根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『さよなら。いつかわかること』

2008-04-30 23:19:23 | エッセイ、コラム
監督:ジェームズ・C・ストラウス、出演:ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、の映画『さよなら。いつかわかること』を観てきました。


ストーリーは、アメリカ・シカゴに住む、とある家族に起きた悲劇的な出来事とそれによって深まる家族愛を描いたもの。

シカゴに暮らす家族・フィリップス家は現在3人暮らし。
ホームセンターで働く父のスタンレー(ジョン・キューザック)、長女で12歳のハイディ(シェラン・オキーフ)、次女で8歳のドーン(グレイシー・ベドナルジク)、とで家を守っています。
女性軍人である母のグレイスはイラクに単身赴任中で家には不在です。
母親が一時不在であるにも関わらず、一家はアメリカのどこにでもある普通の家族として平和に暮らしています。

そんなスタンレー家に突然、母・グレイスが戦地で殉職した、との知らせが入ります。
グレイスの訃報を軍関係者から受け取ったのは父のスタンレーのみ。
スタンレーは娘2人に、この受け入れがたい厳しい現実をどうやって伝えたらよいか悩みます。
やがて、学校から帰ってきた娘2人をスタンレーは車で外食に連れ出します。
娘たちに事実を告げる為に…。
しかし、母の無事を信じてやまない娘2人にスタンレーは真実をどうしても伝える事が出来ず、次女が何気なく言った、フロリダにある遊園地に行きたい、という一言で3人は衝動的にそのまま車でフロリダに向かいますが…とプロローグはそんな感じです。


起伏の少ない淡々とした静かな映画でした。
劇中流れるクリント・イーストウッドによって書かれた優しくも哀し気なピアノ曲も非常に美しい。

母の訃報をどの段階で娘たちに伝えてよいか苦悩する父・スタンレーと、思春期に入り勘が鋭くなっていて何となく家族に「何か」が起こった事に気付いていながら、父にはその事を悟られないように振る舞う長女・ハイディ、そういう事が家族に起こっている事を全く想像をしていなく、母の無事帰還を願い、突然の旅行を無邪気に喜ぶ次女のドーン。

この3人の関係が非常に切ない作品でした。
設定が違っていたら、楽しい家族の映像にしか思えない画(え)も、BGMと状況によってこんなに哀しく感じてしまうものか、と胸が痛くなりました。
実際、上映中劇場のどこかでは観客のすすり泣く音がしている、という状態でした。
敢えて泣き所を盛り上げない抑えた演出を施す事よって、逆に視聴者にジワジワと哀しみが込み上げてくる手法がとられていて、その効果は充分過ぎる程でした。
観終わったあとの余韻も素晴らしく、それはいい意味で鑑賞後も引きずる感じです。

決して楽しい映画ではないですが、想像力や感受性が豊かである人程感動出来る作品だと思います。

静かな感動を味わいたい、という方にはオススメです。

困った…

2008-04-30 05:50:17 | エッセイ、コラム
夜中、トイレに立った折り、喉の渇きに冷蔵庫を開け、常備してある乳酸菌飲料のピルクルを飲む。
と、口にピルクルを運んだ途端、違和感が。
温(ぬる)いっ!

おかしいと思い冷凍室も開けると冷凍してある筈のものが見事に溶けている!

再び冷蔵室を開けて中の状態を確認すると、これまた全てが温い!

予兆は数日前からあった。
冷蔵庫の稼働音が持続しなくて、洗濯機を回している時みたいに、動いたり、止まったり、を一定の短いスパンで繰り返すのだ。
ただその音は自分の部屋の冷蔵庫の音ではなく、アパートの他の住人が洗濯機を回しているのだろうと思い、さして気にも留めなかった。
実際、昨夜の段階まで、冷蔵庫内は冷えていたし、よって問題もなかったのだ。

それが冷蔵庫の断末魔の声だったとは誰が想像するだろうか…。

さっき冷蔵庫内の運転調節のスイッチをいじったみたが、30秒ほど稼働音がして止まり、暫くして再び稼働音がして、また直ぐに止まり、という事を繰り返している。
冷蔵庫内は冷える様子もない。

