなるも、内田博は焦ることなくジッと我慢。3角の上りから下り坂も慎重に運び、4角で一気に手綱をしごく。直線は大外へ持ち出すと、一気に末脚で先団へ。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこから脚色が同じになり差し切ることはできなかった。大トビだけに上滑りする馬場も影響したか。鞍上の判断は絶妙だった。4走前の大阪杯3着は、大外枠発走で好発を決めたものの、内の先行馬を行かせて後方馬群に潜り込む。向こう正面から一気にペースが速くなる流れで課題の折り合いはクリア。59㌔を背負っていることもあり、3角では大外から早めにスパートする形。4角手前で中団まで押し上げたところで一旦手綱を抑える。4角で再び加速し直線へ。大きなフットワークで一完毎歩毎に詰め寄ったが、2着馬の脚色が勝り、競り負けた。休み明けで59㌔を背負っていたし、外々を通らされる苦しい形。格好はつけた。前走の天皇賞と昨年のジャパンCは、発馬が良過ぎて道中でなし崩しに脚を使わされて失速している。今回は2度目の騎乗のルメールが対策を打ってくるはずで、この点は心配いらないだろう。タメが利けば府中の長い直線で、いい脚を存分に発揮できる。宝塚記念は阪神内回りで力をフルには発揮できなかった。もともと攻め駆けするタイプだが、一週前はCWで四肢を豪快に伸ばした迫力満点のアクションを披露。引っ張り切りでもの凄い動きだった。絶好調。

ブエナビスタ
前走の天皇賞4着は、懸念された馬体重は10㌔減。レースへ向けてきっちりと体を作ってきた。5番枠からコーナーワークを利して無理することなく2角では好位を取る。ペースの上がった2ハロン目からは無理することなく中団の少し前目のポディションまで下げる。その後はインぴったりを立ち回りロスなく立ち回る。本来なら4角で動きたかったが、ここでズブさを見せる。反応が鈍いことで進路の選択肢は少なくなる。直線入口で行き場を失い、手綱は持ったまま。前のローズキングダムがフラついているだけに突っ込めない。今度はアーネストリーの左側に進路を見出して突っ込むも、内ラチ沿いはギリギリ突っ込めない。仕方なく今度は右手綱を引いて立て直す。そこからスペースができて末脚を伸ばすも、ゴール前で手前を替えたところで脚は止まってしまった。久々で不利はありながら上位争いを演じたのは立派だが、4角で見せた反応の鈍さとゴール前で脚が止まってしまったあたりに陰りを見た気がする。4角でスッと反応できていれば外めに持ち出せていたし、不利を受けることもなかった。前々走の宝塚記念2着は、発馬後に少し気合いを付けて中団を取りに行く。1角からは無理することなく後方のインに潜り込む。レース巧者で道中の折り合いは完璧。3角手前から馬場の3分どころへ持ち出す。だが、小回りの多頭数で馬群は凝縮し、3角では外からルーラーシップに被されて仕掛けどころを失う。4角でも前にトゥザとルーラーがおり、進路はない。仕掛けが遅れたうえに直線は大外。加えてレコード決着と極めて厳しい条件だったが、最後は大外から粘り強い脚で追い込んで地力を示した。3走前のヴィクトリアM2着は、中間の攻め馬では気負って掛ったりしていたが、下見どころでは落ち着き十分だった。返し馬では前脚の出が硬く、推進力には欠けていた。レースでは、ゲートはすんなりと出たが、二の脚がつかず自然と後方からの競馬に。道中はすぐ前のアパパネをマークする形。4角から直線にかけて大外へ持ち出す。坂上で左ステッキが入った時に僅かに外へ膨らむ。そこで勝ち馬とは差を広げられる。一完歩毎に力強く差を詰め、末が鈍ったゴール前で急追したが僅かに届かなかった。久々の実践と距離不足のマイル戦を考えれば十分すぎる内容だった。昨冬の有馬記念2着は、テンは無理に前へ行くことなく後方でじっくりと構える。鞍上は決め手に絶対の自信を持っていた。だが、向こう正面でもびっしりと馬込みに包まれる苦しい展開。インの経済コースを立ち回れたが、仕掛け遅れは否めなかった。3角手前でエイシンフラッシュとメイショウベルーガの間を割ってスパートを開始させる。三分三厘で馬込みをスムーズに捌いて4角では前のルーラーシップを目標に加速させる。スムーズに馬込みを捌けたのは瞬時に加速できる脚力があるからであり、ズブいタイプは馬込みでゴチャついて加速できない。直線でスッと左手前に替え、鞍上のステッキが唸る。坂上からグーンと凄まじい末脚で猛追する。坂を上がってからゴール前までの30㍍で更に伸びる。最後は差し切ったかに思えたが、首の上げ下げで僅かに屈した。内容的には勝ちに等しい内容だった。底力、瞬発力勝負、どちらにも対応でき決め手を発揮できるタイプ。ただし、ここ2走は勝負どころでズブさを見せているのは気になるところ。その分、距離延長でゆったり追走して加速できるのはプラスに働く。1週前追い切りは相変わらず前脚の捌きが硬い。トモと首は上手く使えているのだが、前脚が硬いため思ったほど伸び切れていない。最終追い切りに注目。

