教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

少子化傾向は私立高校の受験をどう変えたか~私立高校入学試験を終えて①

2007年02月21日 | 進路保障
     2007年          1992年
      募集  専願  併願   募集  専願  併願
《男子校》
大阪     280  209   628   495  500  1616
清風     355  187  1026   685  511  1359
摂陵     245  157   327   315  234   606
北陽     300  170   678   545  527  2408
明星     135   86   266    250  278   334
《女子校》
薫英     240  152   283   540  474  1450
成蹊     280  127   445   570  587  1070
四天王寺  165  115   566   447  375  1093
宣真     320  221   565   520  416   740
梅花     240  148   251   370  358   433
《共学校》
英真     320  192   565   616  530   652
追手門   174  148  1148    268  286   618
大阪学院  400  411   630   430  591   492
関西大倉  320  207  1353   540  634   832
関大一高  190  286    74   268  587    39
大商学園  380  320  1168   450  689   926
箕面学園  220  104   161    423  549   696
箕面自由  310  167   784    272  371   874
桃山学院  520  431  1268    630  535  1127
履正社   381  309   299    495  317   88
同志社香里 60   67     0    90   250    7
(各校の実際の募集は学科や類系ごとですが、便宜上学校ごとに総計しています)


【入学試験をめぐる変化】
 私が教員の仕事に就いた1970年代(多くの保護者のみなさんが小中学生時代を過ごした時期と思います)は、大阪府の15歳人口増加期であり、厳しい入学試験が続いていました。ほとんどの私立高校は専願者だけで募集定員を上回りました。公立高校については本来の希望者に加え私立高校不合格者も集中し、ますます狭き門となりました。

 生徒数の増大にあわせ、公立では新設高校が次々と誕生しました。それでも多くの私立高校は専願者だけで定員に達していたのです。

 この傾向は第二次ベビーブーム世代が受験を迎える1990年代前半まで続きました。しかし少子化の影響が出始めた2000年代になり入学試験の様子は一変します。大阪府下の7割以上の私立高校が募集定員割れを起こすという私学にとっては深刻な(受験生にとってはラッキーな)状況が始まったのです。上の表を見ても分かるように私立高校の専願者が定員に達したケースは1992年の11校から、3校に激減しています。

【少子化時代を迎えた私立学校】
 1990年代に私立学校は少子化時代に向け、①大阪府との間で公立・私立高校の定員について話し合いを行いつつ、②共学化と③中学校の併設を進めてきました。

 まず①の公立高校の定員削減についてです。大阪府は私立高校の果たしてきた歴史的役割を尊重し、公立高校と私立高校の収容率を7:3という比率で考えてきました。生徒減少期の今も公立・私立高校はともに定員を減らしながら7:3という収容比率を保っています。(これに沿って公立高校の統合再編が進んでいます)お互いが募集定員を減らすことにより、公立・私立を問わずできるだけ高校をつぶしたくないという大阪府の配慮が働いています。

 ②の共学化についてです。かつて大阪府下私立高校のほとんどは、男女別学でした。T地区でも共学校は3校のみでした。男女別学は建学精神ともかかわる私立学校の特色の一つでもあり、結果としては男子校と女子校の間で生徒争奪が激化する防波堤にもなっていました。しかし少子化時代の到来は私立学校間の共存共栄時代を終わらせ、一挙に私学の共学化を推し進めました。(同時に校名も変わった学校も少なくありません)

 ③の中学校併設は、高校での募集減で空きが生じた施設などを有効に活用させるだけでなく、安定した高校入学者を作り出すことになりました。中学校開設は、当時の文部省が発表した「ゆとり教育」に対する保護者の不安感にも助けられ、ほぼ成功する形で現在に至っています。



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