根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

神よりの試練

2005-10-29 17:12:33 | ダイアリー
10月29日、曇りのち雨。
14:00、遅い起床。
対外的なそれも下らない事情で寝不足だ。


午前2時、いい感じで寝ようとした時だった。
カタカタカタカタカタカタ
っとサッシが揺れ始め(最初ホントの地震かと思った)、続いて子犬の
鳴くようなか細い声。
サイアク。
どうやら、上の階のメス猫に男が出来たらしい。
それで恥ずかしげもなく大声を上げ深夜の情事か、ったく。

それがやっと終了したと思ったら、1時間程のピロー・トーク(また男の
声が低くてよく階下に響いてくる)を挟んで2回戦に突入!
結局、明け方まで熟睡出来ず。
これから週末ごとにこれが続くのだろうか…。
隣室の絶叫男も相変らず叫んでいるし…。

思わず、キリスト教徒でもないのに、十字を切り、手を合わせ、神様
に問い掛けるのだ、
「主よ、あなたは私から安定した生活やテレビ(15年の寿命を終えよ
うとしている)ばかりか、週末の安眠まで取り上げなさるおつもりで
すか?」

本とキャベツ

2005-10-27 15:41:36 | ダイアリー
大村一朗という人物が書いた『シルクロード・路上の900日』という本
を読んだ。
中国の西安から中央アジア・西アジアを経てローマまで2年半かけ
て徒歩旅行した日本人が帰国後7年の歳月を経てまとめあげた紀
行文である。

徒歩旅行ゆえの詳細な路上観察、普段は我々が知る事ない中央ア
ジアの人々の人間性や風俗、そういったものがよく書かれた本であ
った。

イスラムの教えに「旅人は大切にしなさい」というのがあるのだが、
筆者もご多分に洩れず沿道の人々にご飯をご馳走になったり、家に
泊させてもらったりと親切にされていた。
中世の影響を色濃く残す宗教ゆえ、他の宗教を信仰する人々には異
様に映るイスラム教であるが、実際現地に入ってみれば悪い点は少
なく、むしろ旅人にとってはいい点も多い宗教なのだな、と思った。
むしろ、異様に映るのは我々の無知さゆえの偏見なのだ、とも感じさ
せられた。
まぁ、筆者は多分に性善説にたっている人間なのか、よく人を信じて
悪い奴に騙されてもいたけれど…。

沢木耕太郎の『深夜特急』を面白い、と感じた人は充分楽しめる本で
しょう。


キャベツが安い。
涼しくなり本来、彼らが好む気候になってきたのか、安価で出回って
いる。
1つ80円~100円といった所か。
貧乏人の私は当然「買い」だ。
そんな訳でキャベツ料理を食べている私なのだが、それで分かった
のはキャベツというのは生でも、炒めても、煮ても、さらには漬物にし
てもイケるユーティリティー・プレイヤーなのだな、という事。
それぞれの料理で個性を発揮し、またその一つ一つが美味い。
ここ数日私がよく食べているのは、キャベツと油揚げの蒸し焼き。

キャベツ半個を適当な大きさに切り。鍋に塩をまぶしながら敷いて
いく。それを弱火で蒸し焼きにしてゆくのだ。そうすると熱と浸透圧
の関係で水分が外に出て嵩が4分の1程になる。
そこに昆布だし、鰹だし、鶏がらスープの素、酒を適量加え味を調
え、さらに油揚げを投入し油揚げがしんなりとしてきたら出来上が
りだ。

キャベツのシャキシャキとした食感に旨味をたっぷりと吸った油揚
げが何とも絶妙な一品である。
お試しあれ。


雨のち晴れ。
雨が降る度に季節が深まってゆく。
空が高い。

厚木に向かうのか一機の軍用ジェット機が爆音を轟かせながら秋
空の中を飛んでいく。
戦争と平和は紙一重。


詞の鑑賞:サイモン&ガーファンクル『アメリカ』

2005-10-23 11:51:57 | ノンジャンル
今回は少し趣向を変えてサイモン&ガーファンクルの『アメリカ』
という曲の詞の鑑賞です。


 (長距離バスに揺られながら)
 僕は景色を眺めていた
 (連れの)キャシーは雑誌を広げている
 だだっ広い平原に月が昇っていた
 「キャシー、僕は迷っている」
 彼女が寝ている事には気付いていたけれど、僕は云った
 「僕は虚しい。僕は苦しいよ。でも、どうしてそんな気持ちになる
 のか分からないんだ」
 
