教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

イノセント・ボイス~12歳の戦場

2009年07月23日 | 本と映画の紹介
昨夜(7月22日午前0時過ぎ)というか、深夜に偶然目にした映画が『イノセント・ボイス~12歳の戦場』だった。内線下にあったエルサルバドルの少年兵の問題を描いた作品であるが、その内容に眠さを忘れ眼が釘付けになった。

時は1980年、中米の小国エルサルバドルは政府とゲリラの内戦下にあった。政府軍は不足する兵士を補うため、男の子が12歳の誕生日を迎えると強制的に軍隊にさらって行く。11歳の少年チャバが住む町は、政府軍とゲリラの勢力のほぼ境界線にあり、あるときは、授業中の学校が銃撃戦の舞台となる。

町の教会は人々の安らぎの場であったが、その神父も目の前で殺されていく人々を、もはや祈りでは救うことができないと思い知らされる。学校は閉鎖され、教会は破壊され、町はゲリラをかくまったという疑いで政府軍に火をかけられる。政府軍の横暴を目の当たりにするチャバの友人たちは、「ゲリラに入るしか道はない」と決意する。そんなときに、偶然再会したかつての友人は、いっぱしの政府軍兵士に仕上げられており、「ゲリラをやっつけた。ベトナム帰りのアメリカ兵士に訓練された」と手柄話をするように語るのである。

その夜チャバたちは、家を抜け出てジャングルの中にあるゲリラのアジトに向かう。しかし、少年たちの足取りは政府軍に筒抜けになっており、銃撃戦の末、ゲリラの小部隊は全滅し、少年たちは全員捕らわれる。そして川原の処刑場。すでに多くの死体が散乱しているなかで、11歳の少年たちは、次々と頭を撃ち抜かれていく。その政府軍の中には、昨日再会したかつての遊び仲間もいるのだ。

少年たちを奪い返そうとしたゲリラの応援部隊と政府軍兵士との銃撃戦が起こり、奇跡的に処刑を免れたチャバは、家族と別れ、ただ一人アメリカに渡ることになる。銃撃から逃げるときにも母親が大切に持ち歩いた商売道具のミシンを売ったお金が、一人分の旅費となったのだ。「強くなって帰ってくるのよ」という母親の言葉を胸に、トラックの荷台で揺られるチャバを映しながらエンディングソングが流れる。

この映画は脚本のオスカー・トレス自身の少年時代の体験がもとになっている。彼は祖国に家族や友だちを残してアメリカに渡ってしまった自分に、ずっと罪悪感を感じていたという。ユニセフの調査によると、今でも25万人の子どもたちが、少年兵として戦っているという。


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