『いのち育む 里山は萌え』(吉川一男著、八朔社)を読みました。
2004年2月のある日、福島県郡山市三穂田町に産廃処分場建設の動きがあることの相談を受けたときから始まり、4月には区長会が衣替えしたような「水と環境を守る会」の結成、21万余筆に及ぶ署名提出、05年3月の新たな住民組織「いのちと環境を守る会」結成、06年3月の「建設差し止め」裁判提訴、同年12月の全面勝利和解、そして今に至るまで「不穏な動きが出たら、直ちに立ち上ろう」と結束を確認し、自然観察を続け、ニュースを発行し、情報を町民に伝える「産廃処分場建設反対運動の記録」です。
1人で20歩、30歩進むのではなく、20人、30人で1歩ずつ出ること、運動に政治的主張を持ち込まず、各自の政党支持、政治活動の自由をお互いに認め合うこと、処分場建設阻止の一点で足並みをそろえること、そして同時に「反共・アカ攻撃」を大衆的にはねのけることなど、当然のようでありながら、はなはだ教訓的なことをたくさん学べます。
弁護団の一人を務めた広田次男弁護士が、「住民が悩み、怖れ、迷い、考え抜き、そして人を信じ、裏切られ、やがて人間としての信頼を回復し、大きな勝利を掴み取る、人間群像」と、推薦の言葉を寄せています。
病院の存置林の木々の葉もすっかり落ちました。