 (そして)僕はニュージャージー・ターンパイク上の車を数え始めた
 みんなアメリカを探しに来ている
 アメリカを探しに
 アメリカを…

                             訳詞:有須悟史


今回紹介したのは曲の最後の部分です。
とかく先が見えない現代日本、本来の意味とは違ってくる部分もあ
るかとは思いますが、「アメリカ」という言葉を「希望」とか「やりたい
事」あるいは「自分自身」に置き換えてみると、この詞がグッと心に
迫ってくるでしょう。
『アメリカ』はサイモン&ガーファンクルのアルバム『ブック・エンド』に
収録です。

新米を食す

2005-10-20 19:03:59 | エッセイ、コラム
新米が旨い。

9月には高価過ぎて全く手が出なかった今年の新米を先週やっと手
に入れる事が出来た。

ここ数年不作が続いたせいで米の値段が高く、私は旬の時期に新米
を食べる事が出来ずにいた。その為、私は新米の実力をすっかり忘
れていた。
そんな感じで何も考えずに新米を炊き、炊き上がった所でご飯の異
変に気付いた。香りや照りが全く違うのだ。
しまった、これは新米だった…、と思ったが時すでに遅し。
仕方ないのでその日は海老フライをおかずに新米を食べる。
が、海老フライの個性の方がご飯に勝ってしまいやはりイマイチなの
であった。

次の日は仕切り直して新米に挑む。新米をメインに据える為、おかず
は新米の個性を損なわぬもの「キュウリの浅漬け」にした。後はワカメ
の味噌汁のみ。シンプルさが重要なのだ。

キュウリの浅漬けは自作する。防水性のビニール袋に適当な大きさ
に切ったキュウリを入れ、さらに塩、鰹だし、昆布だし、鷹の爪、酒、
薄口醤油をそれぞれ適量加えビニール袋の外から軽く揉む。暫く揉
んで何となく全体が馴染んできた所で放置。出来れば一晩くらい待っ
た方が良いが、小一時間経ったくらいでも全然OK。

今度は新米。ジャーに入れ吸水時間を充分とった新米を普通に炊く。
購入したのは無洗米なので「研ぎ」は不要。炊飯に関しては特別な
事はせず、普通に丁寧に炊いてあげるだけで良い。新米は実力が
あるのでそれだけで充分旨いのだ。

そうして、炊き上がった新米は、香り、照り、粘り、食感、味、どれを
とっても最上級であった。まさにキレキレの状態。この直前まで同じ
銘柄の16年度産の米を食べていた為、その違いがさらに際立つ。
いくら米の保存技術が向上したといっても、米に含まれる水分量の
損失や澱粉質、香りの劣化を完全に防ぐ事は不可能なのだろう。

キュウリの浅漬けとの相性も良い。キュウリのコリコリとした食感を
しみじみとした軟らかさで包み込む新米。お互いが、お互いを想い
やる感じが伝わってくる。片方どちらかが「立つ」のではなく、お互い
が引き立て合いさらなる高みへと向かう状態、いわゆる相乗効果と
いうやつだ。素晴らしい。

考えてみると、こういうのが男女の理想の姿なのかも知れない。何
か最近は少なくなりましたねぇ、男性を立てる女性ってのが。自己主
張をなさる女性は増えましたが…。まぁ、優しくて強い男性も少なくな
った(気が小さくて優柔不断な男は増えたが)ように感じるので、これ
はどっちもどっちか。

閑話休題。まぁ、そんな感じで新米を充分に堪能する。他にも蒲鉾
なども試してみたが、全体的にいえるのは普段は付け合せや副菜
に甘んじているものの方がご飯との相性が良いという事。
醤油などの調味料もあまり使わない方が良い。スパイスを多用する
なんてもっての外。これは新米の良さを殺してしまう。

ただ、この所私は新米を堪能しすぎて摂取する量が増えてしまい、
それに比例して体重もまた増加しているような…。旬のものを楽し
むのもほどほどにしないと危険が伴うのであった。

余談ではあるがこの「新米を食す」という表現。例えば会社のお局O
Lが給湯室などで「昨日、新米食べちゃった」と発すると、全く別の意
味に捉えられる危険性も孕んでいるので、これも注意が必要なので
ある。

