鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

nothing better と nothing like 意味同一、単語非同一(GLASS7-6)

2009-08-18 19:57:08 | Weblog
 使者ヘイアがハムサンドを白の王様に渡す。王様はガツガツ食べてしまい「もう一つ!」と言う。使者が「干し草しか残っていません」と答える。「ではそれでいい!」と王様が受け取る。

 PS1:王様が干し草を食べるなどありえないが、これはすでに紹介された言葉遊びの情景に由来する。「私はあの子にHAM-SANDWICHES(ハムサンド)とHAY(ホシクサ)を食べさせる。なぜならあの子の名前がHAIGHA(ヘイア)で住むのがHILL(オカ)の上だから!」(GLASS7-4参照)

 使者が怖い顔で王様を最初にらみつけ、また使者の大きな目玉が右へ左へぐるぐる転がりまわり、王様はそれらを見て驚きそして気が遠くなりフラフラになる。ところが干し草を食べて王様は元気になる。「気が遠くなったときは干草を食べるよりよいものはない There's nothing like eating hay 」と彼が言う。「冷水をかけるほうがもっといい better 」と常識家アリスが応じる。

 PS2:ここまでのやり取りは普通である。ところがこの後で王様がおかしなことを言う。

 「もっといいものがない There's nothing better ( than eating hay )とは私は言わなかった」と彼。「干草を食べるのと同じように似ているものがない There's nothing like it と私は言った」と彼が説明。
 
 PS3:王様は何が言いたいのか?意味としては「もっといいものがない 」と「同じように似ているものがない」は同一である。しかし使われる単語 better (もっといい)と like (同じように似ている)は同一でない。王様は単語の違いに注意を向ける。だからアリスが「冷水をかけるほうがもっといい better 」と言ったことに対し、王様は異論を唱える。アリスはきちんと聞いていない、 自分は better (もっといい)と言わなかった、 like (同じように似ている)と言ったのだと。しかしアリスは王様の異論が重要と全然思わない。かくて次のような態度を取る。

 王様が言うことをアリスはあえて否定しなかった。


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