さりげなく 春を 待つ・・・
そうたい、あれがあった!!
わたしは急いで押入れの中を探し始めた・・・
新しく来客用にとそろえていた「久留米絣」冬の綿入れ丹前
今年の冬はまだ出番がなかった。
「これくらいでいいかなぁ~」
大人用なので一寸袖丈が長すぎる、2寸ぐらいの(6cm)
”肩にあげ”をあげてみることにした
夜なので黒の木綿糸が見えにくくて なかなか針に通らない、糸通しでやっと通すことができて 二重にして縫いはじめたが 少し長めに糸を通していたので途中、糸が何度ももつれて・・・
あと片袖だ 時計を見た もう21時をとっくに過ぎていた
でも 今日中に仕上げて早く着せてやりたい・・・
やっとできあがった丹前、これでよし!とたたんで大きな袋にいれた
「明日とどけよう」
他でもない、孫のS君にだ・・・
先日 久しぶりに見たお風呂上りのS君が着ていたのは 幼稚園時代に買っていたもので、袖丈が肘ぐらいまでしかなくて・・・
今はもう5年生になっている
大きくなった証拠ではあるが、寒くないのかな?と思ったのである。
翌日 早速に届けておいた。
「おばあちゃん、綿入れの丹前をありがとう!!」
S君が夕方 電話でうれしそうに礼をいってくれた
「袖の長さはよかったかな?」
「う~ん、ちょっとだけ長いけど、あったかいのでいいよ~」
そのうちに2寸ぐらいの肩にあげなんか おろしても足りないぐらいに
大きくなる日が来るだろうなぁと思うと うれしいような 切ないような・・・
「おばあちゃん、コッソリのお話だけど・・・」とS君
「え?なに?」 わたしは声をおとして答えた
「 さりげなく 聞いてね おじいちゃんに
もうすぐ おじいちゃんの誕生日だよね、
プレゼントなにがいいのかと思って・・・」
「あらあら ありがとうね、 じゃあ さりげなく 聞いてみるね」
なんと かわいい質問だろうか
ますます切なくなってきた・・・
( あ~残念!! あわてていたので丹前の写真、写すの忘れました・・・ )