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浮世博史『もう一つ上の日本史』:百田氏の誤り(64)綱吉を「完全なバカ殿」と言う根拠がない!(65) 荻原重秀の貨幣改鋳の目的は「出目」の稼ぎで、「管理通貨制度」の採用でない!

2020-11-20 11:31:32 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、古代~近世篇」(2020年)「江戸時代」の章(213-327頁)

(64)百田氏の誤り:綱吉を「完全なバカ殿」と言う根拠がない!(235-238頁)  
S  百田尚樹『日本国紀』は、「綱吉は・・・・完全なバカ殿である」(百田237頁)と述べる。とりわけ「生類憐みの令」が「失政」・「迷惑」とされる。しかし①「殺生」を禁ずるお触れは、これまで歴史上、度々出されていた。②「殺生」を禁ずるお触れが表面化して「揶揄された」のは、元禄文化の発達と町人の成長が背景にあったからだ。③前政権(綱吉)を批判する新井白石の綱吉嫌いが、無検討でそのまま引き継がれている。④綱吉の母・桂昌院が僧・隆光から「綱吉公は戌年生まれだからイヌを大切にすれば後継者が生まれます」という話は『三王外記』に載っている。しかし『三王外記』はゴシップ集であり、そこに記された記事を無批判に信じてはいけない。この話は他の史料に一切なく、隆光自身の記録にも書かれていない。⑤綱吉はイヌ好きでない。Ex. 綱吉は芸術家で絵も多く書いたが、イヌの絵は一枚もない。⑥長女の鶴姫の「鶴」の字を名前に使うことを綱吉は禁止する(1688年)が、これは「避諱」(ヒキ)(高貴の人の名前の一字を使わない)という考え方に基づくもので、綱吉が「バカ殿」だからでない。(Ex. 仙台藩では正宗の「宗」が「避諱」とされた。)

(65)百田氏の誤り:荻原重秀の貨幣改鋳の目的は「出目」の稼ぎであって、「管理通貨制度」の採用でない!(238-240 頁)
T 百田氏は荻原重秀(オギワラシゲヒデ)の貨幣改鋳(「元禄の改鋳」)について「日本が世界に先駆けて近代的な管理通貨制度(※金本位制度でない)を採用した」(百田180頁)と述べる。そして重秀が「貨幣は国家が造る所、瓦礫を以ってこれに代えると言えども、まさに行うべし」と言ったとする。
T-2 だがこの荻原重秀の言葉は、ゴシップ集『三王外記』の重秀の言葉を「管理通貨制度」の主張と無理に解釈したものに過ぎない。
T-2-2 『三王外記』は、重秀が愚かだと揶揄し、言わせる。「貨幣の質を下げた下げた、とうるさいんじゃ!貨幣なんて瓦礫でもええわ!」(浮世239-240頁)
T-3 荻原重秀の目的は、「出目」(デメ)(質を下げてできた金の差益)稼ぎが目的で、「管理通貨制度」の採用を目的にしたものでない。
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