へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

お見舞いのマナーだ

2009-08-21 23:13:19 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

藤川先生に連れられて、ぼくらは副住職さんのお見舞いに行った。
病室には、副住職さんのお姉さんの棒斐浄寺の尼さんがいて、足に巻いたギブスにマジックでいたずらかきをしているところだった。
「おや、バカ殿に少年探偵団じゃないの」
「少年探偵団って…」
ぼくは相変わらずの型破りな尼御前さまの発想に、ついていけない。
「今日は尼さんのかっこじゃないんですか?」
たかのりのまのぬけた質問に、
「あら、お坊さんのかっこで病院に出入りしてたら、あんたが病人だったらどんな気分?」
と、たかのりのおでこをつついた。
「ほれほれ、言ってみろ」
「え~と、あの…
たかのりはたじたじ。
だいたい、インフルエンザも裸足で逃げ出すほどの健康体のたかのりに、病人の気持ちなんかわかるもんか。
「姉ちゃん、こいつらとオトモダチかよ」
「なかなかいい子たちよ~」
「どこがだ」
ヤンキーなあんたに言われたくないね。
「ねえねえ、チャリで転んだってほんと?」
「このケガ、骨折なんだよね」
「バイクじゃないんだ、きいたよ~、もと暴走族なんだって?」
やつぎばやにぼくらにからかわれて、
「あ?」
副住職さんの形相が一変した。
「孝禎てめえ」
「なんだよ、悪いかよ」
と、藤川先生も言い返す。
ありゃりゃ、ヤバ~い雰囲気ってなった時、
「おい、ムコ殿、足の具合いはどうかな?」
と、お坊さん姿の須庭寺の住職さんがドアを開けて入ってきた。
「あ…
ぼくら全員、住職さんに視線を向けたまんま、硬直してしまった。
「おれ、やっぱ嫌だわ」
たかのりがボソッとつぶやくのが聞こえた。

とんだ番狂わせ

2009-08-20 19:52:29 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

部活が終わって、主の出張中のタコ壺保健室で片山教授と、ぼくら5人で話しをしていた。
「どうだ、ここの梅ジュースは最高だろう、炭酸で割って飲むとなかなかだ」
匿名希望の東山先生が丹精込めて作り上げた5年ものの梅のジュースが、片山教授の手にかかると梅酒に化けてしまう。もちろんぼくらはノンアルコールだよ。
「これ、小百合にかけるとどうなるんだろうね」
ぼくは、夏の暑さにも元気に咲いている愛すべき?巨大な蘭に近づいた。
「やめといたらぁ、踊りだしちゃうかもしれないから」
「そうだねぇ」
その小百合の向こう側のガラス戸を開けて、藤川先生が顔を出した。
「よ、バカ殿、どうだ飲まんか」
グラスを高々とあげた片山教授の勧めを軽く断って、
「おい、細太郎、副住職のおっさんが、事故ってケガしたぞ」
と、とんでもない情報を伝えにきた。
「ええっ、なんで?
ぼくらは驚くと同時に、がっくり。なぜなら須庭寺に乗り込んで、GWの仕返しをする予定でいたからだ。
「あのヤンキー、なんで事故ったの?」
たかひろが身を乗り出してきくと、
「チャリで転んだらしい」
と、意外な答えが返ってきた。
「チャリっ
「なんで、チャリなんだよっ
あの悪っ面な副住職の事故原因がチャリだなんて、
「信じらんないっ
あのおっさん、勝手に事故りやがってよ~。

さあ選挙だ

2009-08-18 22:12:19 | へちま細太郎

「で、慶子ちゃんはどこに投票するのぉ?」
「さとう」
「はい?」
「さとう」
「真剣に考えようよぉ、子育てのためにさぁ」
「さとう」
「慶子ちゃあん」
「砂糖よこせっ
「あ、すいません」

