※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
I 序論(五)「精神現象学の目的」(その2-2)
(6)-3-2 『精神現象学』は「意識経験の学」であり「現象知」の叙述である:「普通の意識」が、種々の経験をして「絶対知」にまで高まってゆく!
★『精神現象学』は「意識経験の学」とも呼ばれる。この場合の意識とは「普通の意識」である。この「普通の意識」は「対象は自己とちがう、自己も対象と違う」と考えている意識だ。その「普通の意識」が、種々の経験をしていくことによって「絶対知」(or「哲学的認識」)にまで高まってゆくプロセスを叙述するのが「意識経験の学」すなわち『精神現象学』である。(60頁)
☆かかる「意識経験」は、「相対知」であり「現象知」である。かくて『精神現象学』は「現象知」(「相対知」)の叙述である。
★『精神現象学』の構成は、(A)「意識」、(B)「自己意識」、(C)「理性」となっている。(A)「意識」は対象の意識、自己とちがった対象を意識するもの、(B)「自己意識」は、対象とちがった自己を意識するものだ。この「対象意識」と「自己意識」が一つになるのが(C)「理性」の段階だ。つまり(C)「理性」は、「絶対の他在のうちに純粋に自己を認識する」という「絶対知」にほかならない。(60-61頁)
☆「絶対の他在のうちに純粋に自己を認識する」とはどういうことか、「絶対知」がどういうものであるかは、『精神現象学』の「全体」において、はじめて示すことができる。
《参考》★「精神現象学の構成」(目次)(53-54頁)
(A)意識:Ⅰ感覚、Ⅱ知覚、Ⅲ悟性
(B)自己意識:Ⅳ自己確信の真理性
(C)理性(AA)理性:Ⅴ理性の確信と真理、
(C)理性(BB)精神:Ⅵ精神(A「真実なる精神、人倫」、B「自己疎外的精神、教養」、C「自己確信的精神、道徳性」)、
(C)理性(CC)宗教:Ⅶ宗教、
(C)理性(DD)絶対知:Ⅷ絶対知
☆これを分析すると「2つの分け方」が組み合わせてされている。
・一方の分け方では、「(A)意識、(B)自己意識、(C)理性」である。
・他方の分け方では、「Ⅰ感覚、Ⅱ知覚、Ⅲ悟性、Ⅳ自己確信の真理性、Ⅴ理性の確信と真理、Ⅵ精神、Ⅶ宗教、Ⅷ絶対知」である。
☆『精神現象学』の構成(目次)については、さしあたっては「(A)意識、(B)自己意識、(C)理性」の3つについて考えていけばよい。「(A)意識」が客体的な方向(Ⅰ感覚、Ⅱ知覚、Ⅲ悟性)、「(B)自己意識」が主体的な方向(Ⅳ自己確信の真理性)、「(C)理性」が主客統一の方向(Ⅴ理性の確信と真理、Ⅵ精神、Ⅶ宗教、Ⅷ絶対知)である。
I 序論(五)「精神現象学の目的」(その2-2)
(6)-3-2 『精神現象学』は「意識経験の学」であり「現象知」の叙述である:「普通の意識」が、種々の経験をして「絶対知」にまで高まってゆく!
★『精神現象学』は「意識経験の学」とも呼ばれる。この場合の意識とは「普通の意識」である。この「普通の意識」は「対象は自己とちがう、自己も対象と違う」と考えている意識だ。その「普通の意識」が、種々の経験をしていくことによって「絶対知」(or「哲学的認識」)にまで高まってゆくプロセスを叙述するのが「意識経験の学」すなわち『精神現象学』である。(60頁)
☆かかる「意識経験」は、「相対知」であり「現象知」である。かくて『精神現象学』は「現象知」(「相対知」)の叙述である。
★『精神現象学』の構成は、(A)「意識」、(B)「自己意識」、(C)「理性」となっている。(A)「意識」は対象の意識、自己とちがった対象を意識するもの、(B)「自己意識」は、対象とちがった自己を意識するものだ。この「対象意識」と「自己意識」が一つになるのが(C)「理性」の段階だ。つまり(C)「理性」は、「絶対の他在のうちに純粋に自己を認識する」という「絶対知」にほかならない。(60-61頁)
☆「絶対の他在のうちに純粋に自己を認識する」とはどういうことか、「絶対知」がどういうものであるかは、『精神現象学』の「全体」において、はじめて示すことができる。
《参考》★「精神現象学の構成」(目次)(53-54頁)
(A)意識:Ⅰ感覚、Ⅱ知覚、Ⅲ悟性
(B)自己意識:Ⅳ自己確信の真理性
(C)理性(AA)理性:Ⅴ理性の確信と真理、
(C)理性(BB)精神:Ⅵ精神(A「真実なる精神、人倫」、B「自己疎外的精神、教養」、C「自己確信的精神、道徳性」)、
(C)理性(CC)宗教:Ⅶ宗教、
(C)理性(DD)絶対知:Ⅷ絶対知
☆これを分析すると「2つの分け方」が組み合わせてされている。
・一方の分け方では、「(A)意識、(B)自己意識、(C)理性」である。
・他方の分け方では、「Ⅰ感覚、Ⅱ知覚、Ⅲ悟性、Ⅳ自己確信の真理性、Ⅴ理性の確信と真理、Ⅵ精神、Ⅶ宗教、Ⅷ絶対知」である。
☆『精神現象学』の構成(目次)については、さしあたっては「(A)意識、(B)自己意識、(C)理性」の3つについて考えていけばよい。「(A)意識」が客体的な方向(Ⅰ感覚、Ⅱ知覚、Ⅲ悟性)、「(B)自己意識」が主体的な方向(Ⅳ自己確信の真理性)、「(C)理性」が主客統一の方向(Ⅴ理性の確信と真理、Ⅵ精神、Ⅶ宗教、Ⅷ絶対知)である。