根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『潜水服は蝶の夢を見る』

2008-02-29 07:05:38 | エッセイ、コラム
原作:ジャン=ドミニク・ボビー、監督:ジュリアン・シュナーベル、主演:マチュー・アマルリック、の映画『潜水服は蝶の夢を見る』を観て来ました。
前回は見事に寝てしまったので今回は万全の体制をとっての鑑賞です。


ストーリーは脳梗塞によって倒れ、「閉じ込め症候群」という全身麻痺になってしまった元ファッション雑誌『ELLE』の編集長だった男・ドミニクの闘病記で、本人が特殊な方法で執筆した本を元にしたものです。

闘病とはいっても涙を意図的に誘うような過剰な演出はされておらず、基本的には淡々と物語は進行して行きます。
カメラもドミニク側からみた映像が多く、この病になってしまった者のもどかしさや哀しみが疑似体験出来るような趣向になっていました。
全身麻痺ながら唯一自由になる左目のまばたきでコミュニケーションを取る事が可能になったドミニクは二十万回のまばたきを繰り返す事によって本を書きます。
そこにはドミニクをサポートするスタッフもちゃんといて、彼の言わんとする事を辛抱強く書きとめて行く訳です。

彼を支えるスタッフの苦労は勿論、そういう状態で本の執筆が出来たのはドミニクが元々インテリであった事に起因するのではないかと思いました。
インテリであるが故の語彙の豊富さ、洒落た文を思いつくだけの文章力が備わっていたからこそ、まばたきのコミュニケーションでも本が書けたのではないかと。
さらにはイマジネーションの豊さ、これはドミニクが「閉じ込め症候群」になってさらに磨かれ事でしょう。

この映画を観ていて思ったのは人間には想像力が備わっていて、それがどんな状態になっても心の支えになるという事でした。

人間を人間たらしめている事の一つは想像力ではないのかと。

控えめな演出ながら人間の尊厳に迫ったこの映画、オススメです。

映画『東京少女』

2008-02-25 23:02:03 | エッセイ、コラム
監督:小中和哉、主演:夏帆、佐野和真、の映画『東京少女』を観て来ました。

主人公の少女が地震で携帯電話を落としまい、その携帯電話が明治時代に生きる青年の元にタイムスリップしてしまう。そこで時代を超えて会話のみが可能になった男女が織りなす恋愛模様を描いた作品です。


映画『天然コケッコー』で瑞々しい演技をみせた夏帆が次の作品ではどんな表情をみせてくれるのか、と期待して観に行ったのですがかなりの消化不良でした。
もしこれがテレビドラマなら佳作として評価出来るのですが、果たしてこれを映画としてやる必要があったのかな、という印象がどうにも拭いきれませんでした。
上手く説明出来ないのですが映画としての醍醐味が非常に薄いのです。
映画には映画の撮り方があると思うのですが、それがこの作品の場合、映画のフィルムを使っていても映画サイズになっていない、劇場のスクリーンを活かしきれていない、映画なのに非常にもったいない、そんな不満が最後まで残りました。

ストーリー自体はそんなに悪いものではなくちょっぴり切なかったりするものだけに、尚更そういった欠点のようなものが目についてしまいました。

映画は映画らしい銀幕を充分に活用したものがみたいそんな感想を抱いた作品でした。

コンビニにて

2008-02-22 04:50:12 | エッセイ、コラム
コンビニのおでんをよく買いに行く。
ご飯のおかずにする為だ。
同じコンビニに週にまあまあの回数で行っていて、時間帯も夕方から夜といった具合。
同じ時間帯に行くので、そこで働いている大学生くらいのバイト店員のメンツもそう変わらない。
そこで毎回繰り返されるやりとり。
会計を済ませつつ
店員が言う

「芥子はつけますか?」

「いらない」

「お箸は?」

「一膳だけ」

その段階でおでんが入った容器と蓋とをテープで固定するので、蓋に開いた空気穴も塞いで下さい、と要望する私。
家まで持って帰る間に中のスープがこぼれるのが嫌なのだ。

これが毎度の事。
コンビニの大学生店員にサービスは期待していないので、別に怒りも覚えないが、いい加減常連客の顔と嗜好くらいは覚えろよ! という感じがする。
彼らには男女の差、年齢くらいの区別はついても、客の顔は全くみえてないのだろう。
都会のコンビニである。
うざったくされるのは私も好みではないのだが、せっかく接客業をしているのに客の顔を覚えないのはもったいない事だなぁ、と思ってしまう。

「お客様は芥子はいらないんでしたよね?」の一言で随分客の気持ちも変わるものなのだが…。

未完、映画『潜水服は蝶の夢を見る』

2008-02-20 01:22:13 | エッセイ、コラム
本来ならば、ここに映画『潜水服は蝶の夢を見る』の寸評を書いている筈だったのですが、それは不可能です。
何故なら、大半をシネコンの観やすく計算された快適な席で甘美な眠りに甘んじてしまったからです。

最近は睡眠が浅く、今日は鑑賞中に眠ってしまう事が予想された為に映画館に入る前に栄養ドリンクをグッと飲んだのにも関わらず、睡魔には勝てませんでした。
劇場内に入った時に妙に空調が暖かく、予告編の段階で欠伸が出始めた為に、これはヤバいぞ、と思ってはいたのですが、本編が始まって劇場内が暗くなったらもうダメでした。
体は完全に睡眠時間と勘違いしてしまったみたいで、イントロダクションを観終えた段階で記憶を失ってしまいました。

