教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

ふざけあいが喧嘩に変わる瞬間

2009年07月11日 | 生活指導
 奈良県で高校生の同級生殺人事件が起きた。同じ中学校から進学した二人は、高校2年生までは仲の良い友人だったという。2年の秋に二人の間に亀裂が起こり、喧嘩になったという。その後は無視し合う関係となり、今回の事件に発展した。

 頭から喧嘩を否定しようとは思わない。人間としての尊厳が踏みにじられ、感情を爆発させることもあるだろう。しかし喧嘩に意味があるとすれば、許しあい、関係を修復させる努力をお互いがしたときだろう。喧嘩をし、許し合い、仲直りをすることで、人は人との付き合い方を学ぶのである。修復ができない喧嘩は、お互いの存在を抹殺する。それを心の中だけで行えば、『無視』『差別』となり、実際に行えば『殺人』になる。

 クラスの中でも喧嘩が起きた。担任は以前から①些細な『からかい合い』を楽しむ、②お互いの持ち物を隠し合う、③追いかけ合いをして汗まみれになっている、という現象を取り上げて、「ええかげんにしろ」と注意を行ってきた。『からかい合う』言葉も、あまりにも幼稚で(時には好きな女の子の名前を連発するような)、学級新聞に載せることも恥ずかしくなる内容である。しかし仔犬のように「キャッキャ」とふざけているのが、どこかで本気のスイッチが入って喧嘩になるのだ。

 これは喧嘩をした当事者だけの問題ではない。中学三年生にもなれば、尊敬できる友人を見つけ、仲間の生き方から学ぶことができなくてはいけない。教室で机を並べている友人の『素敵な一面』を見い出すことができなくては、同じクラスになった意味がない。ふざけあう時があっても良いだろう。しかし、「ふざけあいしかない」関係になってはいけない。

 一学期もあとわずか。周りの仲間から学ぶという視点を忘れないで欲しい。


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