根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

スモーク・サーモンあれこれ

2006-02-17 16:22:48 | ダイアリー
昨日の夕方、スーパーの安売りでスモーク・サーモンとイ
カの刺身が半額になっていたので迷わず購入。
ついでにアボカドも買っておいた。
家に帰り、ご飯を炊いて丼に盛り、盛ったご飯の上にスモ
ーク・サーモンとイカ、そしてスライスしたアボカドをのせる。
題して「トリノ丼」。
色から連想されるイタリア国旗に因んだもので他意はない。
スモーク・サーモンがサーモン・ピンクでオレンジ色に近い
事を考えると、ホントはアイルランド丼になってしまうのだが、
そこは現在オリンピック真っ盛りなのでトリノ丼としておく。
貪欲にメダルを狙いにいくアスリートのようにガッツリと頂く。

そして今日。
冷蔵庫には昨日のトリノ丼で使い切れなかったスモーク・
サーモンが残っていて、そのまま普通に食べてしまうのも
何なのでパスタの具にする事にした。
戸棚をみると鮭とキノコのクリームスパゲッティのレトルトソ
ースがあったのでこれを利用する。
と言っても、予めスモーク・サーモンを皿に並べておき、その
上から茹であがったパスタを盛り、さらにレトルトソースをか
けるだけなのだが…。
始めは当たり前の普通のクリーム・ソースの味しかしなかっ
たのであるが、上方の麺を食い進め底のスモーク・サーモ
ンに行き着くと、そこで味が変化し始める。
パスタの余熱でレア状になったスモーク・サーモンから香ば
しさがたちこめ、レトルト特有の凡庸な味のソースに変化を
与えたようだ。
そこはかとなく火が通ったスモーク・サーモンが何とも旨い。
旨い、旨い、とこれもガッツリ頂く。

そんなこんなのスモーク・サーモンの昨日・今日なのであっ
た。

日テレのモーグル中継にモノ申す!

2006-02-12 19:22:15 | スポーツ
憤慨しながら女子モーグルの放送を観ていた。

メダル獲得が期待される選手にパワーもらいこれからの
生活に弾みをつけたい、そんな気持ちでテレビ観戦して
いたモーグル中継だった。

水物を控え、トイレも済ませ、準備万端で観戦に望んだ
明け方。さぁ、これから日本人選手の劇的なメダル獲得
の瞬間に立ち会うぞ、と集中を高めていた中継序盤でC
Mが入る。まぁ、1回や2回のCMは仕方がないか、と思
っていたら、これが非常に頻繁に挿入されるのだ。さすが
に、競技を行っている最中にCMを流すという事はやらな
かったものの、前座的で実力的にイマイチの海外選手の
採点待ちの時には必ずといってもいいほどのCM。その度
に臨場感や競技観戦の集中が害されて仕方がない。日
本人としてはそんなに重要でない選手の採点待ちであっ
ても、その間の選手の不安気な表情を観察し、その場の
観客の興奮に心を熱くさせ、あるいは解説者のマメ情報
に耳を傾けつつテレビを観るのが、こういったものを観戦
する際の醍醐味であるのにも関わらずだ。日本人選手や
注目の海外選手だけを押さえておけば良いというもので
はない。序章があってこそ結末やクライマックスが活きて
くるのだ。CMを流したければ中継が始まる前や終了して
からまとめて放送するという手もあった筈だ。

大体、自分らが日本を代表してオリンピック競技を放送し
ているという自覚に著しく欠けている。どうやったら視聴者
がスポーツ中継を楽しんで観られるか、という事に観点を
置いていないからこういう事になってしまう。芸人達がバカ
騒ぎをするバラエティ番組を放送している訳じゃないのだ。
放送中に小刻みにCMを入れてしまえばどうなるかという事
をまったく考えていない。結局、彼らが気にしているのは視
聴者ではなく番組提供に協力してくれる企業なのだろう。
やはりこの辺はスポーツを金儲けの一手段としてしか考え
られない人物をグループのトップに置く企業の限界なのだ
ろうか…。