掠(かす)め取るヤツ

2005-10-17 12:31:38 | エッセイ、コラム
先日、庭に出た時の事。
金木犀の鉢植えに違和感を覚える。
葉にコーヒーの出がらし様のものが夥しく付着しているではないか。
やられた、夜盗虫だ。
金木犀の愛らしい花が無残な状態になっている。
奴等が隠れていそうな葉の裏側などを探してみると、いるわ、いる
わ。
花弁を沢山喰らいやがったのか、身体がオレンジ色をしている。
今年は私がうっかりオルトラン散布を忘れてしまい、そこを見事に
夜盗虫に付け込まれてしまったらしい。
目につく範囲の夜盗虫を割り箸で捕まえ、タバコの火で駆除する。
申し訳ないが彼等にはこの世から退場して頂くしかない。
全く、この限られた開花の時期の為だけに一年間世話してきた私の
自然からのご褒美を都合良く掠め取ろうとする奴等は許さない。
不幸にもお亡くなりになった夜盗虫はコンクリートの上など、目立つ
所に晒しておいた。
翌日には四十雀がついばんでくれる事だろう。
アディオス!

しかし、最近は自然界だけでなく人間界も大変だ。
収穫前の農作物を平気で盗んでいく奴に、何でもマネーゲームの対
象にしてしまう奴(これは私のオルトラン散布の失念同様やられる方
も悪い)など中身が夜盗虫とそう変わらない御仁が暗躍してますな。
人間界も自然界と同じ様に倫理感なしの、何でもありの世界になっ
てきているようで…。

※ 夜盗虫(ヨトウムシ)
http://www6.plala.or.jp/hmmk/byouki/yotou/yotou.htm

※ オルトラン
http://www.sumika-takeda-engei.co.jp/guide/syo00360.html

※ 四十雀(シジュウカラ)
http://contents.kids.yahoo.co.jp/zukan/birds/card/0418.html

shout!

2005-10-14 14:22:52 | エッセイ、コラム
最近、私が住むアパートの部屋の隣りの男性
がよく叫んでいる。
「アァァァァー」
「バカヤロォォォー」
「オレはぁぁぁー」
「だから、何だっていうんだよぉぉぉー」
などなど。
静かに部屋で過ごしている時、こういった声
が突然聞こえてくるのはかなり不気味なので
ある。
本人としてはそんなに大きな声で叫んでいる
という認識はないのかも知れない。しかも、
その声が隣りの住人にしっかりキャッチされ
ているとは露とも思ってないのだろう。
しかし、あなどるなかれ我が安普請のアパー
ト、隣りの部屋の生活音はまる聞こえなので
ある。

どこぞの会社で営業の仕事をやっている、と
云った隣りの男性。
もう引っ越してきてから一年以上が経つ。
厳しいご時勢だもんなぁ。とうとう、ストレスで
遠くの世界に行ってしまわれたか…。

そんな事を思っていた矢先、彼と挨拶を交わ
す機会があった。
私と顔を合わせた瞬間、向こうの方から
「こんにちは」
っと声を掛けてくる。
声が明るい、しかも爽やか。目が飛んでいる
風でもない。
至って普通の様子だ。
逆にゴニョゴニョっとした感じの挨拶しか返せ
ない私の方がアブナイ人物なのかも知れない。

彼は今朝もまた何やら叫んでいた。
何かと神経をすり減らす事が多い営業という
仕事。
都会の一人暮らしでもあるし、溜まっている
ものは沢山あるのだろう。
むしろ、彼が叫んでいる内は無意識下で適度
にガス抜きをしていて、まだ正常なのかも知れ
ない。
解消されないストレスが徐々に蓄積していっ
て飽和状態を超えバクハツしてしまった時…。

「アァァァー」。
みんな色々抱えながら生きている。

サブリミナルなマレー半島

2005-10-12 17:57:48 | エッセイ、コラム
1995年3月14日、私はマレーシアのペナン島
にいた。

その1週間前に日本からタイのバンコクに入り、
3日後、マレー半島をペナン島まで一気に南下。
深夜バスで車中泊、その後2度車を乗り換える
という所要時間18時間の移動だった。
それからペナン島で数日を過ごし、今度はタイ
南部の都市・ハジャイを経てバンコクまで戻る
為、ペナン島を後にしようとしていたのだ。

