鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

(1)音のレベル、(2)文字(=文脈的音=話の縮約記号)のレベル (GLASS9-21)

2013-02-17 14:28:43 | Weblog
 ここで赤の女王がまた質問し始めた。「実用的問題について、お前は答えることが出来るか?」と。そして「パンはどうやって焼くのか?」と尋ねる。アリスが「それなら知ってる!」と、待ってましたとばかり、答える。「まずフラワー flour を用意します。」「どこでフラワー flower を摘めばよいのだ?」と白の女王が尋ねる。「庭でか?それとも生垣でか?」
 
 コメント1:問題があるのは、アリスと白の女王の会話である。共通の言葉「フラワー」が、音として登場する。パンを焼くためには「フラワー」が必要だと、アリス。白の女王も「フラワー」が必要と認めた。ここで、二人の間に、相互了解が成立。

 コメント2:話の中に、まず(1)音のレベルがある。音のレベルで、「フラワー」が相互了解された。(コメント1参照)しかし、話は、そこから先、相互了解がすぐに、成立しないレベルへと、進む。先取りして言えば、「フラワー」1と「フラワー」2が、つまり文脈的音が、やがて区別されることとなる。文脈の中でしか定義されない音のレベルがある。それが文脈的音である。
アリスが「フラワー」1 flour を思っているのに、白の女王が「フラワー」2 flower を思っている。話は(1)音のレベルを基礎として、今や、(2)文脈的音のレベルに達した。同一の音「フラワー」が異なる文脈に出てくる。二人は、まだ今は、相互了解していないが、やがて、各々が、文脈的音「フラワー」1(粉)と、文脈的音「フラワー」2(花)と、別々のものを思っていることを、相互了解するだろう。

 コメント3:文字(文字のつづり)は、文脈的音の差異を指し示す。異なる文字(文字のつづり)が、それぞれ別個の文脈的音を、指し示す。文字 「flour (粉)」が、文脈的音「フラワー」1を指し示し、文字 「flower (花)」が、文脈的音「フラワー」2を指し示す。文字は、文脈的音を指し示す。
さらに言えば、文脈的音は、複雑な話を縮約したもの、複雑な話の省略記号である。かくて、文脈的音を指し示す文字(文字のつづり)もまた、複雑な話の縮約・省略記号である。 

 ※旧稿
粉 flour と花 flowerは違う(GLASS9-21)
 赤の女王がまたアリスに質問する。「パンはどうやって作るのか?」と。アリスが「知ってる!」と叫んで「まず粉 flour がいります」と答える。「どこでその花 flower を摘むのだ?」と白の女王が誤解。「庭でか?垣根でか?」と聞く。粉 flour と花 flower は似ているが違う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