思えば上京して一人暮らしをする為に購入した冷蔵庫だ。
もう20年近く動き続けてきている。
冷蔵庫は寿命が長いとはいえ、今までよく故障もせずに稼働してくれたものだ。長く保った方だろう。

しかし、このままホントに壊れてしまうのだろうか…何とか復活する事に一縷(いちる)の望みを賭けたいが、それは無駄な祈りなのだろうか…。

困った事に、私には新たに冷蔵庫を購入するお金がない。
それに冷蔵庫がないと生物(なまもの)の備蓄も出来ない為に自炊にも困難をきたす。
かといって外食やコンビニ弁当は出費が大きいし、それに栄養学的も不健康だ。

これから暑くなる時期だけに、これは非常に痛い。
参った、どうしよう。
心無しか、頭痛もしてきた…。

あぁ、そうだ考えてもどうしようもない事は、考えない事にしたのだった。
仕方がない、なすがままにまかせよう。

神の御慈悲が私にあらん事を願って…。

六義園・旧古河庭園

2008-04-29 16:30:05 | エッセイ、コラム
ツツジがみたいと友人が言うので、駒込の六義園と旧古河庭園に行ってきました。

六義園のツツジは割と咲いてはいましたが、もう暫くあとが見頃でしょうか。

旧古河庭園にはバラ園があるんですが、バラの開花には少し早いようで現在はまだ蕾(つぼみ)の状態でした。
たぶん見頃は5月末くらいだと思います。

写真は旧古河庭園のバラ園側から臨んだツツジの刈り込みと洋館です。

映画『アイム・ノット・ゼア』

2008-04-28 23:34:59 | エッセイ、コラム
監督:トッド・ヘインズ、主演:クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、マーカス・カール・フランクリン、リチャード・ギア、ヒース・レンジャー、ベン・ウィショー、の映画『アイム・ノット・ゼア』を観てきました。


ストーリーは、ミュージシャンのボブ・ディランの60年代の模様を描いた伝記的なもの。
この年代、変化の激しいボブ・ディランを6人の俳優が演じ分けるというユニークな方法を用いて表現されています。


正直、私には理解不能でした。
というのも、この作品を観に来る人たちがディランについて詳しい知識を持っているもの、という前提で作られているからです。
劇中ではボブ・ディランという名前は一切出てきません。
6人の俳優は、ディランのその時期を象徴する役名で、彼を演じます。
これがまず視聴者に混乱をもたらします。
6人の俳優が演じ分ける各エピソードにも分かり易い説明はありません。
もうここで、ディランの曲を知っている程度の人は完全に置いていかれます。
目の前の大画面で、起こっている出来事が何の事なのか、ディランのどの部分を象徴しているのかがサッパリ分からないのです。
まるで予習してくる事を前提に行われている授業に、予習をせずに参加した生徒のようなものです。
作品に全く付いていけないので、やがて映画を観ている事が苦痛になってきます。
残された道は、寝てしまうか、退席するか、苦痛に耐えて分からないまま映画を観続けるか、です。
私は貧乏性なので、苦痛に耐えて観続ける事を選びました。
救いはディランの曲の中で、知っているものが劇中で時々流れる事くらいです。

そうして2時間ちょっとのこの作品を観終わったあとには、カタルシスや爽快感などは全くなく、疲労と混乱のみが残りました。


この作品はディランについて既に詳しい知識を持っているか、最低限の知識を得る為に彼の伝記本を読み予習した人が観て初めて楽しめる映画です。


そういう意味ではある人には傑作であろうし、またある人には駄作としか捉えられない作品でしょう。
ボブ・ディランの事を詳しく知らない人にはオススメしません。
どうしても観たいという人には、映画館に2時間前に行って、パンフレットを先に買い、近くのカフェで最低限の知識を頭に入れてから観る事をオススメします。

ヤクルト VS 中日

2008-04-28 00:41:53 | エッセイ、コラム
友人が、勝ち馬券を新宿の場外馬券場に換金しに行く、と言うので、暇なので一緒に付いて行ったら、換金のあとノリでプロ野球の、ヤクルト VS 中日、の神宮での試合を急遽観戦する事になりました。