ヴィクトワールピサ
前走のドバイWC1着は、トランセンドの作る流れをスッと最後方からの追走。大きなフットワークでゆったりとした追走。向こう正面に入ると、昨冬の有馬記念と同様に一気に外めを通って先頭に並びかける。3角からはトランセンドの外にびっしりと張りつく。直線を向き、前で粘るトランセンドをなかなか交わせず、大外からはジオポンティも強襲してくる。ゴール前は白熱した追い比べとなり、激戦を制した。向こう正面で一気に脚を使いながら、直線で二の脚を使い着差以上に強い競馬だった。強い。前々走の中山記念1着は、始動戦ではあったが、ほぼ万全な仕上がり。下見どころから迫力十分の馬体で、他馬とは次元の違う雰囲気を醸し出していた。久々の1800㍍ということで発馬後は行き脚がつかず自然と後方からの競馬。緩い流れでも慌てることなくじっくりと我慢。有馬記念と同様に、向こう正面でポディションを上げる。3角手前では先頭から4馬身圏内に迫る。手綱は抑えたまま。3角で大外を通ってスパートを開始すると、グーンと加速。だが、4角では大きなフットワーク故に外へ膨れて右手綱を抑えることに。それでも、直線入口で凄まじい脚で一気に先団へ取り付く。坂上で他馬とは違う脚でキャプテントゥーレを振り切り、危なげない勝利を飾った。4角からの脚は本当に凄かった。大きなアクションで凄い脚を長く使える。世界で勝負できる決め手を持つ。当然、ここでも主役を張れる能力の持ち主。問題はデムーロの騎乗である。テンは例によって後方に控えるだろうが、ドバイWC、有馬記念同様に向こう正面で一気に進出する競馬をするかがポイント。少なくとも3角からは動くのではないか。すごい能力の持ち主だし、3歳よりも力を付けているのは確か。しかし、久々の一戦で向こう正面か3角から大外を通って早めに動くのは必至だろう。直線の長い府中で世界の一線級の集まるレース。そう簡単にはいくまい展開の鍵も握っている。

