鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

王冠の下にアリスの身体が無から出現した(GLASS8-41)

2011-01-21 23:48:37 | Weblog
 最後の小川を跳び越えたアリスは芝生の上に着地。「やっとここに着いたわ。うれしい。でも頭の上にあるのは何かしら?」と彼女が驚いて言う。彼女の頭にぴったりはまった何か重いものに彼女は手を遣る。

 「それにしても私が気づかないうちに、どのようにしてその物は私の頭の上に来たのかしら?」と彼女がつぶやく。彼女はそれを持ち上げ膝の上に置き一体何か確かめる。
 なんとそれは金の王冠!

 PS:鏡の国はチェスの盤面のような風景を持つ。チェスの目の境界が小川である。小川を越えるたびに鏡の国は全く異なる場面となる。その国は言わば多くの劇場からなる多元世界。アリスはどの劇場でも出演者である。
 彼女の役は小川を越えるたびに突然変わる。
 彼女の役の変容過程はアナログ的連続性を示さない。それはデジタル的断絶性を示す。小川を跳び越えたときアリスは異世界に跳躍する。ただしアリスの同一性は保持される。
 「金の王冠はどこから来たのか?」とアリスが問う。しかし事情は逆である。
 金の王冠が先にあった。その異世界の王冠の下に突然アリスの身体が無から出現したのだ。アリスはいわば新しいチェスの目の世界にワープした。そこには王冠があってその真下にアリスがその王冠をかぶるように現れた。
    

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