14日の早朝、バス乗り場まで向かう。
夜は未だ明け切っていない。
既に私と同じバスで移動するらしい人達が車を
待っている。
ビジネスマン風の中華系の男性 (マレーシア人
かタイ人なのかは不明)3名、ヒッピー風の白人
カップル(こちらも国籍不明)一組、それに私を加
えたのが本日の移動のメンバーになるらしい。
待つ事数十分、やって来たのは大きめのバンだ
った。
移動はマイクロバスだと聞いていたが思ったよ
りも人数が集まらなかったのだろう。
旅行会社の都合でバスがバンへ変更になった
らしい。小さな代理店にはよくある事だ。
ドライバーによるメンバーの確認後、我々は一
路ハジャイに向けて出発した。

フェリーで海峡を渡り、一般道を暫く走った後、
高速に乗る。
車内にはドライバーの私物らしいミュージック・
テープが流れている。東南アジアの幾人かの
歌手によるオムニバス。
聞くともなしにそのテープを聞いていると何か
聞き憶えのあるメロディーが流れてきた。
何かサビの部分で“サヨナラ”なんて事も歌
っている。
そうだ、この曲は槙原敬之の曲、彼の曲の東
南アジア人によるカバーだ。確かタイトルは…
…う~ん思い出せない。「言わないよ絶対」っ
ていうフレーズだけ覚えているんだけど。
何だっけこの曲のタイトル?…。
と、こんな異国の地で日本の歌手の曲名が出
てこないもどかしさを抱え込んでしまう。

日本の高速道路によく似たマレーシアの高速
は道路状態もよく快適そのもの。多分日系企
業が設計や工事を担当したのだろう。
車はマレーシアの田園地帯を抜けて行く。
田んぼの所々にバナナや椰子が生えている点
を除けば日本と大差がない水田地帯、ゴムの
プランテーション、水車がカラカラ回っているエ
ビの養殖池…そんな風景が現れては消え現れ
ては消え…。

と、車の中が静かになる。
さっきのミュージック・テープが終了したらしい。
次はどんなテープなのだろう、と期待していると
何か一度聞いた事のあるイントロ。
ドライバーはまた同じテープをかけるらしい。
で、また同じように途中で槙原のカバー曲があ
り、テープが終了すると、また聞き憶えのあるイ
ントロ。
どうやら我々はハジャイまでの6時間の移動中
ずっと同じミュージック・テープを聞き続けなけれ
ばならないようだ。

そんな風にして車はマレー半島を北上して行く。
途中、マレーシアとタイの国境を越える。
入国審査で乗客の誰かがトラブルになる事も
なく無事タイへ入国。
我々の乗った車はタイの高速道路をひた走る。
国境を越えてもマレーシアと大違いがない単
調なタイ南部の田園風景が続く。
1時間に1回槙原の曲もかかるのも変化なし。
いつしか眠気が襲ってくる。
思えば今日は朝が早かった。
遠くで音楽が聞こえる。
苦しいような心地良いような眠りに落ちる時に
感じる独特の感覚。
段々と意識が遠くなってゆく。
……………。
……………。

どれ位眠ったのだろうか、車内のざわめきで
目が覚める。
どうやら、ハジャイ到着が間近らしい。
うたた寝する前は田園風景だった車窓の外も
街の景観をなしてきている。
住宅も建て込んできた。
車はハジャイ郊外のホテルに寄り中華系のビ
ジネスマンを降ろす。
それから、暫く走りハジャイの中心地らしい場
所で車は止まった。
ここが終点のようだ。

白人カップルに続き、私も車を降りる。
エアコンの効いていた車内とは違い、外は東
南アジア独特の蒸し暑さ。
白人男性が自分達の荷物を降ろしている。
『さぁ、俺も自分の荷物を降ろさなきゃ』と私も
大きな伸びをしながら車の後ろに回る。
と、何か鼻歌が聞こえてくる。
声の主は白人男性らしい。
彼が口ずさんでいるメロディーによく耳を傾け
てみると、これがどこか聞き憶えのある曲。
これは槙原の曲だ!
その瞬間、私は意味なく『勝った』と思った
のだった。
一体、何に勝ったのかは上手く説明出来ない。
でも、日本文化が何かに勝った気がしたハジ
ャイの午後だった。

音楽評 安藤裕子『さみしがり屋の言葉達』

2005-10-09 15:23:33 | 音楽評
auのケータイのCMでこの曲をきいた時、最初
はユーミンの昔の曲かと勘違いした。
それほど歌唱法や楽曲のアレンジを80年代の
日本のポップスに似せているのだ。
本人達の狙いもそこにあったようで、この曲は安
藤裕子のユーミンに対するオマージュ、との事。


安藤裕子の存在を知ったのは2004年の冬の事。
ラジオやケーブルTVで『ドラマチックレコード』が
ヘビー・ローテーションされていて何時の間にか
そのメロディーが耳に残ってしまったのだ。

♪やる気をなくしたスーパースター
 待ち焦がれてる声が聞こえないの?

