根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

心細いワン!

2008-10-31 19:37:21 | エッセイ、コラム
駅前の本屋の前に繋がれていた黒ラブです。
暫くして買い物を終えて出て来た飼い主さんの話しでは、ほんの5分くらいの間だったらしいのですが、よっぽど心細かったのでしょう。
しきりに店内を気にして、ウォン・ウォンと吠えていました。
愛想の良い犬種なので、声を掛けた私にサービスをしながらも、でも落ち着かず、どこか気はそぞろなのが可笑しかったです。

映画『ICHI』

2008-10-30 06:13:02 | エッセイ、コラム
原作:子母澤寛『座頭市物語』、監督:曽利文彦、出演:綾瀬はるか、中村獅童、島綾佑、柄本明、竹内力、利重剛、佐田真由美、杉本哲太、横山めぐみ、渡辺えり、大沢たかお、他、の映画『ICHI』を観てきました。


ストーリーは、ご存知、『座頭市』の物語を、座頭市役を女性に置き換えたものです。
流浪の旅を続ける盲目の三味線弾きの女性にして仕込み杖の居合いの達人・市(綾瀬はるか)と、剣の修行の為に旅をしている藤平十馬(大沢たかお)は、ひょんな事から知り合いになり、美籐宿という宿場街に流れ着きます。
そこは白河組というヤクザが仕切り栄えていた宿場街だったのですが、万鬼党という荒くれ者の集団が現れるようになってから、荒れた宿場街になっています。
市と十馬の二人は望む望まざるに関わらず、美籐宿で、この白河組と万鬼党の抗争に巻き込まれていきますが…という話しです。


映画『ピンポン』の曽利監督らしいスタイリッシュな殺陣が光る作品でした。
綾瀬はるかは盲目の居合い抜きの達人を体当たりで演じており、中村獅童は荒くれ者集団の頭を狂気に満ちた迫力ある役を、窪塚洋介はチャラく不良っぽいヤクザの若頭という役柄を、両者当たり役という感じで演じていました。

脚本を、心に傷のある人間の苦悩を描くのに定評のある浅野妙子が担当している事から、今までの「座頭市」のストーリーを踏襲しながらも単純なエンターテイメントに終始していない、人間の悲哀にも焦点を当てた新解釈の「座頭市」に仕上がっていました。
これによりそれぞれのキャラに深みが出て、味のある作品になったという感じでしょうか。
なかなか面白い作品です。


結構残酷で刺激的なシーンがある事から、PG-12指定になっていましたが、これは妥当な判断でしょう。

映画『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』

2008-10-29 07:51:32 | エッセイ、コラム
監督:ジェイムズ・D・スターン&アダム・デル・デオ、出演:『コーラスライン』オリジナルキャスト&スタッフ、マイケル・ベネット、他、の映画『ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢~』を観てきました。


この映画は、ブロードウェイ・ミュージカル『コーラスライン』の誕生の元になった、1974年演出家のマイケル・ベネットの呼び掛けによって集まった22人のダンサーによる雑談ともインタビューとも言える12時間の秘蔵テープを要所要所に挿入しながら、2006年年の再演に向けて、2005年から8ヶ月に渡って行われたオーディションに密着した模様とで構成されたドキュメンタリーです。


演劇やミュージカルにトンと縁がない私は、『コーラスライン』のストーリーを、このドキュメンタリー映画を通して初めて知り、作り物ではないオーディションの模様、それに必ずついて回る受験者の悲喜こもごもに、感情移入してしまい笑ったり泣いたりしながらこの作品を観てしまいました。


ドキュメンタリーならではの臨場感は素晴らしく、それはミュージカル『コーラスライン』と内容と被っている為に、観ている者に感動を与えるのではないか、と思います。
非常に良かったです。

因みにこの作品には、沖縄出身の日本人の女性・高良結香(たから・ゆか)さんもオーディション・メンバーとして出演しています。
彼女の合否は映画を観て確認してみて下さい。

映画『ブーリン家の姉妹』

2008-10-26 00:49:17 | エッセイ、コラム
原作:フィリッパ・グレゴリー、監督:ジャスティン・チャドウィック、出演:ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ、他、の映画『ブーリン家の姉妹』を観てきました。


ストーリーは、16世紀のイングランドを舞台に、王・ヘンリー8世(エリック・バナ)と、それに群がる人間たちの、利権、策略、野望が渦巻き、時にその道具となり、時に自らの意志で、その世界に巻き込まれていく、「成り上がり貴族」の娘で姉のアン・ブーリン(ナタリー・ポートマン)と、彼女の妹・メアリー・ブーリン(スカーレット・ヨハンソン)の愛憎劇を描いたものです。
ストーリーを面白くする為に設定を史実とは多少異なるものに変えてあります。


