根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『今日という日が最後なら、』

2008-07-01 06:38:49 | エッセイ、コラム
監督:柳明菜、出演:森口彩乃、柳裕美、清水増子、本多章一、岡田真由子、藤谷文子、の映画『今日という日が最後なら、』を観てきました。


ストーリーは、とある事情から20年間八丈島と東京と離れて暮らしていた双子の姉妹、舞子(森口彩乃)と聖子(柳裕美)が、八丈島で育った舞子の気紛れとも取れる突然の東京行きで、東京で暮らす聖子を八丈島まで連れて帰り、島の大自然や伝統文化を紹介しつつ、離れて暮らしていた双子が楽しい時を過ごす、というものです。


最後まで観れば、監督の伝えたい事は分かるのですが、正直相当微妙な作品でした。
脚本、演出、俳優の演技、編集、等全てに於いてプロの監督として、真っ当な映画館で観客から普通の映画代を取ってかける作品としては最低ラインと言っても過言ではありません。
それ位、完成度の低い作品です。

ただ、ポスターをみても分かるように幻想的で妖艶(ようえん)かつ美しい画を撮る事にかけては抜きん出た美術センスを持っている監督のようには感じました。
作品自体も、ロウソクが燃え尽き消えるちょっと前に非常に明るくなる瞬間のような青春の煌(きら)めきを捉(とら)えたもので、その意図や努力は伝わってきましたが、ただ残念ながら成功しているとは言い難いです。

監督さんの映画を撮る情熱は伝わってくるのですが、なにぶんまだ実力が伴っていない。
聞けばこの作品の監督は本職はカメラマン・女優という事で、これが第1回監督作品という事です。
監督・脚本・編集、全てを任せるには、ちょっと荷が重かったのではないか、予算の都合でしょうが、まだ新人監督に発展途上の女優さんを主役に据えるのには無理があったのではないか。
作品を観て詳細を知るにつけ、これは監督さんの問題というよりも、そこら辺をキチンとサポートしてあげられなかったプロデューサーに問題があるのではないか、という風に感じました。

とはいえ最後まで鑑賞すると『なるほど』という感じにはなるし、才能の片鱗をうかがわせるような所もあります。
これから2本、3本と作品を撮っていくうちに未熟な点が改善され、優れた点がさらに伸び、予算も相応に遣えるようになって、実力ある俳優さんを起用出来るようになれば、良い監督さんになっていくかもしれません。

まぁ、お金と時間に余裕がある方は、といった感じでしょうか。
現在、シネマート六本木という所で完全単館で上映されています。