モーグル中継に限った事ではないが、日テレがオリンピッ
クを伝える中でタレントの上戸彩を担ぎ出している意味も分
からない。確かに上戸彩はカワイイ。女優としての実力は飛
びぬけたものがあるし人気もある。しかし、それがオリンピッ
クを伝える上で適任であるかというと、それはまったく違う話
しだ。ウインター・スポーツに類なき実力や知識を持っている
訳でもない、卓越した「しゃべり」がある訳でもない、鋭い感
性がありそれを視聴者に分かりやすく伝えるだけの語彙の
豊富さや技術がある訳でもない、スポーツの興奮や感動を
視聴者に届けるという意味では彼女はまったくの役不足な
のだ。実際、彼女は「キャー!」「カッコいい!」「スゴイ!」「
感動した」そんな事を言っているだけ。それはタレントとして
研鑽は積んでいるものの、結局は二十歳そこそこの女の子
でしかない彼女の限界なのだと思う。その点は上戸彩の責
任ではない。人選を行った人間の責任だ。数字を取る為に何
でも突っ込めば良いというものではないのだ。スポーツ中継
(当り前だがさすがに実際の中継には上戸彩は関わってない
が…)をナメてもらっちゃ困る。

結局、今回の女子モーグルでメダルが獲れなかったのは、こ
ういう姿勢のテレビ局がモーグル中継の権利を獲得してしま
ったからではないだろうか。

唯一の救いは、メダル獲得ならずとも、笑顔を絶やさない爽や
かな上村愛子の表情だけだった。


飛べないトンボ

2006-02-09 19:19:11 | スポーツ
先週末の深夜にフジテレビで、トリノオリンピックに出場す
る選手を幾人かに絞って特集する番組をやっていた。その
中にモーグルの里谷多英も入っていて、インタビューや過
去の大会の模様、練習風景などが放送されていた。

モーグルの夏期の練習に人工芝を張った斜面を滑り降り
ジャンプ台から飛んで、エアの技術を磨くトレーニングがあ
る。諸事情から全日本の合同合宿には参加せず少人数
のスタッフとそのトレーニングを繰り返す里谷選手の様子
が映し出される。思うように技が決まらず、ビデオをみたり、
コーチから手取り足取り指導を受けながらの練習を黙々と
やっていた。夏の間そんな風にして600本飛ぶそうだ。トレ
ーニングをするそのジャンプ台の下にはプールがあって、エ
アを決めた後はそのプールにザバーンっと飛び込むように
なっている。多分、着水というのが一番体に負担のかから
ない方法なのだろう。

スーっと滑って来て、ジャンプをし、エアを決め、水飛沫を上
げながら着水する、という映像が何度か繰り返される。と、
いつもは水に飛び込んだ後は機械的に泳いで陸に上がって
くる彼女がストックを投げ捨て片手を水から上げ泳いでいる。
映像ではよく分からなかったが水から上げたその手にはトン
ボが乗っていたらしい。なんでも、プールに飛び込んだ際に
溺れたトンボを見つけたそうで、そのトンボを水から救出する
為とっさにとった行動だという事だった。そこでナレーションが
入る。

「飛べないトンボに彼女は何をみていたのでしょうか…」。

見事だった。プロの作り手はここが違う。凡人なら練習風景
の中の微笑ましい光景という事で済ましてしまう所だろう。
多分、里谷選手は溺れたトンボに、もがき苦しむ自分の事な
ど投影なんかしてない。単純に自分が行っているトレーニン
グの影響で溺れてしまったトンボを可哀想に思っただけだろう。
その模様を逃さずカメラに収め、気の利いたフレイズを挿入す
る事でグッと全体が引き締まりちょっとした感動を呼ぶ。料理
に於いてひと振りのスパイスが凡庸な味をキレのあるものに
仕上げる様に…。テレビマンに限らず、プロとアマチュアの違
いは、こういうプラスアルファが出来るか否かなのだろう。

実に良い仕事をみせてもらった。ただ、これが自社社員であ
る里谷選手の好感度を上げ感動を誘発する為に仕組まれた
過剰な「演出」である可能性も否定出来ないのであるが、こ
こは田舎の子供の様に無垢な心で番組スタッフを信じる事に
しよう。