友人は競馬に勝ったからと、入場券・ビール・つまみに至るまで気前よく全て奢ってくれました。

熱狂的なヤクルト・ファンの友人と共にヤクルト側の外野席に陣取り、他の観客に適当に合わせて、大声で応援していたら、普段大声を出す事がないので、良いストレス発散になりました。

試合には負けましたが、非常に楽しかったです。

映画『砂時計』

2008-04-26 21:14:37 | エッセイ、コラム
原作:芦原妃名子、監督:佐藤信介、出演:松下奈緒、夏帆、井坂俊哉、池松壮亮、の映画『砂時計』を観てきました。


ストーリーは、14歳の杏(夏帆)が、東京から母・美和子(戸田菜穂)と共に母の故郷である島根県に帰郷する所から始まります。
杏の父(風間トオル)が事業に失敗し、離婚の末の、杏の母・美和子にはとっては失意の帰郷です。
実家に戻った早々、美和子は杏の祖母にあたる美佐代(藤村志保)から、激励を込めた叱責を受けてしまいます、

「だからあの結婚には反対したのに。しゃんとしなさい」

と。
しかし、その言葉が精神疾患を抱えた美和子にはひどい重荷となってのしかかります。

一方、大人の話しに飽きた杏は母の故郷である町を散策します。
そこで、地元の同い年の少年・大悟(池松壮亮)と出会い、彼の手荒くもどこか温かい歓迎もあって、杏は母の抱える苦悩をよそに田舎での生活に意外とすんなりと馴染んでいきます。

そういう日々が数日過ぎたのち、杏のもとに、美和子が倒れた、という知らせが入ります。
医者の診断では、美和子は、励ましてはいけない病気・鬱病、に罹患しているとの事。
ほどなくして美和子は杏を残して自殺してしまいます。
両親の離婚に、母の自殺と、孤独と失意のどん底にいる杏を大悟は、優しく力強く抱きしめながら言います、

「ずっと一緒におっちゃる」

と…。

長くなりましたが、これがこの作品のプロローグになります。

このあと物語は、杏が背負った母の自殺という十字架と、大悟との絆(きずな)を描いていきます。
主人公の杏は少女時代を夏帆が、大人時代を松下奈緒がそれぞれ演じ分けています。


昨年、昼ドラ化され好評だった人気漫画を原作に、新たにテーマを絞り込み、ドラマとは全く違った作品に“映画『砂時計』”はなっていました。
“ドラマ『砂時計』”のダイジェスト版を期待して劇場に足を運ぼうとしている方は、観るのを止めた方が良い作品です。
全くの別物です。


全体を貫く一本線は、母の自殺というトラウマを抱えてしまったひとりの女の子が、如何にそれを克服していくか、という事。
そのトラウマ克服に大悟との愛が絡んでくるのですが、離婚して行方知れずになっていた父の登場で、杏の島根での生活は一年足らずで終わり、父が住む東京に戻ってしまいます。
よって杏と大悟が同じ町で一緒に過ごした期間も一年足らず。
その後、杏と大悟は島根と東京で遠距離恋愛を経験するものの、離れがたい「絆≒愛」を二人が育む過程がかなり省略されている為に、劇中での大悟の存在感が少々弱い気がしました。

少女が思春期に体験した母親の自殺という強烈なトラウマが、その後の人格形成にどう影響していくか、というテーマはよく描けていました。
が、時折フラッシュ・バックで深い沼に落ちてゆく杏を、太陽のような暖かさで救う大悟との絆が序盤でしっかり描かれていない為に、何故杏を救う事が出来るのが大悟でなければならないのかが、今ひとつ説明不足の感があります。
一年足らずしか過ごしていない島根(しかもそこは母が自殺をした土地)を杏が屈託なく愛する故郷と感じられるのかもやや疑問。
そこら辺がもう少し上手く処理されていたら、かなり良い作品になった事でしょう。


