むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

シコクママコナ:四国飯子菜(そはやき要素植物の) 

2016-08-24 09:38:25 | 植物観察記録


高野山麓極楽橋から不動坂を上り、女人堂近くになったあたりに咲いていたのがシコクママコナ:四国飯子菜(ハマウツボ科ママコナ属)です。
ママコナの仲間は半寄生植物の1年草で、紅紫色の花冠は筒状で先は唇形となり、下唇は浅く3裂して内面に黄白の2条の隆起があるので、これを米粒に見立てて飯子菜の名があるといわれますが、別に未熟な種子が米粒に似ているからという説もあります。
ママコナの区別は花の付け根の苞の鋸歯の有無、花冠の色、花冠内部の黄色の斑点の有無などでされますが、高野山のものは、苞葉に刺毛状の歯牙を散生するするほか、下唇弁の色が白っぽく、弁の奥に黄色い斑点が広がっていること、分布地の共通性などからシコクママコナと判断されます。
シコクママコナはソハヤキ要素植物のひとつとされています。このなじみのない言葉は、漢字では「襲速紀」と書き、南九州の古名「襲国」(そのくに)のソ、豊予(ほうよ)海峡の旧名「速吸瀬戸」(はやすいのせと)のハヤ、「紀伊」のキをつないだ名称で、31年に京都帝大の小泉源一博士が提唱したもので、ソハヤキ要素植物は、九州山地と四国山地、紀伊山地に特徴的に分布する植物を指します。
現在ではソハヤキ地域は、関東地方の秩父や日光までを分布域に含む地域として理解されていて、これらの植物は中央構造線に沿うように分布が見られ、中国南西部や東部ヒマラヤのアジア大陸に起源を持つ植物と指摘されているものも多いといいます。主な種類としては、ヤハズアジサイやクサヤツデなどが挙げられ、紀州地域の植物相を特徴付ける種類となっていいます。
シコクママコナは分類上ミヤマママコナ(’05年8月31日記事)(12年10月6日記事)の母種とされ、ほかに苞が葉状で、毛状に長くとがった鋸歯があるママコナ(10年10月19日記事)などもあります。

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