原作:子母澤寛『座頭市物語』、監督:曽利文彦、出演:綾瀬はるか、中村獅童、島綾佑、柄本明、竹内力、利重剛、佐田真由美、杉本哲太、横山めぐみ、渡辺えり、大沢たかお、他、の映画『ICHI』を観てきました。
ストーリーは、ご存知、『座頭市』の物語を、座頭市役を女性に置き換えたものです。
流浪の旅を続ける盲目の三味線弾きの女性にして仕込み杖の居合いの達人・市(綾瀬はるか)と、剣の修行の為に旅をしている藤平十馬(大沢たかお)は、ひょんな事から知り合いになり、美籐宿という宿場街に流れ着きます。
そこは白河組というヤクザが仕切り栄えていた宿場街だったのですが、万鬼党という荒くれ者の集団が現れるようになってから、荒れた宿場街になっています。
市と十馬の二人は望む望まざるに関わらず、美籐宿で、この白河組と万鬼党の抗争に巻き込まれていきますが…という話しです。
映画『ピンポン』の曽利監督らしいスタイリッシュな殺陣が光る作品でした。
綾瀬はるかは盲目の居合い抜きの達人を体当たりで演じており、中村獅童は荒くれ者集団の頭を狂気に満ちた迫力ある役を、窪塚洋介はチャラく不良っぽいヤクザの若頭という役柄を、両者当たり役という感じで演じていました。
脚本を、心に傷のある人間の苦悩を描くのに定評のある浅野妙子が担当している事から、今までの「座頭市」のストーリーを踏襲しながらも単純なエンターテイメントに終始していない、人間の悲哀にも焦点を当てた新解釈の「座頭市」に仕上がっていました。
これによりそれぞれのキャラに深みが出て、味のある作品になったという感じでしょうか。
なかなか面白い作品です。
結構残酷で刺激的なシーンがある事から、PG-12指定になっていましたが、これは妥当な判断でしょう。