観客の中に、ちょっと問題のある人物が混じっていて、上映時間中ずっと雑音を発し、雰囲気をイチイチ壊していた以外は、劇場内は2時間シンと静まり返り、物語の行く末を固唾を飲んで見守っていた様子でした。
非常にシリアスな作品です。

歴史物なので、パンフを先に購入して、そういう予備情報が書いてあるページを素速く読んで、高校の世界史の時間に習った知識の復習をして臨みました。
何故現在イングランドが「ローマン・カトリック」ではなく、「イギリス国教会」というものを信仰している国になっているのか?、という経緯を予め知っておかないと楽しめない作品だからです。

非常に見応えがあり、高校の世界史の授業でヨーロッパ史分野を学ぶ際には是非とも観て欲しい作品だと思いました。
「山川」の味気ない世界史の教科書が、がぜん面白くなる映画です。

そして、この作品はヘンリー8世というイングランド王にブーリン家の姉妹が関わるという単純な事が、結果的に世界史を変えてしまった事件を描いています。

王様の単なる色恋沙汰が、現在の世界情勢にまで深く影響を与えているのです。
これが面白くない訳がありません!

こう書くと、歴史に興味のない女性には面白くない話しのように思えますが、そんな事はありません。
東海テレビ制作の昼ドラや、ドラマ『大奥』を面白いと思う人は、かなりの確率で楽しめると思います。
そういう女性間のドロドロとした関係を描いた話しでもあるからです。


まぁ、歴史にもドロドロした恋愛ドラマにも興味がない方はスルーでしょうけど…(苦笑)。


パンフにかいてある事が事実なら、「ブーリン家」のアン・メアリー姉妹に関する意図的な設定変更を除けば時代考証もしっかりした作品のようです。


この秋、中世イギリスの歴史絵巻に触れてみるのも一興かと。

映画『ホームレス中学生』

2008-10-25 22:11:15 | エッセイ、コラム
原作:田村裕、監督:古厩智之、出演:小池徹平、西野亮廣、池脇千鶴、イッセー尾形、黒谷友香、宇崎竜童、古手川祐子、いしだあゆみ、田中裕子、他、の映画『ホームレス中学生』を観てきました。


ストーリーは、大阪府吹田市の中学2年生の男の子・田村裕(小池徹平)を主人公にしたもの。

1学期の終業式を終えた裕が自宅の団地に帰ると、部屋が差し押さえに遭っており、家具は表に出されていて、部屋はロックアウト。
裕に続き、程なくして帰宅した姉・幸子(池脇千鶴)と兄・研一(西野亮廣)と共に状況がよく飲み込めず途方に暮れる裕たち。
そこに飄々(ひょうひょう)とした調子で自転車に乗って現れた父・一朗(イッセー尾形)は、淡々と「家族解散」を宣言、各自、自分の力で生きてゆくように告げる事から始まる、裕と家族の物語です。
原作は言わずと知れた漫才コンビ「麒麟」の田村裕によるベストセラー本『ホームレス中学生』。
その後の裕の公園でのホームレス生活は原作者のネタとして、流布されているので説明の必要はないでしょう。


原作は未読なので、どの程度脚色されているのかは分かりませんが、映画は笑えて泣ける感動作になっていました。
もう少しコンパクトにしても良かったかなっとも思いましたが、充分許容範囲。
東京郊外のシネコン、公開初日の朝イチの回とあってお客はまばらで、積極的に笑っているのは、私ともう1人の男性だけでしたが、ラストに向かうに連れ、アチコチからすすり泣く音が聞こえてきました。
色々考えさせられるテーマを秘めた作品ではありますが、基本的には中学2年生の少年のグローイング・アップ・ストーリーと考えていいと思います。

単純に1人のコメディアンの自虐ネタでしかなかったものを、その詳細を丁寧に引き出し、1冊の感動作にした編集者の手腕に舌を巻きます。
あとはそれを上手に映像化(まぁ、これもまた非常に難しい作業ですが…)していけば良く、そのやり方も間違ってなかったので、心地良い鑑賞後感に浸れると思います。

空腹を抱える主人公の少年の心情を反映させた食べ物に対する描写が非常に光る作品でもありました。

メジャー過ぎるが故に、敬遠してしまう方もいるとは思いますが、観ても損はない良作です。

薬が効き過ぎた…(苦笑)

2008-10-25 16:59:32 | エッセイ、コラム
朝イチで映画館に行き2本ハシゴ。
1本目の時に1席空けて隣りに中学1年生くらいの女の子2人組が座る。