トーセンジョーダン
前走の天皇賞1着は、驚愕の日本レコードで初GIのタイトルを手にした。以前は坂路追い中心の攻め過程だったが、この中間は3週続けてコースで意欲的に追われ抜群の動きを披露。生涯最高のデキで大一番を迎えることができた。12番枠から発馬は決めたものの、行き脚は鈍く手綱をしごいて出して行く。1000㍍通過が56秒5の歴史的ハイペースだけに道中も少し気合いを付けながらの追走で、縦長の中団からの追走。ようやく3角から手綱のアクションに余裕が見られるも、4角で馬場の5分どころへ持ち出す。直線は大外へ。四肢を目一杯に伸ばした大きなフットワークでグングン伸びる。ラスト1ハロン過ぎで先頭に躍り出てもフワッとせずに集中して走る。ゴール前で内から2着馬の強襲に遭ったが、バテることなくラスト1ハロン推定11秒7の脚で踏ん張った。底力に優れた素晴らしい末脚だった。前々走の札幌記念1着は、短期放牧を経て入厩10日目で迎えた一戦。元来、叩き良化タイプでもあるため決して万全の態勢ではなかった。しかし、絞りづらい体質を考えれば冬場の休み明けよりは汗をかく夏場は良かった。レースでは13番枠から少し気合いを付けて前々へ。鞍上としてはハナを切ってもいいくらいの気持ちだったが、大外枠とそれほどテンのダッシュ力はないために4番手の外めに取り付く。道中の折り合いはスムーズで、レースの流れが極端に緩んだ3角で外めからジワッとポディションを上げる。4角から12秒6-11秒9と一気にギアチェンジする流れに戸惑いを見せ、手綱は動いてズブさを見せる。直線に入ってもハミを掛け直されても反応は鈍く、外のレッドディザイアに飲み込まれそうになる。馬体を併せられたことで闘志に火が付いたのか、そこからグンとひと伸び。最後は内々で粘るアクシオンをゴール前で差し切った。パワーのある実績馬で洋芝向きではあるものの、緩急の激しい流れは得意とはしない。そのなかで格好を付けたのはさすがだ。3走前の宝塚記念9着は、半年ぶりの実践。発馬で煽り気味になり、行き脚がつかず。その後も内へモタれる仕草を見せて1角からは後方のインに潜り込む。インのポケットに入ったことで勝負どころで動くことができず。ようやく4角で外めに持ち出すも、重心の高い走りで伸び切れなかった。4走前のAJCC1着は、厳寒期の坂路調教ということで太め残りが懸念されたが、当日はマイナス6㌔。下見どころではスッキリとした馬体で外めを気分よく周回していた。レースでは、出が今ひとつで少し気合いを付けて前へ。ゴール版前で態勢が落ち着き、前から5番手の位置で内のコスモファントムを見ながらの競馬。ミヤビランベリの作る緩い流れにも動じることなく折り合う。3角手前でペースアップする流れだったが、そこではジッと我慢。三分三厘から手綱をしごいてスパートすると、4角では先頭から2馬身差まで迫る。そこでバテたサンライズと接触し、直線入口では前が壁になっているために左手綱を引いて外めに進路を変える。そこで左手前に替えて猛追。楽なペースで行っているので先行勢もなかなか脚色が衰えなかったが、坂上の右ステッキでグンともうひと伸び。ゴール前で抜け出す時にフワッとしたが危なげなく差し切った。前半のペースが遅かっただけに勝ち時計は平凡だが、正攻法の強い競馬だった。距離が伸びるのは歓迎だし、再び底力勝負になれば台頭できる。逆に33秒台の脚が要求される流れだと他の強力馬とは見劣る。


ローズキングダム
前走の天皇賞10着は、長距離輸送で8㌔減。少し減り過ぎていた。2角で外からアーネストリーに入られた時に手綱を引っ張り、そこで馬にスイッチが入ってしまったし、左回りで外へモタれていた。直線も外へモタれるのを矯正しながらで伸びなかった。前々走の京都大賞典1着は、中間の攻め馬では完歩の小さい走りで決してデキは良くは見えなかった。加えて59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、不安要素はあった。レースでは7番枠から馬任せでポディションを取りに行く。各馬の出方を見ながら1角からスッと4番手のインに落ち着く。ペースの落ち着いた2角から少し行きたがる面と内へモタれたが、問題ない程度。向こう正面ではスムーズに折り合う。3角の上り坂に差しかかるところで内へモタれる。悪い癖を見せかけたが、鞍上がすぐに修正し4角から直線にかけてはスムーズに加速する。直線は鞍上の右ステッキと体と左手綱で真っすぐ駆け抜ける。首を水平に使い、グーンと加速する。最後は外から詰め寄られたが、着差以上に差を感じさせる切れ味で差し切った。開幕週のパンパン馬場で持ち味の切れ味を存分に発揮できたし、右回りで課題だった内へモタれる点も鞍上の渾身の騎乗でカバーできた。ここは相手に恵まれたのは確かだが、天皇賞へ向けて視界の明るい内容だった。3走前の宝塚記念4着は、ナムラクレセントの作る一貫した淀みない流れを好発から好位を取りに行く。少し気合いは乗り過ぎている感はあった。1角に差しかかるところで少し内へモタれる面を見せるも、至極順調な道中。道中は5番手のインからの追走。三分三厘で前のアーネストリーを目標に外から早めに進出する正攻法の競馬。だが、4角から直線にかけての手応えは良くない。直線入口で手綱を動かすも反応は鈍く、前のアーネストリーと脚色は同じになり外からブエナビスタに差されてしまった。タフな馬場と底力勝負を正攻法で押し切れるほどの力はなかった。4走前の天皇賞・春11着は、レース前から少し気負っていた。レースへ行っても発馬後から掛ってしまい、鞍上が制御できていなかった。正面スタンド前では頭を上げてモロに掛ってしまった。更に、ペースの落ち着いた向こう正面でナムラクレセントがハナを奪いに行ったのに反応してしまい、一気にポディションを上げてしまう。流れを考えれば我慢させるべきだった。これだけ気負ったキングダムは初めて見た。これでは直線で伸びるはずもなく、馬群に沈んでしまった。小柄な馬体から繰り出す瞬発力が武器。底力勝負にも宝塚記念で対応できたが、本来はスローの瞬発力勝負が向いている。前走は掛って力んで走っていたし、時計も速過ぎた。昨年のこのレース同様、瞬発力勝負になって全体の時計も掛れば出番はある。