『ドラマチックレコード』はこんなフレーズから始ま
る。
『“やる気をなくしたスーパースター”って俺?』
彼女はそんな思いを聴く人に抱かせ、ここで心を
ぐっと摑んでしまうのだ。
ノスタルジックなメロディに乗せ彼女はサビでは
こうも歌う、

♪君はいつも僕に夢をくれる
 スーパースターさ
 素敵な声唄で僕に響かせて
 抱きしめて、抱きしめていてよ

ほの暖かい雰囲気の曲でまるで付き合っている
女の子に励まされてる様な錯覚を覚え一人涙し
た私だった。


その『ドラマチックレコード』と同じ宮川弾・作曲、
同じ山本隆二・アレンジによる作品(詞は安藤裕
子本人)が今回の『さみしがり屋の言葉達』である。
テーマは雨と孤独といった所だろうか。
雨によって想起される心象風景を彼女はこう表現
する。

♪雨の街が私は嫌い
 いつも張りつめたままで
 閉じこめてきた迷子の心を
 くすぐるような仕草をするから

前述の『ドラマチックレコード』では矛盾点も散見さ
れた彼女の詞であるが、今回は腕を上げてきた。
都会の孤独感を“迷子の心”と表現し、普段忘れて
いるそんな感情を“雨の街”が“くすぐる”と言い表す
のだ。
さらにそんな詞の世界観に80年代風の郷愁感漂
うアレンジがうまくマッチしている。
特にあの時代独特のこもったようなドラムの音が
巧く再現されている点が素晴らしい。
今回はホーンセクションでスカパラのメンバーが起
用されメロウな調べでこの曲のテーマに彩りを添え
ている。
思えば贅沢なミュージシャンの使い方だ。
因みにドラムを叩いているのはカーネーションの矢
部浩志。
ラストのフェイド・アウトの仕方も旧き良きJ-popの
それを踏襲している。

昨今の日本のヒット曲の傾向からこの曲が大当た
りする事はないだろう。
が、『さみしがり屋の言葉達』は2005年秋のJ-pop
の秀作と言っても過言ではない気もするのだ。
特に最近の様な雨の季節にはしっくりくる。

雑感10.9

2005-10-09 14:12:17 | ダイアリー
武蔵野市の市長選挙に行く。
体制派や市民から支持されているという候補
者を外し、消去法で投票する。
私はひねくれ者なのだ。
選挙の度、小学校に行く必ず思う。
何故、小学校や幼稚園といった所は独特の甘
い匂いがするのだろうか。
学校に染み付いた子供の体臭?

昨夜の雨で金木犀の花が散っていた。
幾千の可憐な小さい花びらがアスファルトに散
乱する様はとても美しい。

はっきりしない天気で憂鬱な事このうえない。


好日

2005-10-07 18:11:08 | ダイアリー
家賃の振込みに吉祥寺に出掛けた。
帰りにHMVに寄る。
安藤裕子のシングル『さみしがりやの言葉達』
を試聴したかったからだ。
CMソングとしても使われているこの曲は切な
気でいいものだった。
試聴したあと中古盤屋に寄るとこのシングル
のサンプル盤が並んでいた。
さらに、前から欲しかったシュガー・プラントの
『トランス・メロウ』もあるじゃないか!
両方とも迷わず購入する。

その後、花屋を覗く。
コスモスが1ポット100円!
高い所では500円もするのに!!
これも迷わず2ポット購入。

家に戻ってくると留守番電話が入っていた。
図書館からで「リクエストしていた辻仁成の
『アカシア』が入った」との事だった

これで新しいCD聴き、金木犀の香りに孤独
を感じながら、風に揺れるコスモスを時々眺
め、そして庭のベンチで本を読むのだ。

仕事もお金もなく、空模様もはっきりしないけ
ど、なんか良い事が重なった秋の好日だった。


※本文中に出てきたアーティストや本の情報は
以下↓

安藤裕子
http://www.ando-yuko.com/

シュガープラント
http://www.246.ne.jp/~sugapla/Jframe.html

辻仁成『アカシア』
http://www.bunshun.co.jp/book_db/html/3/24/29/4163242902.shtml