困った夫婦だ
ため息をつくおばあちゃんでした。
ほんと、どこに投票しようかしら。
私も嫌いなのよ、ぽ~ぽぽぽぽぉ~♪
シャレにならないな、こりゃ。


美都田吾作

2009-08-17 22:35:14 | へちま細太郎
『黙れ黙れこの田舎じじいがっ
『いかにも田舎じじいじゃよ』
『田舎じじいの分際で、この大根の産地と味付けをとやかく申すとは』
『このふろふき大根のできが今ひとつでな、出汁をトビウオでとるとは…』
『トビウオはわが藩の漁村の重要なものである』
『治兵衛どん、吾助どんやってみせておやりなさい』

(-"-;)

必ず出された食事に文句をつけ、あげく藤川家の紋所入りの包丁セットを取り出し、嫌みったらしく目の前で包丁さばきをみせて、
ははあ~参りました、
となる美味しんぼと同じように始末の悪い時代劇が“美都田吾作”なのである。
悪いが、文句を言いつつ、ついみてしまう、ご先祖孝行な藤川でした。
まあったく、こんな好々爺じゃねえぜ。

かっこわりぃ

2009-08-16 22:37:52 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

ぼくは、背中に近衛少将さんを連れて、須庭寺に行った。
須庭寺では、藤川家の大法要が行われていて、のぶちゃん先生とけんちゃん先生も暑いのに、黒い服をきて法事をする大きな法堂の中でかしこまっていた。
「さてもさても、うらやましきことよのぉ」
背後で近衛少将さんがぶつぶつ。
「毎日お経あげて欲しいわけ?」
「そうは申しておらぬ」
法堂の入口近くには、関ヶ原と鳥羽伏見の二人のおじさんが 神妙な顔をして座っていた。 そうか、家臣だったもんな。
ってことは、
「あ~いたよいた」
美都田吾作が殿様のかっこをして、歩き回っていた。
「あれが美都田吾作か、ほんとにくそじじいであるな」
近衛少将さんは、ふんと扇のこちら側で鼻を鳴らした。 それを聞き付けたのか、美都田吾作がやってきて、
「こりゃそこのひな人形、無礼を申すな」
と、近衛少将さんに文句をつけてきた。
「何を申すか、主上の側近く仕える近衛少将に対し、無礼を申すでない、まろはこれでも公卿であるぞよ、藤川家は従五位上であろうが」
「何、ひな人形、近衛少将とて同格であろうが」
「まろは従四位上じゃ、何せ父親が右大臣であった故の」
ほ~っほっほっほっと高笑いをして、扇を閉じると美都田吾作さんの頭をぱきんと叩いた。
「この痴れものめが」
ひぇぇ
近衛少将さん、居丈高に踏ん反り返り、日本一有名な殿様を馬鹿にしまくり。 一方の田吾作さんは、死んでからもちやほやされてるせいか、この仕打ちに真っ赤になって怒っている。
「身分は身分じゃ、そこへ控えておじゃれ」
ひぇぇ、と“ムンクの叫び”になった関ヶ原と鳥羽伏見のおじさんたちと吾助どんと治兵衛どんが、騒ぎを聞き付けて飛んできた。
「これ、そこなものども、まろがついておるのじゃぞ、この痴れ者に頭なぞ下げてはならぬ」
田吾作さんはここまで言われても、言葉が返せない。
「まろは常日頃、このまろが血を伝える子孫たちが、なにゆえまろより身分低きこの者に頭を下げねばならぬのか、非常に許しがたきことと思うておったのじゃ、いや、思うことをいうて気が済んでおじゃる」
美都田吾作さんは、無礼うちにしようと刀に手をかけたが、
「殿、おやめくだされ、少将様もすでにこの世の者ではございませぬ」
と、とめられて怒りの矛先を向けようにも、文句を言った本人が自分より身分が高いときては、どうしようもない。ぼくに気がついたのかぼくに視線を向けてきたが、
「ほれ、お守り」
とぼくは棒斐浄寺の尼さんから貰ったお守りを見せた。
「美都田吾作に効き目抜群だって」
「なあんじゃと?」
「田吾作さんて、人参嫌いなんだって?だあめだなあ」
棒斐浄寺の尼さんが、お寺にあった日記を読みあさって、この天下の食いしん坊万歳が、実は人参が大の苦手だったと、突き止めたんだ。
「文句なら、尼御前さまに言ってね」
ぼくは怒り狂う美都田吾作さんを見て、くすっと笑ってしまった。
「このこわっぱめが~」
と、頭に血が上ってしまったのか、田吾作さんはその場にひっくり返ってしまった。
子孫(副住職)の敵を先祖でうつ、なあんてことを考えて、法堂の中でお経をよんでいる副住職の顔を思い浮かべていた。
「ほ~っほっほっ」
近衛少将さんの高笑いは、まだまだ続いていた。

