根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

犬養道子『お嬢さん放浪記』

2010-01-31 23:17:48 | エッセイ、コラム
政治家の犬養毅さんの孫であり評論家の犬養道子さんの著作です。

本来の目的地は欧州であったものの、二次大戦後間もない頃で日本から欧州へ直行が難しく、とりあえずアメリカへという事で奨学金を得て彼(か)の地へ。
しかし、留学するものの、とある事情からアメリカを離れざるを得なくなり、本来の目的地である欧州へ。
メインは欧州各地で彼女が体験した事になるでしょうか。
そういった体験を綴った本になります。
1958年刊行。
小田実(おだ・まこと)さんの『何でも見てやろう(1961年刊行)』の女性版と言ったら分かりやすいかもしれません。
刊行自体はこちらの方が先ですが…。
たぶん、若い方は『何でも見てやろう』という本も分からない人も多いでしょう。
バック・パッカーのバイブル的な旅行記に沢木耕太郎さんの『深夜特急』という本がありますが、この本の中に、沢木さんの父が彼に面白い本だから読んでみろっと買ってきた「本」というものがあって、なかなか読み出さない沢木さんより先に父が先に読み、そのあと彼自身も読み始め、読み始めると夢中になって読み終わり、沢木さんが「旅」に熱中するキッカケになった「本」として登場するのが小田実さんの『何でも見てやろう』になります。
『深夜特急』14章のギリシャ半島の項に作品名は明確にされていませんが、『何でも見てやろう』は登場します。

今ほど気軽に海外に行ける時代でなかった時代の、好奇心が強く度胸もある女性の海外体験記が面白くない筈はありません。
高い教養に裏打ちされた著者の外国人に対する観察眼も興味深い所です。

オススメの本です。

↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』
↑たぶん今夜くらい迄です。未見の方、急げ!!


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

麗美『REIMY』

2010-01-30 21:34:08 | エッセイ、コラム
現在はREMEDIOSとして映画音楽などを担当している麗美の1stアルバムです。
84年リリース。
松任谷夫妻の完全バック・アップのもとで作成されたアルバムでプロデューサーが松任谷正隆という事もあり83年リリースのユーミンの『REINCANATION』にテイストは非常に近いものとなっています。
ドラムの音、コーラスの入れ方などは、J-Popという言葉はまだなく「邦楽」や「ニュー・ミュージック」と呼ばれていた頃の旧き良きジャパニーズ・ポップスの匂いがプンプンと香ってきます。
ミュージシャンさんにはかなり勉強になるアルバムと言えるのではないでしょうか…。
先行シングルの「愛にDESPERATE」やシングル曲で2ndアルバム『“R”』に収録されている「青春のリグレット(※この曲もユーミンがセルフ・カバー)」はスマッシュ・ヒットしたのでこの80年代前半に中学生以上だった人は耳にした事がある筈です。
たぶん一般的にはユーミンの曲として認知されていると思われる「ノーサイド」や「霧雨で見えない」は元々このアルバムにユーミンが提供したナンバーです。
岩井俊二監督の『打ち上げ花火 下から見るか? 横から見るか?』の音楽を担当しているので劇中で使用された

♪Hold me like a friend
Kiss me like a friend


というフレイズで始まるREMEDIOS名義の曲「Forever friends」を聴けば『あぁこの声』っと気付く人も多いでしょう。
声質は遊佐未森あたりに近いですかね。
最近では、長澤雅彦監督の『夜のピクニック』の音楽を担当していましたでしょうか。
もう廃盤になってるかもしれませんが、なかなかの良作ですよ『REIMY』。
機会あればお聴き下さい!!


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

サリンジャー死す!

2010-01-29 08:50:55 | エッセイ、コラム
“the Catcher in the Rye”つまり『ライ麦畑でつかまえて』の著者J・D サリンジャー氏(以下敬称略)が亡くなったそうです。
91歳だったそうです。

★以下その関連記事

N.Y Times記事

L.A.Times記事

Times記事

Le Monde記事

朝日新聞記事


サリンジャーがどれだけ、世界の若者に影響を与えたか未だに敬愛されているというのは村上春樹さんの『ノルウェイの森』の中で

『「あなたって何かこう不思議なしゃべり方するわねえ」と彼女は言った。「あの『ライ麦畑』の男の子の真似をしてるわけじゃないわよね」』

という風に小説の中である種の「常識」として登場しますし、ピチカート・ファイヴの曲「エアプレイン」の中では

♪ホールデン・コールフィールド
みたいとかなんとか
言われてゴキゲンに
なるようなタイプ

※ホールデン・コールフィールドというのは『ライ麦畑でつかまえて』の主人公の名前

という風に引用されていますし、あるいは庄司薫さんが『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞を受賞し、当時庄司薫さんは日本のサリンジャーっと呼ばれたほどです。

