根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

チェリー・コーク

2006-11-24 15:19:21 | エッセイ、コラム
コンビ二でチェリー・コークが再販されているのを見かけ購
入する。
蓋を開けて一口。
口腔内に広がる炭酸の刺激とチェリー・フレーバーが堪ら
ない。

チェリー・コークは20年ほど前に一度販売されていたのだ
が、私が住んでいた九州では確か販売されることがなく、
どうしてもその味を確かめたかった私は本州に住んでいた
兄に頼んで帰省する折に買ってもらってきた覚えがある。
変わった味で私は好きだったのだが、そう人気がなかった
のかいつの間にかなくなってしまっていた。

その後90年代半ばに旅行したタイでチェリー・コークをみか
け、その時は嬉しくてことあるごとに飲みまくったものだ。
当時のタイではコカコーラがチェリー・コークのキャンペーン
を張っていたらしく、その影響で配送のおっちゃんまでもチ
ェリー・コークの帽子を被らされていた。
垢抜けないタイのおっちゃんとビビットでやや奇抜なデザイ
ンのチェリー・コーク・キャップのミスマッチ加減に思わず笑
みがもれたものだった。

その後もチェリー・コークが日本で再び販売される気配はな
く、どうしても飲みたくなった時は紀伊国屋などの輸入食材
を扱っている店で購入するしかなかった。
チェリー味はアメリカでは人気でキャンディーなどのお菓子
にも積極的に使われるほど定番の味だ、と何かの本で読ん
だことがあるが、日本人にはあまり馴染みがない味で、チェ
リー・コークも一度味わえば充分の、奇をてらったものという
印象になってしまうのだろう。
なんとも残念なことだ。

今回再び販売に踏み切った日本コカコーラの面々には拍手
を送りたい。
彼らにはひとつ頑張ってもらい、日本にチェリー・コークが根
付くまで根気よく販売を続けてもらいたいものだ。

アーバンライフ

2006-11-22 12:53:37 | エッセイ、コラム
ディスカウントストアで5kg1280円の米を購入するべく
レジに並ぶ。
そういえば高校の頃の英語教師が力説していた

「俺は米は最低ラインのものしか食わないんだ。一度
贅沢の味を覚えると安いものが食べられなくなるから」

というような下らないことを米を小脇に抱えながら思い
出していると私の前に並んでいたオバサンが

「米重いでしょう。さぁ、ここに置きなさい」

そう言いながらレジ台の端を空けてくれた。
米袋5kgを数分抱えているくらい大したことはなかった
のであるが、断る理由もないのでオバサンの好意を素
直に受け米袋を置かせてもらうことにする。
無味乾燥な都会生活で見ず知らずの人から時々示さ
れるこういう好意は悪いものじゃない。

そう間を置かずレジがオバサンの番になりその様子を
みるとはなしに眺めていると、会計を済ませながら

「豆腐はこのサイズが一人分に丁度いいのよねぇ」

なんてレジ打ちの女の子に話しかけている。
目の前の客をさばくことに集中しているこの娘にそうい
うコミュニュケーションを求めた所で大した返事は返っ
てこないだろうなぁ、なんて思っていると案の定レジ打
ちの女の子は

「そうですね」

というそっけない返事しかしていなかった。
オバサンは話しかける場所と相手を完全に間違ってい
る人であった。

このオバサンが田舎からとある事情で一時的に上京し
てきている人なのか、あるいは元々そういう性格の人
なのかは私の与(あずか)り知る所ではないのだが、い
い意味でも悪い意味でも他人に対して無関心で、人と
の関わりを必要最小限で済ませようとする都会生活に
於いてこの人は普通の人以上に悲しい思いをしたり傷
ついたりしているのだろうなぁ、と思った。

何っ! 大沢たかおは“劇団・大人計画”出身者!?