少ない鑑賞時間でのこの作品に対する感想は、左目のまぶただけしか動かなくなった悲劇的な男の話しの割りには、淡々としていて芸術色が強く、そんなに悲壮感を感じさせない映画、という感じでした。
後半に少し覚醒しましたが、それで作品が把握出来る程フランス映画は単純ではありません。
ちゃんとした体調で鑑賞すれば、それなりに得るものがある作品だったと思われるので、今回は残念な結果でした。

映画『奈緒子』

2008-02-17 08:45:17 | エッセイ、コラム
原作:坂田信弘・中原裕、監督:古厩智之、主演:上野樹里、三浦春馬、鶴瓶、の映画『奈緒子』を観て来ました。

長崎の離島の高校陸上部を舞台に、駅伝大会に青春をかける主人公と部員、監督のひと夏を追った物語です。
ヒロインとして登場する上野樹里の演技は流石に上手く、監督役の鶴瓶も芸達者な演技をみせていました。
壱岐雄介役の三浦春馬も臭い芝居もなく及第点でしょう。
サブキャラで登場する柄本時生もなかなかの演技でした。

全体として、細かな違和感に目をつぶり、素直にストーリーを追っていけば、爽やかな感動を得られる映画だと思います。
劇中、駅伝チームが強化合宿を張るのですが、そこでの部員同士の軋轢や自身への葛藤などは良く描かれていたと思います。

惜しむらくは、最後の駅伝大会のシーン、もう少し迫力と緊迫感に富んだものに仕上げていたらさらなる感動を呼んだ事でしょう。

青春モノが好きな方には良いと思います。

冬の陽だまり

2008-02-16 09:21:40 | エッセイ、コラム
庭のベンチに腰掛け、熱いお茶を飲む。
ベンチには朝の陽光が差していて意外と暖かい。
時折吹く北風には閉口してしまうが、無風の時にはエアコンでは得られない何ともいえない暖かみがしみわたる。
たまにはこうして冬であっても庭に出てみるといいものだ。
そう遠くない春を感じた気がした。

映画『団塊ボーイズ』

2008-02-11 18:49:49 | エッセイ、コラム
監督:ウォルト・ベッカー、主演:ジョン・トラボルタ、ティム・アレン、マーティン・ローレンス、ウィリアム・H・メイシー、の映画『団塊ボーイズ』を観て来ました。

物語は、取り敢えず幸せな人生を送ってはいるものの、どこか煮詰まった生活をしている、アメリカのとある町のバイク乗り4人組が、ある日西海岸に向けハーレーを駆りツーリングに出掛け、その先で繰り広げる珍道中を描いたコメディ。

アメリカらしいベタな笑いの連続で、素直に楽しめました。
劇場は映画の内容を反映してかオッサン率が高く、連休の最終日の昼の回を反映して満員でした。

気分転換にガハハと2時間笑ってスカッとしたいな、という時にはピッタリの映画だと思います。
ただ後に残るものは何もありませんが…。

映画『アメリカン・ギャングスター』

2008-02-11 02:14:06 | エッセイ、コラム
もう数日前の話しになりますが映画『アメリカン・ギャングスター』を観て来ました。
監督:リドリー・スコット、主演:ラッセル・クロウ、デンゼル・ワシントン、という作品です。

実際の話しを元にした物語で、舞台は70年代初頭のニュー・ヨーク。
ラッセル・クロウ扮する麻薬捜査官のリッチー・ロバーツが、デンゼル・ワシントン扮する麻薬王のフランク・ルーカスを追い詰めてゆく話しです。

すごく感動する映画でもなかったですが、2時間半という長い時間にも関わらず退屈せずに観られたという事は、そこそこ面白い作品なのでしょう。

少しネタバレしてしまいますが、それまで接点のなかった刑事のリッチーと麻薬王のフランクが、直接相対する場面でバックに流れる曲・アメイジンク・グレイスのチョイスが見事でした。

超オススメという訳ではありませんが、時間とお金に余裕のある方は観に行ってもよいかもしれません。

映画『リアル鬼ごっこ』

2008-02-06 23:42:49 | エッセイ、コラム
原作:山田悠介、監督:柴田一成、主演:石田卓也、谷村美月、の映画『リアル鬼ごっこ』を観て来ました。


とある事をキッカケに、佐藤姓を持つ者が淘汰される「リアル鬼ごっこ」というモノが本気で行われているパラレル・ワールドに迷い込んでしまった石田卓也扮する佐藤翼が体験する物語。

発想が奇抜で面白く退屈はしない作品でしたが、恐怖政治って怖いなぁ、っという感想以外に残るものがないという作品でもありました。

観客もそれを反映してか高校生・大学生が多い感じ。
あぁこりゃ落ち着いて観られないなぁ、っと思ったものの、作品自体が目まぐるしく展開するものだったせいか飽き性の彼らも黙って鑑賞していました。

ぜひとも観て欲しいという映画ではありませんが、暇潰しにはちょうど良いかもしれません。
悪くはない映画です。

親不知抜歯手術 その6

2008-02-04 20:54:25 | エッセイ、コラム
本日、手術患部を縫合していた糸を抜いてきました。

前回もそうだったんですが軽い痛みは走るもののあっという間に抜糸は終了です。
患部がまだ腫れているので、手術後に出された腫れ止めの薬とは別の消炎剤が処方されました。

少し腫れが引いてきた為に一番奥の歯と患部との間に隙間ができて、そこに食べ物が詰まるようになりました。
まだ穴が深い為に神経が覆われていないのか専用の器具で患部を掃除する時にひどくしみます。
時間が経って肉が盛り上がり、穴を塞ぎにかかるのを待つしかありません。

まだこれで口腔外科通いが終了した訳ではなく、来週もまた通院しなければなりません。
医師のカルテには、軽い腫れは見られるものの経過は良好、のような事が書き込まれていました。