ジョン・レノンの殺人者とされているマーク・チャップマンがその射殺の瞬間持っていたのが『ライ麦畑でつかまえて』だとも言われています。

映画『フィールド・オヴ・ドリームス』に登場する黒人作家のモデルはサリンジャーだと言われてもいます。


読書好きな方でサリンジャーを知らない人はいないでしょうし、もしくは英文科でサリンジャーを知らない人は完全なもぐりです。

サブカル好きな人は一回は必ず通る作品・作家でもあります。

サリンジャーさんの死、これは世界の文学史上ではかなり大きな出来事になると言っても過言ではありません。


合掌…。


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

冬に夏を思う

2010-01-29 03:08:30 | エッセイ、コラム
以下10年以上前の私の日記兼創作ノートからの文章です。
とくに大した意味はありません!


「冬に夏を思う~断片的な記憶について~」

と題されてます。
以下本文。


授業が終わって街に出た。
梅雨が明けて間もない頃で、陽は随分傾いてはいたものの、空気は依然として熱を帯びていた。
アスファルトの焼けた匂い。
夏休みの匂い。
それが僕の身体を包み込む。
冷房の利いた部屋で一日を過ごした身体には未だ空気中に残る昼の面影がとても心地良いものに感じられた。
何か非現実世界から現実世界に戻ってきたような気がして、ある種の落ち着きを得るような気がした。

街が気だるい衣を脱ぎ捨て、夜の表情に変化していく過程が何ともいえない雰囲気を醸し出している。
その微妙な境界線が好きだった。

繁華街に出たのは友人の買い物に付き合うため、学生には充分な暇と適度なお金があった。
しかし、その宝石のようにキラキラ輝いている生活も、当の学生たちにとっては石ころ同然のようなものでもあるのだが…。


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

映画『チョコレート・ウォー』

2010-01-26 23:50:02 | エッセイ、コラム
『チョコレート・ウォー』、俳優のキース・ゴートンがメガフォンをとった、日本では1990年公開の作品です。
ハッキリとは分かりませんが、日本ではDVD化されていない模様。
資料箱の中からパンフが出てきたので軽く紹介しておきます。

ストーリーは、劇中でアメリカの名門校とされているトリニティー学院の1年生・ジェリー(イアン・ミッチェル・スミス)を主人公に、「チョコレート販売」という学校側の体制に、たった1人で反抗するその姿を描いたもの。

正直、「ロック」な作品です。
映像とか音楽とか、そういう表層的なものではなく。
納得がいかない「体制」に流されず、自らの信念に基づき行動しようとする主人公の姿が「ロック」なのです。

これは民主主義という政治体制の中で生きていくには非常に重要な事。
流れに身を任せ何も考えなければとても楽です。
上手く生きていくためには、時にそうする事も必要な場合もあります。
でも基本的に群集心理や村意識で、動いてはイケないのです。
そこには、「自らを由(よし)とする」思想「自由」がないからです。
何かを決断する時、誰かの意見に流されてませんか?
自己主張ちゃんとやってますか?

でもくどいようですけど、「自由」と「自分勝手」もまた違いますけどね。


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

sugar plant『trance mellow』

2010-01-25 22:33:46 | エッセイ、コラム
『trance mellow』。

sugar plant

の96年のアルバムになります。
私はこのアルバムをリアル・タイムで聴いていた訳ではなくて、もう何年か前に中古CD屋さんでCDを物色していた所、何だか非常に心地良いサウンドが流れてきたので、店員に尋ねてみると「sugar plant」なるアーティスト名が返ってきました。
とりあえずメモ帖にメモって、後日他のCDショップで見つけたのがこのCDになります。
とにかく、浮遊感に包まれる音楽です。
洋楽のような質感ですが実は日本人アーティストです!!
CocteauTwins(コクトー・ツィンズ)やAir(エール)あたりが好きな方、あるいは毛色は微妙に違いますがstereolab(ステレオラブ)などを経てきた方には好みの音色になると思われます。
寝る時に聴くと非常に落ち着きますよ。


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

LyricDesign-Live vol.3 (2010/01/22)

2010-01-24 19:37:39 | エッセイ、コラム
さて去る金曜日の夜、ちゃんとした形では3回目のライヴになるであろう、LyricDesign(リリック・デザイン)さんのステージを観てきました。

今回はとある事務所主催のオーディション形式のライヴで、彼女はそのトップ・バッター。

まだあったまってない会場をのせるにはたぶんかなりの苦労があったと思われます。

彼女のステージは我々が普通に想像する一般ミュージシャンさんのそれとは、かなり趣(おもむき)を異にします。
一言で言えばクールそのもの。
シンセ系の機材に囲まれそれを器用に操りながら唄や軽いステップまで全て1人でこなすという形。
いつもはMCもそこそこに、LyricDesign-Worldを構築し、LyricDesignというアーティストの摩訶不思議な世界観にオーディエンスは圧倒されて、ほぼ棒立ち、聴衆は彼女の一挙手一投足に注目するという形で進行するのですが、今回はなんと彼女自身から観客に向かい曲中の拍手を求める仕草がありました。
そして、また普段ステージでは生楽器は使わないのに、アクセントとしてシンバルを打ち鳴らすという新趣向。
更には発売されて間もない新兵器ヤマハのTENORI-ONも披露。
暗闇で光る不思議楽器はLyricDesignさんによく似合ってましたっけ!!