箸が転がっても可笑しい年代だし、大人抜きで映画に来ていた事で少し興奮していたのか、予告編が始まっても小声で話しをしていて、本編が始まっても、話すのを止めなかったので、

「私語は止めてね!」

っと軽い感じで注意したのだが、それで怯えてしまったのか、それから笑い声さえも上げなくなって、そのまま映画が終了してしまう。
まぁ、泣いてはいたのだが…。

こりゃ後味が悪いなぁっと思い、

「ごめんね。私語は止めてって言ったけど笑い声まで出すなって言ったつもりはなかったんだよ」

っと謝ると、

「いえ。スミマセンでした」

っと向こうも素直に謝ってくれた。
映画を観て泣く感受性の豊さも持っているし、大人には逆らわない、基本的にはいいコたちのようだった。
そのまま公共の場でのマナーをキチンとわきまえた、ちゃんとした大人になってくれればいいなぁっと思う。

しかし、そのコらにとって自分はそんなに怖いのだろうかっと苦笑してしまう事しきり。

映画『マルタのやさしい刺繍(ししゅう)』

2008-10-24 07:24:42 | エッセイ、コラム
監督:ベティナ・オベルリ、出演:シュテファニー・グラーザー、アンネマリー・デューリンガー、ハイジ=マリア・グレスナー、モニカ・クプサー、ハンスペーター・ミュラー=ドロサート、マンフレート・リヒティ、他、の映画『マルタのやさしい刺繍(ししゅう)』を観てきました。


物語の舞台はスイスのエメンタール地方の小さく保守的な村・トループ。
主人公は、夫に先立たれた80歳の老女・マルタ(シュテファニー・グラーザー)。
失意の日々を過ごす彼女は、所用で友人たちと出掛けた首都・ベルンでランジェリー・ショップに立ち寄り、若い頃に、得意の裁縫(さいほう)の腕を活かしパリでランジェリー・ショップを開く事が夢だったのを思い出します。
そして、夫が営んでいた食料雑貨店を改装し、小さなランジェリー・ショップを開く為に動き出します。
しかし、それは村を仕切っている保守的な考え方に凝り固まっている中年男のフリッツ(マンフレート・リヒティ)の知る所となり、様々な妨害に遭いますが…というのが、この映画のイントロダクションで大筋になります。


非常に面白く、観たあとに心が温かくなり、そして元気を貰える作品でした。

この作品の面白い点は、劇中に登場する老人、特に女性の方が進歩的でリベラルな考えに基づき行動するのに対して、村を仕切る中年男たちが非常に保守的かつ因習的な「伝統」という名の凝り固まった考えに固執(こしつ)していて、それは滑稽(こっけい)ですらあるという所です。
スイスの小さな村で始まる小さな可愛らしい「革命」も痛快です。
老女が主人公で舞台が自然豊かな地方の村である事から、まったりとした作風を想像して観に行ったのですが、適度にコミカルで、ストーリーも面白く分かり易い為に、最後までワクワクしながら観てしまいました。
スイスの美しい自然や街並み、劇中に登場する民族衣装や刺繍も見所です。
非常にオススメの作品です。

ただこの作品、現在の所、銀座の1館でしか上映されていないですよねぇ…。
劇場の係員に訊いた所、客入りも好調のようですので拡大上映に発展し、広く多くの人に観て貰いたいと思わせられる作品でした。

チビ・ヤモリ

2008-10-22 21:51:39 | エッセイ、コラム
今朝、アパートのドアを開けると、ポトッと何かが落ちて逃げ出しました。
逃げた物を追い掛けると小さなヤモリでした。
壁を這って必死に逃げ回ったあとは、コンクリートの地面に落ちて動かなくなりました。
どうやら、死んだ振りか、枝か何かに擬態してみせる作戦に切り替えたようです。
単純に写真を撮りたかっただけで、捕まえようという気はなかったのですが、ヤモリにそんな事は分かる筈もないので、どうも助かる為に必死だったようです(笑)。

歯医者の気配り

2008-10-21 23:28:44 | エッセイ、コラム
行きつけの歯医者の入り口付近のディスプレイコーナーなっている場所に飾ってあった秋の装飾。

小さな歯医者で、専門の業者を雇ってやらせているとは考えられないので、歯科助手の女性か、歯科医の奥さんがやっているのでしょうけど、なかなかのセンスを感じました。

長く通っている歯科医院なので、診療の折りには歯科助手の女性とも軽い他愛もない雑談を交わす仲なのですが、私が帰り際に写真を撮っていたら、軽く笑みを浮かべていました。

ただでさえ殺伐とした雰囲気で、おまけに嫌なモーター音が待合室にも響いてくる環境なので、こういうものは必要なのでしょう。