ジャガーメイル
前走の天皇賞9着は、フワッとした発馬で行き脚がつかず最後方からの競馬。道中は少し気合いを付けながらの追走。直線で少し馬込みを捌くのに苦労したが、脚も残っていなかった。距離不足の2000㍍の高速決着。追走に骨を折った分、最後に脚は残っていなかった。前々走の京都大賞典3着は、下見どころから気負いが目立っていた。レースではスッと後方に控えて外めに持ち出す。道中の折り合いはスムーズで4角の下り坂から理想的にスパートする。直線は2着馬を被せに行き、一気に前を捕えるかの勢いだったが、外へ膨れる。そこから立て直して末を伸ばすも、ゴール前で内へ切れ込んでしまい、そこを2着馬に差し返されてしまった。久々を考えればいい内容だった。昨年のこのレースは残り5ハロンから加速するレースとなり、直線は大外へ回るロスはありながら最後は良い脚で追い込んできている。前走の内容から距離が伸びるのは勿論歓迎だが、良馬場の決め手勝負では上位馬と若干見劣る。スタミナは豊富なだけに、雨が降って不良馬場になれば。

ウインバリアシオン
前走の菊花賞2着は、下見どころではリラックスした姿で馬体を大きく見せ、デキの良さを窺わせた。レースではトモに力が付いたことで発馬を決めたが、無理することなくスッと控えて最後方に控える。安藤勝の腹を括った騎乗。道中の折り合いは完璧で、大きなフットワークで気持ち良さそうに追走する。3角の上り坂でレースの流れが極端に緩み一気に馬群は凝縮して自然と前とのポディションを縮める。ここでも安藤勝の手綱は持ったまま。4角で馬場の3分どころに進路を求め、初めて手綱が放たれる。直線入口でバテたベルシャザールを捌くのに少し苦労したが、そこからは一完歩毎にグイグイ伸びる。勝ち馬の派手な瞬発力には敵わなかったが、長くいい脚を使って追い込んできた。前々走の神戸新聞杯2着は、4角で外めから動き、オルフェーヴルと同じ位置から末脚を計ったが、あっさりと突き放されてしまった。3走前の東京優駿2着は、中間の攻め馬は抜群の動きを見せてくれていたが、馬体が4㌔減っていたので正直、ヒヤヒヤしていた。レースでは1番枠から好発を決め、スーッと後方に控える。1角に差しかかるところで折り合を欠く懸念をしたが、スムーズにコーナーに突入し、その後も折り合いはピタリ。これは戦前に予想したとおり、道悪を気にして馬が慎重に走っていた効果だろう。馬群はかなり縦長になり、それを離れた後方4番手の位置取り。3角から手綱をしごいてスパートするも、ズブさを見せる。4角から直線入口にかけても、まだ後方から3番手の位置取りで万事休したかと思われた。だが、直線でスッと右手前に替えるとグーンと掻き込みの強いフットワークでグングン伸びる。勝ち馬を差し切ろうかの勢いだったが、最後は苦しくなって内へモタれてしまった。今回は初の古馬との対戦となる。同世代相手では、3000㍍の前走を除けば緩い流れからの瞬発力勝負しか経験できていない。2400㍍でテンから締まった流れになった際に脚を残せるかがポイントになる。爪の不安は解消し、トモがパンとした今ならテンから流れても対応できるはずだ。

オウケンブルースリ
前走のジャパンC2着は、ひと叩きされたことでデキはグンと上向いていた。返し馬でもトモがしっかりと入って好気配だった。レースでは好発を決めたものの、例によってスッと後方に控える。1角では少し気合いを入れながらの追走。残念だったのは道中の位置取りだ。終始、馬群を避けるかのように外めを回り、残り1000㍍地点の3角からは大外を通ってジワッと進出を開始。4角では大外から手綱をしごいてラストスパートをかける。その甲斐あって直線入口ではグーンと勢いを付けて末脚を伸ばす。だが、逆手前のままで内へモタれながらの追い。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこで脚は止まってしまい突き放されてしまった。勝ち馬とは3.5キロの斤量差もあったし、ロスの多い誘導で仕掛けも早かった。手前を替えていればもうひとつのギアも使えていただろう。負けて強し。前々走の京都大賞典3着は、復活の兆しを見せてくれた。元来、腰に不安を抱えて今春は本調子には程遠いデキだった。中間は3週続けてびっしり追われ、いい頃の動きに戻りつつあった。その証拠に発馬してからの行き脚がいつも以上に良く、一時は先行争いに加わろうかの勢い。これはトモが入っているからである。2ハロン目からはスッと後方に控えるも、それほど前とは離れずインをぴったりと立ち回る。4角の下り坂を利してスパートを開始させ、スムーズに加速して直線もインを突く。2着馬と馬体を併せ、激しい追い比べに。ゴール前で僅かに屈したが、久々にグッとくるレースを見せてくれた。トモがパンとしたことでテンの行き脚は良くなっているはずだが、前走はテンにズブさを見せた。今回も発馬を決めても後方からの競馬になる。斤量が軽くなり、底力勝負になれば2年前の再現といきたいところ。