審査では惜しくもグランプリを逃しましたが、ファンのひいき目ではなく、音楽性の高さではLyricDesignさんを除く他のエントリー・アーティストを軽く凌駕(りょうが)していたように思えました。

たぶん、彼女の音楽は日本の一般リスナーの耳には時代の先を行き過ぎているのだと思われます。
ひょっとしたら、海外で先に評価されて逆輸入で日本で認知される形かもしれません。

防衛省前のライヴ・ハウスで彼女が打ち鳴らしたシンバルの音は2010年LyricDesign-Projectの始動の合図。
あの音は完全密閉されている筈のライヴ・ハウスの扉や壁を突き抜け、全世界へと響き渡ったことでしょう。
聴覚に優れた人の脳内では知らない間にその残響が繰り返し流れている筈。
直(じき)にそのエコーは地球のアチコチ、もしかすると宇宙の果てからも返ってくるかもしれません。

結果発表の時のLyricDesignさんの瞳はメラメラと燃えてましたよ!!
あの瞳を観た時、私は確信しました『LyricDesignさんは、イケる!』と。

「Love & Peace」 に満ちたLyricDesign-Riot(暴動)は既に密かに始まっています!!


LyricDesign(リリック・デザイン) more information↓
LyricDesign(リリック・デザイン)さん

落陽について…

2010-01-20 22:47:30 | エッセイ、コラム
大学受験で初めて東京の冬を体験した時は、昼下がりには夕暮れの匂いがしだす陽光に、慣れない街の心細さも手伝い切ない気分になったものですが、こちらに暮らすようになり毎年東京の冬至を経るようになると、同じ頃なのに、早春の香りを感じるものだから現金というか不思議というか…。
季節は確実に夏至に向かっていて、太陽も日ごとに力を増して、私をあなたを暖かく照らしていますよ!!


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

梅開花!

2010-01-19 22:04:01 | エッセイ、コラム
ちょっと冬眠している間に、小さな春がやって来て、梅が花をつけていました。

みんな、梅に負けていられないよ。
自分色した、君の花を咲かせるんだぜ!
でも、無理はしないで、自分のペースを守って!!


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん

中野考次『麦熟るる日に』

2010-01-18 22:46:07 | エッセイ、コラム
1992年『清貧の思想』がベストセラーになった中野考次さんの自伝的な小説。

欧州できな臭い匂いがし始める昭和初期、大工の家に生まれた事から成績が良かったにも関わらず、旧制中学への進学が叶(かな)わず、今でいう「大検(高校卒業程度認定試験に改称か…)」に当たるものを受験し、苦学しながら、「学問」への道を模索(もさく)していく著者を投影した作品。

私の手元にあるのは文庫本で浪人生の時に買い求めたものではないかと思われます。
単行本は1978年に発行。
現代小説や海外に舞台をとった小説も好きな一方で、こういう昭和の戦中や戦後の若者を描いた小説を読むのもまた好きなのが当時の私だったようです。
この作品はこのあと『苦い夏』、『季節の終わり』と続いていきます。

なにゆえ、今この小説を紹介するかというと、高卒が常識となり授業料も無料化が叫ばれ、少子化で経済的な事情さえクリア出来れば割と簡単に大学進学も出来てしまうのが現代で、一部の人を除き苦学とは無縁なのが今の時代だからです。
半世紀くらい前には、進学したくても進学出来なく、「学問」への渇望(かつぼう)から、家族を犠牲(ぎせい)にし、時に敵に回しながらも、自分の思う道を進まざるを得なく、または諦(あきら)めなければならなかった若者が多数いたであろう事を理解して欲しいからです。
「学問」は与えられるものではなく、自分で掴(つか)み取らなければなかった時代があった事をも…。

ひょっとしたら「学問」を自分の「夢」に置き換えれば分かりやすいかもしれません。

この小説には「亡き父と母に」という文言がしたためられています。

著者の両親への懺悔(ざんげ)的な気持ちが込められた作品とも言えるでしょう。

読後にこの文言を改めて目にすると著者の両親への複雑な想いがより分かると思いますよ。


↓good artist・nice music! listen!!
LyricDesignさん


↓fantastic doramas
『Life is Ekiden』


↓cool sounds
elect-linkさん


↓heart-warming tunes
アトリエさん