2006-11-19 11:17:54 | エッセイ、コラム
昨夜放送されたNHKの番組に“劇団・大人計画”が9月
に行ったイベント「大人計画フェスティバル」のドキュメンタ
リーというものがあった。
学園祭をモチーフに東京の多摩市にある廃校になった中
学校を丸ごと貸切りにして行われたイベントで、そこに準
備段階から本番まで密着取材したものだった。

番組は俳優の大沢たかおをナビゲーターに、進行してゆく
イベントの模様とそこに絡め劇団の中心人物へのインタビ
ュー映像という構成。
途中、実は大沢たかおが“大人計画”出身者だという隠さ
れた事実も飛び出しなかなか興味深い内容になっていた。
一年半の短い在籍で当時の大沢たかおの芸名は「大沢
蝉之輔(せみのすけ)」だったとか。

『なるほど、同じくファッション雑誌『メンズ・ノンノ』出身者
の阿部寛もつかこうへいの劇団の門を叩き俳優としての
芸の幅を広げたというし、順風満帆にみえる大沢たかお
も何気に苦労して現在の地位を築いたんだなぁ、納得』

そんなことを考えながら最後までみていると番組の最後


「尚、この番組で語られた大沢たかおが“大人計画”に所
属していたという部分はフィクションです。他の部分は事
実に基づいたドキュメンタリーです」

というようなテロップが出る。

完全にやられた、当時の大沢たかおの印象ついて松尾
スズキや阿部サダヲらがもっともらしく語ったインタビュー
はすべてウソだったのだ。
他にもそれらしい大沢たかおが“大人計画”に所属してい
た頃のエピソードや彼が劇団と袂を分かつまでの秘話が
あったのだがすべて番組を面白くするための演出!
やはり彼らは役者でインタビューに演技臭く不自然な所
はまったくみられず、私はあっさり騙されてしまった。
ひょっとしたら今頃巷でこの番組を最後までみなかった
人の口から「大沢たかおって実は大人計画に所属して
いたらしいよ」という間違った事実が流布されているかも
しれない。

いやはや、粋な演出で私はこういうのが大好きなのであ
る。
この演出が番組制作者側から出たものなのか、“大人計
画”側からの出たものなのかは分からないが、NHKは時
々こういう面白いことをやる。

マインド・ゲームズ

2006-11-16 19:04:47 | エッセイ、コラム
さっきJ・レノンの『マインド・ゲームズ』がラジオで流れて
いた。
こうやって少し寒くなってきた頃にふいに流れてくるJ・レ
ノンはなんとも感じだ。
昔、ジョンの記録映画とでもいうべき『イマジン』という映
画があってそのサントラを手にしたのは今のように手がか
じかむ晩秋あるいは初冬の頃だったか。
その頃は長崎港を見下ろすような場所にある下宿に住ん
でいた。
長崎港が一望できるような所で窓からの夜景がとても綺
麗な部屋だった。
その前年までは長崎港の外国船が接岸する松ヶ枝埠頭
に大きなクリスマスツリーが設置されていたのだが、昭和
天皇の崩御が近く「華美なものは自粛」という流れの中で
それもなくなってしまった。
週刊誌からもヌードグラビアが見事に消えてしまい、市長
のとある発言に刺激された右翼によって長崎の街は占拠
されていた。
色んな意味で日本とはこんな国だったのかということを考
えさせられた年であった。
今頃聴くJ・レノンにはそんな思い出がつきまとう。




カルキン兄弟

2006-11-14 20:30:29 | エッセイ、コラム
深夜の映画で『イノセント・ボーイズ』という映画をやってい
た。
出演者の中にどこかでみた顔があると思って調べてみる
とキーラン・カルキンとある。
カルキン?昨夜の段階では詳細は分からなかったが顔立
ちからするとどうもマコーレ・カルキンの弟らしい。
なるほど道理で見覚えのある顔だ。
兄とそっくりであるが冷静にみてみるとなかなか味のある
マスクをしている。
マコーレ・カルキンから少し甘さを抜いた顔と言ったらよい
だろうか、撮り方にもよるが渋さも醸し出している。
ドラッグとやたら親和性のある彼の国の芸能界だけに現在
の状態は分からないが、同じく子役としてデビューしながら
もキーラン・カルキンの方はインディーズ映画などに積極的
に出演しさらにはゴールデングローブ賞も獲得したりして地
道に俳優としての地位を築いているみたいだ。
一方『ホームアローン』のかわいいイメージが強すぎてそこ
から抜け出すのに四苦八苦もがいているマコーレ・カルキン。
もし彼がそこそこの歳でデビューし甘やかされずに俳優とし
ての修行を積んでいたとしたら彼もまた今頃良い俳優にな
っていたかもしれない。
昨夜キーラン・カルキンをみていてふとそんなことを考えた。
洋の東西を問わず子役が大成するのは難しい。