とはいえ劇中、時折り挿入される島根の山々や町並み、里山の風景は日本人の故郷の原風景として認識させるには充分であったし、多くの“『砂時計』ファン”からブーイングを浴びる事が予想される事を覚悟の上で、要点を絞り2時間の作品にまとめ上げた監督の勇気、意気込み、手腕には拍手を贈りたい所です。
またひとつ違った解釈の『砂時計』が観られた事も良かった。
惜しむらくは、私が“ドラマ『砂時計』”を昨年観ていたが為に、まっさらな状態で“映画『砂時計』”に触れられなかった事。
出来ればこの映画は初めて接する作品として観てみたかったものです。
なので、この作品の「映画」としての良し悪しは私には分かりません。
出来、不出来の判断は各人に任せます。

撫子の花

2008-04-26 07:08:46 | エッセイ、コラム
庭に咲いた撫子(ナデシコ)の花です。
去年、植えたものですが、厳しい冬を耐え、春の暖かさに葉を繁らせ、見事に花を咲かせてくれました。

宿根草は秋になって一度姿を消しても、翌年には再び姿を現(あらわ)し、花を咲かせ、楽しませてくれるので楽で良いです。

青春映画3つ

2008-04-25 04:02:46 | エッセイ、コラム
こういう時間にブログの更新をしているのは、相変わらず中途覚醒が起きて眠れずにいるからです。

仕方がないので、今週観た映画の話しでも。

GWに向け、配給各社今週末に封切りの映画をぶつけてくる為か、先週末公開の映画にはさほど観たいというものがなく、月曜日に『チェスト!』を観てきたのみです。

平日の楽しみがなくなってしまったので、日付変わって一昨日、昨日と1度観た作品をまた観てきました。
一昨日には『うた魂(たま)♪』、昨日には『チェスト!』という具合いです。

やはり出来が良い作品は2度目でも面白いもので、観落としていた部分なども新たに拾えたりして、両作品ともに再び楽しめました。

この2つに『ガチ☆ボーイ』を加えた3つは青春映画として、かなり良い出来です。
『ガチ☆ボーイ』も2度観たのですが、これは2度目の方が感動しました。

『ガチ☆ボーイ』は大学生の学生プロレス、『うた魂(たま)♪』は高校生の合唱、『チェスト!』は小学生の遠泳大会、と年代や打ち込むものはそれぞれ違いますが、一生懸命ひとつの事にひたむきになる点では共通するものがあり、主人公たちのそういった姿には心打たれるものがあります。

たぶんそれは私が既に青春時代を過ぎ、その頃のひたむきさや気持ちを忘れてしまっているから尚更感動してしまうのだと思います。


『ガチ☆ボーイ』は既に終了しましたが、『うた魂(たま)♪』と『チェスト!』はまだ上映中です。
両作品ともに分かり易い青春映画で、鑑賞後感も非常に良いものです。
まだ観ていない方はぜひ劇場に足を運んでみて下さい。

オダマキの花が咲きました!

2008-04-24 06:39:30 | エッセイ、コラム
庭に自生しているオダマキの花が咲きました。
数年前に頂いたものが、種で増え、代を変えながら、庭の一員となっているものです。
淡いピンクの花の形状が、ちょっと蘭の花を思わせる感じで気に入っています。
大きさは全然違って、オダマキの方がかなり蘭よりも小さいですけどね。
怠惰な庭の主にはピッタリで、雑草にも負けず、自分で増えて大きくなり、毎年この時期には美しい姿をみせてくれるので、私には大変ありがたい存在です。

やはり月か!

2008-04-23 03:49:48 | エッセイ、コラム
早めに床についたものの、1時過ぎに目が覚めてしまう。
ベッドでジッとしていたのだが、なかなか再入眠出来ない。

小腹が空いてもいたので博多ラーメンの一風堂に行く事にして自転車を走らせる。
喉が数日前から痛いので、体内殺菌の為にニンニクをガッツリ入れて食べる。
まぁ腹がくちくなれば眠くもなるだろうな、と思いながら。

帰り見上げた空には丸い月が…。
やはりそうであったか、この所の不眠の一端はコイツにあったらしい。
反応しなくても良い所に敏感に反応してしまう。
鈍感になりたい。