トレイルブレイザー
前走のアルゼンチン共和国杯1着は、11番枠からスーッと好発を決めて馬任せで1角からは好位に落ち着く。道中はスムーズな折り合いを見せ、レースのピッチが上がった3角から余裕十分の手応えのまま進出を開始する。4角からは馬群の外めを通らされる。直線の坂上から早々と先頭に立つ。一頭になってもフワッとすることなくしっかりと駆け抜け、GI馬オウケンブルースリの猛追を凌いで押し切った。残り6ハロンから速くなる持久力勝負の流れを正攻法で押し切る強い競馬だった。55㌔のハンデも向いたが、底力を感じさせる強い競馬だった。決め手勝負では分は悪いが、テンからある程度流れて底力を要する流れになれば。

マイルCS(GI)最終結論

2011-11-20 07:51:54 | 最終結論
京都11R マイルCS(GI 芝・1600㍍)
◎エーシンフォワード
○イモータルヴァース
▲リディル
△サプレザ
×フィフスペトル
×リアルインパクト

 土曜日はかなりの量の降雨があり、不良馬場で施行された。日曜日は天気が回復する見込みだが、やや重までだろう。土曜日の競馬を見る限りは内3頭分の馬場の痛みは激しく、先行馬もそこを避けている。外へ持ち出す差し、追い込みタイプは更に外を回らされ結果として前が止まらない展開になっている。馬場の5分どころは走れる状態にある。強力先行型がいる以上、後方待機組でも強気に内側に突っ込む騎乗が必要になる。

 昨年の覇者エーシンフォワードを本命視する。前走のスワンS6着は、久々で59㌔を背負い前の止まらない高速馬場。道中は終始、中団追走から馬群の外めを通らされロスの多い誘導。直線では内へモタれて矯正しながらの追いで伸びを欠いた。道中のロスに加え、速い脚を求められる流れでは厳しかった。ひと叩きし、この中間は2週続けて坂路でびっしりと追われグンとデキは上向いている。前脚をピンと張り出して柔らかい動きが目に付いた。間違いなくデキは良い。休養前の安田記念12着は、直線で加速した時に前が詰まる不利があり、力を出し切れていない。昨年のこのレースでは、13番枠発走から発馬後にスッとインに潜り込む。道中は縦長のハイペースの流れを中団のインから追走する。終始、馬群の内めを通り直線も馬場の3分どころへ突っ込む。力強い伸び脚で加速し、残り100㍍地点で単独先頭に躍り出る。早めに抜け出した分、最後は大外の各馬に迫られたが何とか押し切った。ハイペースの差し馬で、荒れ馬場も苦にしないタイプ。絶好の6番枠を引き、ロスのない競馬ができる。岩田も前走の敗戦を生かし内側にこだわるはずだ。直線で馬場の5分どころに突っ込めれば視界は明るい。連覇へ。

 仏のイモータルヴァースは一瞬の加速力が武器の3歳牝馬。前々走のジャックマロワ賞1着は、残り2ハロンから大外へ持ち出し一瞬の爆発力でグングン加速して差し切った。ゴール前でサプレザに詰め寄られたように一瞬の脚に優れる反面、長く脚は続かないタイプと見る。今回も最後方追走からの追い込みに徹するだろうが、4角から直線入口にかけての位置取りが最大の鍵を握る。京都外回りは4角の下り坂で加速がつくため、直線は馬群がバラける。追い込みタイプでも内側に持ち出すのは可能で、前が詰まるリスクも少ない。こちらも馬場の5分どころへ持ち出せれば戴冠の可能性は高い。課題とされている高速馬場への適性だが、身のこなしは柔らかくバネの利いた走りをするタイプ。軽い走りで高速馬場への適性はあると見る。