「シャドウ」 道尾秀介

創元推理文庫 Kindle版

小学校5年生の凰介は父 洋一郎、母 咲枝の3人で暮らしていた。咲枝が癌の再発で死亡。その数日後、幼なじみの同級生で近所に住む亜紀の母親 恵が飛び降り自殺、そして亜紀も交通事故で入院。亜紀の家からは恵の遺書が発見されるが、凰介は父親や亜紀の行動に疑問を持ち始める。

道尾秀介の作品はこの「シャドウ」が初めてです。思いのほか良くできた推理、サスペンス小説で一気読みとなりました。
小学校5年生の凰介 と 父親 洋一郎、この2人の視点で物語が語られていきます。最初 凰介の言葉で話が進んでいくところが、少年探偵ものなのか と落胆の気持ちになりましたが、ところがこれが上手い。ラストにはこの理由も納得。登場人物が少ないので、読者としては「こいつが怪しい」と考えたりするのですが、章が進むごとに二転三転。最後は「まんまとやられました」と相成りました。結末の意外性という推理小説の一つの評価ポイントは満点です。

ストーリーの描き方を振り返ると、若干ずるいな と思うところがありますが、これは許しましょう。ここまで楽しませてくれたのだから。
お薦めです。



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