お盆だからね

2009-08-14 20:36:31 | へちま細太郎
みなのもの、まろが近衛少将じゃ。
最近はお盆、彼岸にかかわらずこのあたりを浮遊して歩いているので、全く有り難みがうせられてしまい、普通の家族と同じ扱いをうけておじゃるよ。
たまには、まろが墓のある近藤家の本家に顔を出してみたのじゃが、ごった返しておって誰もまろとは気がつかぬ。
細太郎のまたいとこにあたる雅弘という少年は、大学生になり茶髪にし、肌の色も真っ黒になっておじゃった。
「海にもぐってんだよ」
と、いつぞやはちんちん丸出しで赤っ恥をかいた亮という中学生に説明しておったようだが。 亮という少年は、細太郎と違い坊主頭の田舎の子供じゃ。 素直な子じゃ。
どうも、細太郎やしんいちたちのような生意気な子供ばかり目にしておったゆえ、心が洗われるようじゃ。
しかし、生きてる者はともかく、なにゆえお盆で帰ってきたものどもは、まろがことに敬意を表さぬ。
許さぬぞぉ~。

須庭寺の副住職は忙しい

2009-08-13 21:33:34 | へちま細太郎
俺は藤川孝洋、藤川家菩提寺の副住職である。
地元美都では屈指のわが寺は、幸い戦禍を免れ、その広大な境内と重要文化財の建築物やら国宝の寺宝を残している。
ゆくゆくは俺がここの住職だ。
一番の檀家はもちろん藤川家だが、その重職に預かった分家や家臣たちの菩提寺でもある。 食うには困らない。檀家にも信用はあるはずだ。
と、そんなわけで、俺は今日も愛車のKAWASAKIのバイクに跨がり、檀家廻りをしようとしたら、義父であり住職でもある師僧がやってきて、
「せめて原付きにしてくれや」
と、愛車にお札を貼付けやがった。
「これはお祓いをするゆえ、当面は乗車禁止」
げっ
このくそじじい、孫の教育に悪いというのならはっきり言え。 檀家に合わせる顔がないというのなら、もっとはっきり言え。
そんなわけで、原チャなんか乗ってられっか、と燃費のいいカブにのり、檀家廻りに励んだのであった。

 しかし(-"-;)…。

かっこわりいぜえ

けえってきたぜい

2009-08-12 22:27:03 | 京都だより
写真は、京都駅伊勢丹の地下2階で売っていた和菓子。 近江団十郎 というお店。 すいません、この品物の名前忘れてしまったm(_ _)m
でも、おいしい。
今回の京都道中は、リンクの“みかみにしきより愛をこめて”に書いてあります。
暇な時に読んでみてください。

http://ameblo.jp/higashi-arashi-5353/ (携帯用)

あ~、なんか、また行きたい。 行ったら行ったで、どこへ行くか迷うくせにさあ~。
のりぴー漬けな5日間だったな。
蒼いうさぎ ダウンロードしちゃったぜ