今まで、畑の畝幅は畝毎でマチマチだったし、同じ畝でも手前と先端では畝幅が違ったりもしていた。畑がやや台形になっていたからでもあった。
今季、なぜか均一の畝幅にしようと思い立った。思いついたのは春のことだった。これが、厄介な作業をする羽目になってしまった。
何年も使ってきた畝だけに、畝と畝の間の溝は人の通り道となって踏みしめられたり、雨水が滲みこんで固まったりした上に、一度も耕すこともなかったのでカチカチの土壌になっていた。
畝幅を均一にしようとすると、今までの溝が畝になったりもするので管理機で耕そうとしたが歯が立たなかった。元々、親父が「みかん」作りをしていた場所だけに、山土を搬入したらしく荒い土質に難儀することになった。
昔から倉庫にある鉄の農具を使って「天地返し」をし、それから管理機で砕くしかなかった。固く締まった土壌を掘り起こす重労働の「天地返し」だけに、気力が充実した時しか作業をしなかった。手の平にマメができてつぶれたこともあった。昨日、やっとその「天地返し」作業が完了した。
今日から、やっと新たな畝作りにとりかかることができた。畝間を1mにして12畝を作ることにした。苦労して整地したのだからと、メジャーで正確に測定しながら畝作りをした。
畝作り作業にはジョレンなども使ったが、管理機のアタッチメントである「畝立器」が主たる仕事をしてくれた。
作業途中、隣地で果樹を栽培している農家の人が入って来た。
「チョット、風強いけど、これから薬剤散布しようと思ってるんや。カマヘンかなあ」と。
「カマヘン、カマヘン。ウチの八朔やレモンにまで農薬を飛ばしてくれたら助かるんやけど・・・」
お互い、「ヘヘヘヘヘ」と笑い合った。
「この畝、芋、植えるん?」と聞かれた。
「何畝かはそのつもりやけど、今年は一番苗の蔓の伸びが悪いので、どれくらい植えられるかわからん。とりあえず、畝にマルチをかぶせておけば草防止になるし・・・」
「そうやなあ。こうしといたら、いつでも何でも植えられるし・・・ もうチョットしたら、大根でも白菜でも植えられるし」と。
何はともあれ、梅雨入り前に「新しい規則正しい畝」ができた。あー 良かった。でも、もう二度とこんな大がかりな天地返しはするまいと思った。