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ばあやの のんび~り日記  

還暦をむかえてからパソコンの勉強を始めて
傘寿も越えてしまいました。
いつまでパソコンできるやら・・・

三池炭鉱三川鉱・炭塵爆発から50年 (2)

2013年11月06日 | ばあやの本棚

 こんな日もあった・・・


炭鉱華やかりし頃の、三井三池鉱業所発行 

”くろだいや新聞”

写真は当時
右は、  三井鉱山社長
  左は、  三池鉱業所・所長
(幸いにも我が家に保存していた、21年前発行の新聞より)

 

昭和38年11月9日
一瞬にして458人の尊い命が、炭塵爆発で吹き飛んだあの日
839人の一酸化炭素中毒患者を発生させたあの日。

悲しい炭鉱事故の記憶は、50年を経過してもこの脳裏から消え去ることはない。

もなく11月9日、 50年前の三池炭鉱、運命の日をむかえる。

 三川鉱正面入り口に残されたプレート       

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BA%95%E4%B8%89%E6%B1%A0%E4%B8%89%E5%B7%9D%E7%82%AD%E9%89%B1%E7%82%AD%E3%81%98%E3%82%93%E7%88%86%E7%99%BA

 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BA%95%E4%B8%89%E6%B1%A0%E7%82%AD%E9%89%B1

   坑内へ入るための人車   電車点検場

  
    チップで整地された三川鉱中庭、松ぼっくりは何を語るのか・・・

あの日の惨事は、わたしがどれほど身をけずったにしても決して書き表すことは叶わない。
詳細は別項(上)に譲り、わたしなりの記憶をたどってみた。

 また、次の大事故にも、夫は遭遇している。

 1984年(昭和59年)1月18日
有明坑坑内火災事故(三井有明鉱火災事故)が発生し83人が死亡している。

この火災によって83人が死亡し、日本における最後の大規模な坑内火災災害となった。

この事故は
九州にはめずらしい大雪の日に発生した・・・
あの日、テレビニュースで放映された有明炭鉱事故の福岡県大牟田市を、
雪国と誤解された人々が多かったそうだ。

ちょうどその頃、わたしは夫の勤務する三池炭鉱・職員婦人会の役員をしていた。

事故で亡くなられたご家族の家を、長靴を履き降り積もった冷たい雪の道を
一軒ずつ、弔問のご挨拶にうかがった。
辛い出来事が、まるで昨日の事のように甦る・・・


話を昭和38年11月9日に戻そう。
 
 当時(50年前) 私は24才、経理担当で大手の建設会社・大牟田出張所に勤務。
午後3時過ぎ、算盤をもつ手に激震が走った。
事務所の窓ガラス全てが、木端微塵に吹き飛ぶような衝撃と振動に皆の顔がひきつった。

数分後、急を知った上司の声がわたしの耳に飛び込んだ。
「杏子ちゃんの婚約者(A)が、勤務しとる炭鉱の事故じゃないか?!  はよ行って来い!」

怒鳴るような声に押されながら、社の車で約30分ほどかかかるだろうか?
Aの自宅、荒尾へかけつけた。
田舎道を土煙りをあげて走る車の中、頭の中はなにも考える余裕はなく
ひたすら、どうぞ家に居てほしいとだけ願っていた。

玄関の戸をたたいた。
返事がない、さらにたたき続けてようやく眠そうな目をしたAが現われた。
「あ、いましたか!・・・」
「あ、杏子さん、どげんしたとですか?」
「三池炭鉱で、事故があったらしいですよ」
「えぇっ!・・・」

将来の伴侶となるAは、中学・高校時代の親友 Yちゃんの兄。
婚約中とは名ばかりで、言葉使いはまだ他人行儀でぎこちなかった。

三井鉱山学校卒業後、三池炭鉱・三川鉱に勤務。当時は坑内作業に従事中だった。
三交代勤務中のAは、その時は幸運にも3番方で大事故からは免れたが、
顔をみるまでは悪いことばかりが胸をしめつけていた。

3番方は、午後9時から翌日の午前6時までの勤務だ。
まだ、テレビは一般家庭にはなくて、せめてのニュース源はラジオ位だった
まして夜勤あけ仮眠中のAは、事故発生を知る由もなかったろう。

すぐに救助隊として、三川鉱坑口に駆けつけた時、Aが目にしたのは
「炭鉱電車で地下から運ばれてきたばかりの、真っ黒い粉じんにまみれた
遺体の
山やった」と・・・。

50年を経過した今
多くを語らない夫が、初めて口にした言葉をわたしは鉛のように胸に受けとめた。

 もしあの日、1番方(朝の6時から15時)か、 2番方(午後13時から22時まで)勤務だったら、夫は爆発事故に遭っていたかもしれない。

そして・・・

今のわたしたち夫婦の姿は、決して在りえないことだったろう・・・

コメント (12)
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