鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

人間の顔であるための条件:目が二つ、鼻が真ん中、口が下側(GLASS6-36)

2009-07-12 22:09:26 | Weblog
 ハンプティ・ダンプティに「さようなら」と言われてアリスも「さようなら、また会いましょう!」と応じた。ところが彼はおかしなことを言う。「お前にたとえまた会ってもそれがお前だとわかるはずがない。」
 
 PS1:このハンプティ・ダンプティの発言の意味は何か?不思議である。

 「お前の顔は他のものたちと全く同じだ!」とハンプティ・ダンプティ。「目は二つだし、鼻が真ん中にあり、口は下側。いつでも同じだ。」

 PS2:ハンプティ・ダンプティの主張の後半は正しい。実際、どの顔も「目は二つだし、鼻が真ん中にあり、口は下側。」この点は「いつでも同じ」である。しかしこのこと故に「お前の顔は他のものたちと全く同じだ」とする彼の前半の主張は誤りである。目が二つ、鼻が真ん中、口が下側は(人間の)顔であるための条件であり、顔を相互に区別する条件ではない。ところが彼はこの二つを混同する。アリスの顔が人間の顔だという点では「他のものたちと全く同じ」であるが、実際には人間の顔が相互に区別されるからこの限りでは顔が相互に「他のものたちと全く同じ」というのは誤りである。

 「お前の二つの目がまとめて鼻の一方の側にあるとか、お前の口が上側にあるとかすれば、お前を他のものから区別できる」とハンプティ・ダンプティが言う。

 PS3:「二つの目がまとめて鼻の一方の側にあるとか、お前の口が上側にあるとか」したらこれは人間の顔ではない。アリスが人間の顔でない顔を持つのなら確かに他の人間たちから区別できる。ところがアリスは人間の顔を持つからハンプティ・ダンプティの観点から説明不能である。彼は人間の顔がどうして相互に区別できるかについて何も知らない。

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