根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『カンフー・パンダ(吹き替え版)』

2008-07-29 06:19:53 | エッセイ、コラム
監督:ジョン・スティーヴンソン、マーク・オズボーン、声優:山口達也、笹野高史、木村佳乃、中尾彬、MEGUMI、石丸博也、桐本琢也、富田耕生、龍田直樹、高木渉、郷里大輔、他、の映画『カンフー・パンダ(吹き替え版)』を観てきました。


ストーリーは、中国奥地、高い山にそびえる翡翠(ひすい)城というカンフーの修行の地を望む麓(ふもと)の村・平和の谷に店を構える、ラーメン屋を営む家の息子でカンフー好きながら運動神経は無いに等しいパンダでこの映画の主人公・ポー(山口達也)が、ひょんな事から伝説の「龍の戦士」に選ばれ、カンフーの達人として成長していく物語を描いたものです。


非常に面白い作品でした。

登場する者たちが全て、動物である為に体毛なども細かくリアルに描かれ、背景画も非常に奥行きのあるものでした。
日本のアニメは紙芝居にルーツを持ち、欧米のアニメは人形劇にルーツがある、という話しを聞いた事があります。
そして、この作品はアニメの配色に設定してはありますが、欧米の伝統に従い非常に実写に近い立体感を持たせたものになっていました。

アクションもスピーディーさとスローな場面を巧みに使い分け緩急を付ける事で非常に迫力あるものになっていて、香港のカンフー映画をよく研究しているな、という事がよく分かるものでした。
エピソードについても同じく。


キャラクター・デザインや武闘会に関しては、漫画家の鳥山明の影響もみられる感じがしました。
鳥山明の代表作『ドラゴンボール』も『西遊記』を下地にしながら香港のカンフー映画や『スター・ウォーズ』、『ベスト・キッド』のエピソードのオマージュを感じさせるものでしたが、さらにそれが海を越え影響を与え、回り廻って、ハリウッド製のCGアニメとして日本に戻ってくるという、優れた作品が相互に影響を与え受けながら質を高めていくというとても理想的な状態を目の当たりにした気がしました。
劇中、ポーの師匠となるシーフー老師(笹野高史)などは『スター・ウォーズ』に登場するルークの師匠に近い容姿をしているし、それにインスパイアされたキャラは『ドラゴンボール』にも登場します。


作品のテーマは、「ありのままの自分を信じること。信じれば奇跡は起こる!」、事だそうです。

とかく先が見えず、閉塞感が漂い、人生に希望を見いだす事が難しい世の中です。
夢をみる事はありますが、それに向かって夢を叶える努力をしている人はどれくらいいるでしょうか?
初めから諦めている子供も多いのではないでしょうか?
ある程度の年齢になったら現実との折り合いをつける事も、大事ですが、自分がみた将来に対する夢を叶える努力をして生きていく事も非常に重要なような気がします。
夢は叶える為にあるもの、そういった事を教えてくれる作品という感じがしました。

時間も90分と手頃です。
コミカルさとシリアスさ、アクションもよく練られていて子供が飽きない工夫もよくされています。
この夏『崖の上のポニョ』と共に子供から大人まで観て欲しい作品です。
オススメです。


余談ですが、私この作品を昨夜レイトショウで観たのですが、2百~3百人収容出来るシネコンの劇場に観客は私1人っきり。
自分の為だけに映写機が稼働しているという、大変な贅沢を味わいました。